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ムムの窮地

レイラがこの家(洞窟)に来た事により人数が増えた。

そこでゼノンは、洞窟の拡張作業を始める。



洞窟の地上部分は、何時(いつ)誰が入ってくるか分からないためそのままにして、地下1階をゼノン、トラリー、ミノタウルスの部屋。

地下2階をムム、ライム、リリア、レイラの部屋とした。


リリアがいるから大丈夫だとは思うが、万が一を考えて女性陣は下の階にしたのだ。



更に地下3階には風呂と訓練場を設置しておいた。


風呂は皆のお気に入りであり、訓練場はリリアの希望。

と、いうのは建前で外で万が一またトラリーが暴発させたら困るから地下に作ったのだ。


爆発音と煙が上がれば近隣の村人や山賊等に目をつけられてしまう。


そしてお尋ね者となってしまったレイラも、外でムムと訓練をする訳にもいかないためだ。


食事は地下1階で皆で食べる事になった。

これは、ムムの希望である。


ムムの希望ならば首を縦に振らない訳にはいかない。


そして、洞窟の中にあるとは思えないような、木の家を地下に作り上げる。


ある意味ダンジョンの様な感じになっていた。


これでマイハウスの拡張は終了。


午後からは、ムムとトラリー、ライムが外で遊びたいと言うから遠くに行かなければ良いと伝え、3人で外に行く事を許す。




子供たちが出掛けるとゼノンとリリアは、レイラに人間界の今の情勢について聞いていた。


「人間界が魔国に攻め入る可能性はあるか?」


「いえ、今のところはないと思われます。今の国王は、他国どころか自国でさえも掌握しきれていませんから。教皇が勢力を拡大したり、奴隷を好き放題したりと酷い有様です」


「何故、その教皇は捕まったり殺されないんだ? 悪いヤツなら殺せばいいだろう?」


リリアは何故、そんな蛮行が許されるのか不思議でならなかった。




「教皇はですね、国王の『弟』なのです。この国のツートップが兄弟なのですよ。国王は弟である教皇をそんなに毛嫌いしてる訳では無いのですが、弟である教皇は、自分の国が欲しかったのだと噂されています。ただ兄である国王は弟を罰することが出来ずにいて、、、兄弟の情でしょうか・・・・・・」


「なるほどねー、、、善王と悪教皇か・・・・・・」


「とにかく魔界に攻めてこないと分かっただけでも良しとしよう。暫くは、魔界は安泰であろう。」


「何だかんだゼノン様は、魔界が大事なのですね!」


「もちろんだ。私の産まれ育った国だからな」


三人は暫く世界情勢の話しをしてお互いに有益な情報を取り入れていた。





一方の外では、三人で追いかけっこをしたり、ライムの水魔法で遊んだりと満喫していた。


しかし、走っている最中にムムがいきなり立ち止まり小さな声で呟く。


「ん?誰? 何か聞こえる・・・・・・助けなきゃ!!!」


何を思ったかムムは急に森の中へと走って行く。

いきなりの行動に驚いたトラリーはライムに指示を出すと自分はムムを追いかける。


「ムムッ!!! 待つんだ!!! ライムは戻って姉さんかゼノン様に伝えてッ!!!」


「わかったよ!!! すぐ呼んでくるね!!!」


かけっこをしている最中というのもあり、ムムと少し距離があった。

その距離を狭めるため、トラリーは必死にムムを追い掛ける。





ムムが声の聞こえた方へ暫く走ると目の前には、白というより白銀の毛色に近い色をしている大型犬程の大きさの狼を見つけた。


そしてその狼は傷だらけになり倒れている。

恐らく何かに襲われたのだろう。




そして、狼の奥を見ると、鬼の様な形相をして高さは3m程ありそうな魔物が立っていた。A級ランク指定されているオーガだ。


この辺にはゴブリンやコボルト等弱い魔物しかほとんど居ないはず。恐らく、狼を追いかける為、こんな所までやって来たのだろう。


それに倒れてる狼の姿もコボルトには見えなかった。

恐らく違う種類だろう。



ムムは頭の中に届いた悲痛な助けの声が、この狼だと気付き、オーガが目前に居るも怯むことなく狼に近付いた。


「狼さん大丈夫?! あなたの苦しいそうな声が聞こえてきたの! 今助けてあげるからね!!!」


(ぼ、僕の声が、き、聞こえているの?! ありがとう、でもあいつは強い。君までやられてしまう。早く逃げて)



狼はムムにそう話すと何とか立ち上がり、オーガに威嚇した。

このままでは2人まとめて殺られてしまう。

そのために、気力を振り絞り傷付いた身体を無理矢理起こした。




そんな狼にオーガは右手を振り上げ、二人まとめて凪払おうとする。


だめだ。このままでは殺られる。

狼がそう思ったその瞬間!


