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雪合戦

最初こそ、皆で雪山を造り巨大な滑り台も造っていたが、いつしか雪合戦へと変わっていた。



事の発端はメフィである。


シンの様に遠くで見守るゼノン。

そして、メフィが呼んでも来ない。


そんなゼノンにメフィは雪玉を作って投げたのだ。

当然ゼノンは、その雪玉を避けて躱すがメフィも負けじと何発も投げた。


いつまで経ってもゼノンに当たらない為、メフィは家族全員に指示を出す。


「ゼノンに最初に当てた人には私からすごいプレゼントをあげるわよ!」


その言葉にシンとフレイ以外の全員が乗っかる。

特にバリアンの雪玉は最早、隕石であった。


それでもゼノンの身体能力は凄まじく、軽々と避け続ける。

それに業を煮やしたメフィの指示の元、リリアがシンとフレイを挑発して参戦させることにした。


「あらー? シンのコントールじゃあお父様に当てる事なんてできないもんね? いつまでも追いつけないもんねー?

フレイも氷魔法を得意としているけど、それも井の中の蛙よねー? お父様の氷魔法に比べたらあなたの氷なんて米粒程度よね?」


2人を次々に挑発するリリア。

そんなリリアを冷たい目線で見つめるトラリー。


「リリア姉さん・・・・・・そんな挑発にあの冷静なフレイ姉さんとシン兄さんが乗っかるわけないじゃないですか」


そう言って2人の方を見つめるトラリー。


(あれ?・・・・・・2人とも眉間にシワが寄っている。

なんか物凄いさっきを放ってるよね?

いやいや! めちゃくちゃ怒ってるじゃん!!!)


心の中で叫ぶトラリー。


そう。リリアの挑発は2人には効果抜群どころかオーバーしていた。


「俺がいつまでも追いつけないだと? 遊びでも追いつけないだと? いいだろう。 見せてやる!」


シンは雪玉を作って皆と共に参戦する。

そして、フレイももちろん、


「リリア・・・・・・長女である私に向かってそんな態度。

後で覚えてなさい。そして、姉の力を見せてあげましょう」


静かに怒りに燃えるフレイも雪玉を器用に量産して放っていく。


現場は最早、雪合戦等ではなく、戦争状態であった。




神速のシンが投げる雪玉もまた神速。


そして、フレイは流石は氷属性を得意とするだけあって雪の質や

投げ方に工夫が凝らされている。


しかし、それでも難なく全ての雪を躱し続けるゼノン。

それも涼しい顔をしたまま。




「そろそろ父親の威厳でも見せるとしよう」


そう言うとゼノンは避けつつも次々に雪玉を作ってはそれぞれに投げる。


投げるモーションも見えないその速さに被弾していくメフィ達。

それも優しく当たる為に痛くは無い。


バリアンに当てた雪玉だけは強かったのか、吹き飛んでいた。


しかし、当の本人も吹き飛びながら笑っていたから何も問題はないのだろう。


そして、最後に残ったのはシン。


互いに高速で避けつつ雪玉が飛び交う。


とても1体1でやってるとは思えない程の雪玉の量に、見ている皆が驚愕していた。


「父上、俺はあれから速さを更に追求しました。他では勝てなくとも速さの1点。それで俺は父上に打ち勝つ!」


いつにも増して気が昂っているシン。

そんなシンの変化にゼノンも嬉しく思っていた。


家族の中でも特に感情をあらわにしないシン。

故に中々シンの心を読み取る事は難しい。


だが、今のシンはとても分かりやすい。

ゼノンを倒すのに必死なのだ。


父を超える。

シンが思うのはそれのみである。


しかし、ゼノンもそう易々と負ける訳にはいかない。

父として、一家の大黒柱としての威厳を魅せなければならない。


「確かに、以前よりもだいぶ速くなったな。

お前がどれ程訓練をしたのかもわかった。

だが、私の速さもこれが全てでは無い。

いくぞシン。褒美に私の本気を少し見せるとしよう」


そう言い放つと、シンの視界からゼノンの姿が消えた。


その名の通り完全に消えたのだ。

音はもちろん、気配すらもない。


目の前には誰もいないのではと錯覚するほどだ。


周りで見ている皆も同じ気持ちのようで、辺りを見渡しゼノンを探している。




「なっ?!・・・・・・一体どこに、、、ッ?!!!」




突如後ろから気配を感じ気付いた時には雪玉を後頭部に当てられていた。


驚き振り返るとそこにはゼノンが立っている。


少しは追いつけていると勝手に思い込んでいたがそんなことは無かった。


最早、追い越せる気がしない。

そう思わせるほどの圧倒的な速さだ。


これには流石のシンも笑うしかなかった。


「フッフッフッ。先程までの自分を殴ってやりたい。

やはり、ゼノン様は、いや父上は偉大な御方だ。」


「いや、お前の速さの成長には驚いている。その内神速

というのもお前の専売特許となるだろう。期待しているぞ」




ゼノンの期待という言葉に、折れかけていたシンの向上心は再び

熱を帯びた。


「・・・・・・必ずや父上に追いつき、そして追い越してみせます」


シンの熱の篭った眼差しにゼノンは満足した。




周りのギャラリー達も大歓声である。


「お父さんもシンお兄ちゃんもすごい!!! 何も見えなかったよ!」


「あのシン兄さんを赤子のように・・・・・・僕も必ずシン兄さんに追いつきますよ!」




それからは、再び皆で雪山を作りフレイの魔法のおかげもあって

だいぶ大きなや雪山ができた。


そして、そこに穴を開けるとかまくらの完成である。

今日はかまくらの中で、皆で食事をとることにしたのだ。


寒い中食べる暖かい料理達は格別である。

皆寒さも忘れ大いに楽しむのであった。







とある部屋にて。

そこには教皇と、若く勇ましい男が立っていた。



「良いな? 必ずや悪の根源ゼノンを倒すのだ。勇者レインよ」


「分かりました」


ゼノンが魔界にいた頃に出会った勇者。

その勇者が今、動こうとしていたのだ。

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