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東西の戦い

東の方角を任されたシンは黙って目を閉じている。

味方でも居ずらいこの空気感。


シンの後ろに控える2人は女と男である。

門兵唯一の女兵の1人。


マルシェ「シン様、敵が来たようです」


静かにシンに伝えるマルシェ。


シン「あぁ、やって来たようだな。数は12か」


敵が来たのはもちろん、数まで把握しているシン。


マルシェ「やったーーー!!! シン様に返事して貰えた!!!

・・・・・・流石はシン様です。数までお解りになるとは」


コウシン「おい!お前のそれどうにかしろよ! 怖ェんだよ!」


マルシェの二重人格とも取れるその態度にコウシンは毎度

驚かされる。

笑顔になったかと思えば、急に真顔になるのだ。


ただ、彼女は決して二重人格なのではない。

心の声がついつい口に出てしまうだけなのだ。


マルシェ「いちいちうっせー男だなコウシンは! ちっちぇー事ばかり言ってるから未だに独身なんだろうが!・・・・・・ ん?何がだ?」


コウシン「あぁ?! だからてめぇ心の声ダダ漏れなんだよ!!!」


そう悪口でさえも。

ある意味わかりやすい性格ではある。

だが、初見の人からしたらかなり驚くであろう。


かくいうシンは、最初から気にしていないようで普通に接している。

いつも通り冷めきった顔であった。




そうして、石塀を越えてやってくる暗殺者達。

シンはもちろん、マルシェとコウシンも暗殺者達を前にしても落ち着いている。


その理由は、シンの過酷な訓練を潜り抜けてきたのだから自信はかなりついた。

そして実力も並行してついてくる。

相手の細かな動作から、自分との力量差を比較するのだ。




シンは何も考えていないようで、相手の動きを事細かに見定めている。

訓練を始める初日に2人にも言ってある。


おかげでマルシェもシンコウもよく相手の動きを観察し、目が良くなっていた。




「俺達相手に3人とは舐められたものだな」


1人の暗殺者が剣を向けそう話す。次の瞬間




「ザシュッ!!!!!!・・・・・・えっ、、、ぎゃああああッ!!!!!!」




話していた暗殺者の腕が剣を握ったまま斬り落とされたのだ。


斬ったのはもちろんシン。


シン「剣を向けて話すな。不快だ」


そう言うとシンは痛みに叫ぶ暗殺者の眉間に剣を刺しとどめを刺した。


「あの距離を一瞬で詰めただと?」

「魔法か何かか?」

「えぇい! みんなでかかれ!」




残る11人で一気にシンへと詰め寄る暗殺者達。

さすがは暗殺者達なのか連携は中々のものだった。

だが、攻撃が当たらなければ意味は無い。


シンはその神速で全ての攻撃を避け捌く。


そして、隙が出来たものには、


マルシェ「シン様に怪我でもあったらどうする気だクソ暗殺者がッ!!!!!!・・・・・・シン様援護します」


コウシン「もうお前には突っ込まないぞ・・・・・・オラァッ!!!!!!」


マルシェは素早い剣さばきで敵を切り刻み、コウシンは槍で敵を貫く。

やはり、マルシェ達も1対1でも余裕で勝てていた。




そして僅か数分。

そこに立つのはシン達3名だけとなった。


シン「お前達の訓練には多少なったか? 弱すぎたな」


シンは敢えて避ける事に軸を置き、倒させるのは2人に任せた。

結果シンは3人、マルシェが4人、コウシンが5人倒していたのだ。


マルシェ「さすがはシン様!!! 私の為にそんな気遣いをしてくれるなんて!!! シン様ァ!!!!!!・・・・・・はい。実力はともかく連携という面では勉強になりました」


コウシン「ちっ、お前の後は話しにくいな! でも、マルシェの言う通りですね。実力は圧倒的に俺達の方が上だが、連携は相手が優れていました。今後の課題にしようかと思います」


2人は戦いの後もしっかりと考察していた。

マルシェの性格はともかく、頭は良い。


そんな2人の会話にシンも頷く。


シン「俺も仲間との連携は得意ではない。1人で十分だと思っているからな。だが、役には立つかもしれん。どうするかはお前らに任せる」


こうして東の防衛も成功した。


残るは西。





リリア「10.11.12。12人居るわね」


リリアもまだ目視できない距離で既に敵の数を把握していた。

索敵能力は必須である。


リリアに従うのは2人の男。

エルとノルの兄弟である。


互いに山育ちという事もあり、剣はもちろんだが弓を得意としている。

王国弓術大会では、エルとノルが2位と3位になった程だ。

つまり、人間界でトップクラスの弓術を持っていることになる。


そんな2人はリリアに付き従っていた。


エル「リリア様、初手は俺が撃っていいでしょうか?」


ノル「いやいや、兄さん。ここは僕に任せてよ」


2人はどちらが初手を放つかで揉めている。

リリアにいいところを見せる為だ。


2人ともリリアにゾッコンであり、いいところを見せて好感度を上げたいのだ。


そんなどちらも譲らない状況に、リリアは呆れて解決策を出す。


リリア「ほんとあなた達はすぐ言い争うんだから。2人で同時に

撃てばいいじゃない」


リリアの言葉に頷くエルとノル。

例え言い争うと、リリアに言われたら直ぐに2人とも仲直りをする。

何よりもリリアが第一優先なのだ。


とにかく、リリアにとっては御しやすい2人なのである。





そんなこんなで、喋っていると目の前の石塀を飛び越えて

暗殺者達がやってきた。


いや、、、死体となって敷地へと入ってきたのだ。


何せ、暗殺者達は石塀を超えた瞬間に眉間に矢が突き刺さるのだから。


最初の2人、そして続いたもう2人の合わせて4人は油断もあったのか、エルとノルの矢をモロに食らってしまったがその後からやってきた暗殺者達は矢を警戒し捌きながらやってきた。


「ちっ、まさか弓使いまで準備してやがるとはな」

「距離を詰めて一気に叩くぞ!」


8人の暗殺者達は一斉に駆ける。

距離があればあるほど弓の方が有利だ。

よって暗殺者達は距離を詰める事にする。


しかし、それをさせない者がいた。


リリア「それじゃあ、ここからは私の出番ね! 地獄の業火(ヘルフレア)!!!」


リリアの手から出る炎。

それは普通の赤い炎では無く、地獄を具現化したかのような真っ黒の炎であった。

そう。この世に存在しない炎である。


燃やす炎では無く、消し去る炎。

触れた者を一瞬で消し去る。


あまりの光景にエルとノルは口を大きく開き呆けた顔をしていた。

こうして、全ての方角で難なく四魔将が返り討ちにするのであった。

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