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それぞれの役目

月日が経ち、外は肌寒くなり空から雪が舞い降りる。


魔界には雪など降らないため、まず見ることは無い。

しかし、ゼノンは何度か色々な国を回っているため何度かは見ていた。


しかし、メフィは初めて体感するゆきであった。


朝目覚めて窓を見ると辺り一面に雪が降り注いでいるその光景を前にして感動している。


「綺麗・・・・・・これが雪なのね。触ると冷たくて直ぐに消える。よし! ムム達が起きたら遊ぶわよゼノン!」


朝からテンションの高いメフィ。

そのまま居間へとゼノンと共に向かう。


どうやら、まだシリュウやライム、執事達しか起きていないようだ。



「ライムも早いわね! ムムが起きたら皆で外で遊びましょう! レオンやイヴ達も呼んできてくれる?」


スライムのライムはいつも朝はシリュウの手助けをしている。

主に皿を出したり、片付けたりだ。


いつもライムはムムと同じベッドで眠っている。

ムムの抱き枕となって。

潰されて辛くないかと心配もしたが、ライムも満更でも無い様子の為、そのままムムと寝てもらっている。


「わかりましたー!!! みんなで雪遊びー!!!」


ライムはずっと魔王城に居たため、雪を見るのは初めてだ。

早速レオン達の元へと向かう。




その後は続々と皆が起き出し、シリュウの作った朝ごはんを平らげる。

普段はそれぞれで朝食は済ませるが休日である今日は、みんなでとる。

それがメフィが決めたオルレア家のルールだ。


ちなみにオルレア家のルールは他にもある。




その一、帰りが遅くなる場合は必ず誰かに伝える事。

そのニ、ケンカをしたら必ず最後は仲直りする事。

その三、一人で抱え込まない事。

その四、休みの日は皆で食事を摂る事。

その五、弱い者は助ける事。




などなど、メフィの作った家族ルールは多数あるのだ。

しかし、メフィは後にゼノンに言った。


「このルールは、皆が実行している事をただルールにしただけなんだけどね!」




確かにその通りだ。

トラリーやムムも友達と遊ぶ場合は、必ず報告するし

犬猿の仲に近いシンとリリアはよく口喧嘩をしているがなんだかんだ仲がいい。


つまり、ルールはあってないようなものなのだ。

それでもメフィが形としてという事ですつくっているに過ぎない。




そんなこんなで皆で暖かい格好をして庭へと出る。


しんしんと振り続ける雪。

3センチ程は積もっただろうか。


既にライムやレオン達は雪の上を駆けてはしゃいでいた。


そして、それに混じってムムとトラリーも駆け寄る。


「すごい冷たいね! それに、フワフワしてる!」


「滑るから転ばないようにねムム! ミノは何をしているの?」


トラリーの見つめる先には、何やらミノが雪で山を作っていた。

そんな様子を見ていたムムがトラリーを連れて一緒に混ざる。


「すごーい! こんな柔らかいのに手で叩くと固まるんだね!」


「雪遊びなんてさせてもらえなかったもんね」


過去を思い出すトラリー。

しかし、そんなトラリーの肩を後ろから手を置く人物が。


「でも、今は遊べる。そうでしょ? 前の分も今思い切り遊びましょ!」


そう笑顔で話してくれるリリアに、トラリーも笑顔になる。


「はい! リリア姉さん! リリア姉さん達も一緒に山を作りましょう!」


「そうね! そこら辺の雪を全部集めて、大きい山を作りましょ!」


「シンお兄ちゃん! フレイお姉ちゃん! レイラお姉ちゃん! バリじぃ! お父さん! お母さん!  みんなでやろうよ!」


ムムが皆を呼びつける。


「よしっ! ワシがムム達の為に滑り台を作ってやるぞい!」


「足りない分は私が魔法で出してあげますよ」


「流石はフレイお姉さん! 皆で頑張りましょうね♪」


皆が思い思いに楽しんでいる中、シンはただただイヴやムム達を

引いた場所で見守っていた。




「シンお兄ちゃんも早くー!」


いつまでも来ないシンにムムが催促するも、シンは


「俺は皆が怪我をしないように守っているから気にせず楽しんでくれ」


そう伝えるとムムはなんだか悲しそうな顔をしていた。

ムムは皆で遊びたかったのだ。


しかし、シンはおそらく頑なに来ないだろう。

そういう性格だから仕方がないと言えば仕方がないのだが、ムムを悲しませるのは許せない。


それが皆の思いであった。


するとリリアやバリアンが何やら不気味な笑みを浮かべながら

ムムにシンの方を指さして何かを話していた。


いや、シンというよりシンの後方を指さしている。

そんな光景を不思議に思うシン。


次の瞬間、




「ドッサァッ!!!」




シンの頭上より大量の雪が落ちてシンは雪に埋もれてしまった。


何が起きたのかわからないシンは、驚きの表情をしている。

普段ポーカーフェイスのシンには珍しいことであった。


そして、シンが振り返るとそこに居たのは母であるメフィ。


「・・・・・・母上、これは一体どういう事でしょうか」


理解出来ずにいるシンを前にして、飛びっきりの笑顔を向けるメフィ。

それもシンの前で仁王立ちとなり腕を組んで見下ろしている。


「アッハツハツハッ!!! シンも子供のくせにカマしてるんじゃないわよ! 見守る役目なんて親の仕事なんだから子供は黙って遊んでいればいいのよ! そして、可愛い弟と妹達の面倒を見てあげて? それともシンはムムとトラリーの落ち込む姿を見ていたい?」


メフィの言葉に苦虫を噛み潰したような表情をするシン。


シンはこう見えて、弟妹思いである。

兄弟の中で1番面倒見はいいのかもしれない。


そんなシンにこのメフィの言葉は効果抜群だ。


「母上、俺もトラリー達の元へ行ってくるので皆を見てて貰ってもいいですか?」


素直になったシンは、皆を見守る役目をメフィに託す。

しかし、メフィは・・・・・・


「いやよ!!! 私だって皆と遊びたいもの! 雪の上なら転んでも怪我なんてしないから大丈夫よ! さっ! 早く行くわよシン!」


メフィはシンに手を差し出す。

メフィの破天荒な性格にシンは思わず笑を零しながらも

メフィのその手を掴んだ。



目の前には子供のように走る母親。

なんなら、この中で1番はしゃいでいるのかもしれない。


そんな子供みたいな母親ではあるものの、何故かその背中は

大きく見えたシンなのであった。

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