奥からファイヤーボールが飛んできて、オーガの顔に当たる。

見事に命中させ、オーガの攻撃をそらすことに成功した。


狼とムムはファイヤーボールが飛んできた方向を見る。

するとそこに居たのは、




「にーに!!!」




トラリーだった。


なんとか間に合ったと安堵するもオーガは止まる気配はない。

それもそのハズ。

トラリーの力はまだFランク級程度の力しかない。

つまり、1番下だ。

魔法を覚えたばかりなのだから仕方がない。




それどころかオーガは上げた右手をそのまま、ムムと狼目掛けて

振り下ろしていたのだ。


「くっ、僕の魔法じゃ弱すぎる!!! ムムッ!!!」


トラリーはムムの元へ走る。


せめてムムだけでも! そう思いムムの元へ全速力で走る。


何とかムムを狼毎、オーガの射程外に吹き飛ばす事に成功する。




しかし、代償が大きかった。

自分がオーガに吹き飛ばされてしまったのだ。


トラリーはその衝撃で木にぶつかり血を吐いてそのまま気絶する。身体の至る所が骨折しており、衝撃で呼吸もままならない状況に陥ったのだ。


つまり重症である。




ムムは飛ばされて何が起きたか分からなくなっていたが、起き上がりトラリーの方を見るとトラリーは血まみれになり倒れていた。


「にーにッ!!!!!! いやだよにーにッ!!!!!!」




ムムがトラリーの元へと駆け寄る。

無我夢中で走っていた。



そんな様子を見ていたオーガはニヤッと不敵な笑みを浮かべている。

そして走るムムを捕まえ握りしめる。




「いやーーー!!! 離して!!!!!!」




「ニンゲンノコドモ、ニク、ウマイ。オマエ、クウ!」


今まさに、オーガがムムを口に放り込もうとしていた。




それを見た狼が、傷だらけになりながらも必死にオーガの脚に噛み付く。


しかし、力量差がありすぎる為、簡単に蹴り飛ばされてしまう。

だが、一瞬の注意を払う事には成功した。


この数秒の足掻きがムムの運命を変えることになるのだ。





「狼さんッ!!! 私・・・・・・食べられんるんだ。ごめんねにーに、狼さん・・・・・・」


覚悟を決めて目を瞑るムム。

それでも狼は再び起き上がろうとするが、力が入らない。


絶体絶命。その時だった!





奥の方から・・・・・・





「その汚い手を!!! 離しなさい!!!!!!」






ムムを掴んでいたオーガの手が切れた。

そしてムムは宙に飛び落ちるとそこは、リリアの腕の中だった。


「リリアお姉ちゃんッ!!!」


「ムム無事?! 怪我はない?!」


ムムはリリアの登場に安堵して涙が溢れた。

死ぬほど怖かったのだ。


いや、むしろ死にかけたのだから恐ろしいのは当たり前だ。

リリアに飛び付き泣きわめくムム。




しかし、泣きながらもムムはリリアに状況を説明する。


「あ、あのね、ムムのせいでにーにと狼さんがッ・・・・・・」


リリアはトラリーと狼を見る。

二人とも傷だらけで息をしているのがやっとという感じだった。




「ムム・・・・・・ちょっと離れてなさい・・・・・・」


リリアはそう言うとムムを下に降ろした。


リリアは物凄い剣幕をしている。

身体が小刻みに震え、闘気が溢れ出す。


オーガも力があるが故か、リリアと自分との力の差をモロに感じ取ってしまう。


だが、既に遅かった。

オーガのすぐ目の前にまで死神は迎えに来ているのだから。




「オーガ如きがッ!!! 私の可愛い妹と弟をよくもッ!!!!!! ・・・・・・『神炎劫火ゴッドインフェルノ』!!!」





天より炎の柱が降り注ぎ、地下深くまで燃え尽きた。

一体何m深くまで続いているのだろうか。


当然オーガの姿は跡形もなく無くなり、骨すら残っていない。

穴の周りもグツグツと溶けている。


まるで地獄の様な場所へと変貌していた。


そこに立つのは燃えるような真っ赤な髪をなびかせたリリア。


彼女を怒らせてしまった時点でオーガに生き残る術は皆無であったのだ。



こうしてリリアの登場で何とか皆死なずに済んだのだった。

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