ゼノンの右腕
ゼノン達は国王と砕けた会話を暫くしていると、報酬の話に戻った。
渡されたのは白金貨1000枚、つまり10億円分の袋がゼノン、メフィにそれぞれ渡った。
一生働かなくても優に暮らせる額だ。
メフィは感激していたが、ゼノンは元々大金を持っている為に無反応である。
メフィ「ゼノン凄いね!!! こんなにあったら何でもできるわよ!」
以前は金銭感覚に乏しかったメフィも、人間界で暮らすようになり金の重要性に気付き人間に染まりつつある。
ゼノン「うむ。子供達の休みが長く続くようならまた遠出を
するのもいいかもしれないな」
そんな微笑ましい会話をしているとロベルトが口を開いた。
ロベルト「では謁見も含め報酬の授与は以上になります。
本日は御足労頂き感謝します。オルレア公爵様」
国王「ゼノン殿には今後も良しなにして頂きたい。
いつでも余の元へやってきてくだされ」
ゼノン「うむ。最後に1つ忠告しておくが教皇には気を付けろ。兄弟だからと情けをかけると足元をすくわれるぞ」
ゼノンの判断で国王は善良な人物である為、警告はしておく。
そして、先程まで笑顔だった国王も厳しい表情へと変貌し頷いた。
国王にも特別な情報網があるということは、教皇を探っているのだろう。
こうして、ゼノンとメフィはカリファと合流し王城を後にするのであった。
カリファ「は、は、白金貨1000枚?!!! な、なんですかその額は!!!・・・・・・いや、国家の存亡が掛かっていたのですから当然の額と言えば当然ですか、、、かくいう私も白金貨10枚頂きました。何もしてないのに・・・・・・なんかすみません。2人の恩恵にあやかったみたいで」
カリファは今回はハッキリ言って何もしていなかった。
強いて言えば2人に任務のお願いをしただけだ。
だから、カリファはそれが申し訳なくなっていた。
メフィ「そんな事ないわよ。あなたがいてくれたおかげで
お偉いさん達とはスムーズに進行出来たんだしね!
カリファが居て凄い助かったと思ってるよ!」
その言葉にカリファは目をうるうるさせ、
カリファ「メフィーロさーん!!!!!!」
感極まってメフィに抱き着くカリファ。
そんなカリファを優しくあやしてあげるメフィ。
カリファと別れた後は帰路に着き、家に帰ると子供達はまだ
学校から帰ってきていなかった。
皆がそれぞれ仕事をしている様だ。
家に居るのはレヴィアタンであるレビルのみである。
レビルも人間界を満喫している様で、日々街へ繰り出しては
女性に酒を注がせている。
つまり、ぐーたらな生活をしているのだ。
現に今もソファでだらだらと寛いでいた。
別に迷惑はしていないが、ここはレビルを有効に使いたいと思ったゼノン。
ゼノン「レビル。お前に頼みがある。レオンやイヴを連れて
例の無人島でレベル上げをしてくれぬか?お前の力なら陸でもトップの実力があるだろう?」
レビル「しゃーなしやな! ワイも居候で居るのは勘弁やし、
いっちょやりまっか!」
ゼノン「ただ、もしレオン達の身に何かあったら・・・・・・わかっているな?」
ゼノンの言葉にレビルは息を飲む。
レビル「わ、わかってまっせ!!! ワイが責任持って面倒みるとしまっせ!!! ほな早速出発や!!!」
レビルは庭庭で寛いでいるレオン達に会うや否や、ゼノンの出した転移ポータルで無人島へとワープする。
あの無人島は人間界でも屈指の実力者達が集う場所である。
そこならレオン達も更なる高みへと登ることが出来るだろうとゼノンは思うのであった。
ゼノン「メフィ、少し魔界へと戻る。夕飯には戻ってくる故、後は頼んだ」
出かける際は誰かしらに伝える。
それがオルレア家の決まりである。
メフィから返事が来るとゼノンはそのまま魔界へと転移した。
見慣れた部屋。
人生で1番過ごした部屋。
魔王の部屋。つまり、ゼノンの部屋である。
この部屋にはゼノンしか入ることは出来ない。
ゼノンの魔力を超えるものが居れば無断ではいることが出来るが
そんな者は存在しない。
つまり、誰も入れないのだ。
ゼノンは部屋から出るとそのまま、とある部屋へと向かう。
ゼノン「やはりここに居たかルシウス」
ルシウス「これはこれはゼノン様。本日はいかが致しました?」
ルシウス。ゼノンの右腕的存在であり、この魔王城の宰相である。
脳筋が多い魔族の中では珍しく、策を持って敵を倒す。
つまり知略型である。
そして、内政面も優れており色々な城内の管理、法律は全て
宰相であるルシウスの管轄である。
ゼノン配下の最古参てでもあり、ゼノン、いやこの魔王城には
絶対に居なくてはならない存在だ。
何より、ゼノンもルシウスを1番信頼していた。
ゼノン「なに、時間が空いたからな。城の様子を見に来たのだ。
そして、すまないなルシウス。お前にばかり面倒をかけて。
お前もしっかり休んでいるのだろうな?」
ゼノンはルシウスに謝る。
何せ仕事を全部いきなり投げ捨てたのだから。
といってもゼノンの仕事は配下でも敵わないような強敵を倒すことである。後は、他の魔王との会合だ。
だが、今現在魔界にはゼノン以外の魔王は存在しない。
なぜなら、四魔将が全て倒したのだから。
つまり、今現在の魔界は非常に安泰と言えるだろう。
小さな小競り合い程度なら発生しているが、大きな戦争はここ
数ヶ月ずっと起こっていない。
それほど、ゼノン一味の力は魔界では有名なのだ。
ルシウス「四魔将のおかげで外の仕事はなくなりましたからね。
だいぶ楽になりました。休みも取れているのでどうかお気に
なさらず人間界をお楽しみください」
確かにルシウスの顔色は良かった。
側近にばかり苦労をかけて自分だけが休む訳にはいかない。
そして、ゼノンはもちろん人間界へ行く時ルシウスも誘っていた。
誘っていたのだがルシウスは来なかった。
ゼノン「やはりお前は来ないのか?」
ルシウスは少し目を伏せるとゼノンを見つめる。
ルシウス「えぇ。今の人間達に敵意はなくとも、我が両親を殺された人間と仲良くする気はありません。ゼノン様のお誘いだというのに申し訳ありません。ですから、魔界の事はお気になさらず
ゼノン様は世界を一つにしてください。
それがゼノン様の夢なのですから。
魔界の事は私が責任持って手綱を握り締めておきます」
頷くゼノン。
その後は魔界の情勢を聞いてその場を後にした。
自分の部屋へと戻るとゼノンは椅子に腰掛ける。
ゼノン「ルシウス・・・・・・やはりお前の人間への憎悪は消えることは無いのだな、、、」
両親を殺されたルシウス。
だが、ゼノンへの絶対な忠誠は確かなものだったのだ。
「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」