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祖父の恩

国王がロベルトとスミスの2人を伴い部屋へと入ってきた。

傍には兵の姿もない。


カリファは急いで片膝を着き頭を下げるも、ゼノンとメフィは咄嗟にその行動に出る事は出来なかった。

なぜなら、人間の作法をそれほど知っている訳では無いから。


カリファは振り返ると、そこにはゼノンとメフィが寛いでいる姿があった。

急いで促すも、国王は


国王「構わぬ。公の場では無いのだからな。こちらこそ急に申し訳ない。少し座っても良いか?」


国王の言葉にホッとするカリファ。





6人は席に着き対面する。

国王が自ら冒険者に私用で顔を出すなど聞いた事がない。

そして、皆も国王が話すまでは口を開かなかった。


国王「先程も言ったが、ここは公の場では無い。ゼノン殿もメフィ殿も楽にしてくれ。そして、早速で申し訳ないのだがカリファ殿とスミス。すまないが席を外してくれぬか?」


いきなりの事に驚くカリファ。

しかし、スミスは流れるように立ち上がり、お辞儀をし、その場を後にした。

慌てるカリファもスミスに続き退出する。




そこでゼノンは少し眉間に皺を寄せていた。

2人には聞かれたくない。だが、カルロスには聞かれてもいい。

ということは、


国王「ゼノン殿、貴方の事は祖父からよく話を聞いておりました。

世界最強の魔王であり、中立を保つもの。是非とも一度直接話しがしたいと思っておりました」


やはりゼノンの思った通りであった。

国王を継ぐものなら多少、自分の名が語り継がれる事は予測していた。それ程、2代前の国王とは親密であった。


それにゼノンという名等、自分以外でも聞いた事がない。


決定打となったのが今回の件だったようだ。

ゼノンという名でレヴィアタンの任務をこなせる者など、人間では有り得ないと国王も思っていた。


そこで、独自の情報網でゼノンとカルロスの関係を知り、カルロスを問い詰めるとゼノンが魔王である事が分かったのだ。




カルロス「すいません、ゼノン様。流石に国王陛下には嘘がつけません」


頭を下げるカルロスであるが、ゼノンはカルロスを責めることは無かった。

カルロスの立場を考えれば当然である。


ゼノン「構わぬ。遅かれ早かれ知る事になるのだからな

人間の王よ、確かに私は魔王だ。そして、嫁は精霊王よメフィーロ。今は人間界で色々な種族と共に暮らしている。それこそ人間もな。願わくば私達が人外である事は伏せてもらえると助かるのだがな」


ゼノンが国王にそう話すと国王は微笑んだ。


国王「もちろん他言無用にしましょう。聞けば祖父はゼノン殿に

命を救われたと聞きます。祖父の恩を孫の私が返せれば幸いです。しかし、そうですか・・・・・・ゼノン殿は人間と暮らしているのですか。それを聞いて安心しました。ゼノン殿が人間に仇なす存在ではない事を直接この目で確認したかったのですがそれも不要だった様ですね。貴方の目を見ればわかる。そして、奥方が精霊王とは・・・・・・本当に実在したのですな」


感慨深い様子でメフィを見つめる国王。

精霊等、おとぎ話の世界ばかりだと思っていた。

いや、この世界の全員が思っている事だ。


国王「さて、私用の件は以上だ。カルロス」


そう言ってカルロスに合図を送る。


カルロス「はっ、ではゼノン様、メフィーロ様、報酬の件に移りますがまずは1つ目、ゼノン様は過去にオルレア公爵家と名乗っていましたね? それを国王の名の元正式に公布しましょう。公爵ともなれば手出しする輩も減る筈です。何せ、公爵家はオルレア家を含め3家しか居ないのですから」


ゼノン「確か、国王の親族と大将軍だったか?」


ゼノンの言葉に頷くカルロス。


カルロス「そうです。国王陛下の妹夫妻、そしてこの国の大将軍であるバルバトス大将軍です。つまり、ゼノン様はこの国の重鎮扱いなのです」


その言葉を皮切りにゼノンの目つきが鋭くなる。

少し睨まれただけで呼吸が苦しくなるロベルト。

睨まれただけで失神しそうな目力。

だが、ゼノンも本気で睨んでいるわけではなかった。




その様子を見た国王が急いで訂正をする。


国王「扱いはそうであっても、国の為に仕えれと言う訳ではありませぬ。ゼノン殿にはこれからも同様、人間界で平和に暮らして頂ければ幸いなのです」


その言葉を聞いて、いつものゼノンに戻る。


メフィ「もうゼノンったら! 最後までちゃんと話を聞いてよね!」


メフィに軽く叱られるゼノン。


ゼノン「うむ。すまなかったなロベルト」


その光景を見てキョトンとしていた国王とロベルトであったが、

急に口を開き笑い始めた。

何がおかしかったのかわからないゼノンは、ただただ困惑する。


国王「ハッハッハッ、すまないゼノン殿、世界最強と言われるゼノン殿でさえ、妻には頭が上がらない様子。至極親近感が湧きましたぞ! 貴方も一人の父親なのですな! 私と同じだ! ハッハッハッ!」


ロベルト「やはり、どこの国も女性が強いようですね国王陛下!

先程は睨まれただけで失禁するところでしたよ!ハッハッハッ!」


そう言って笑う2人にゼノンは険しい顔をしていた。

だが、言われてみればそうかもしれない。


メフィには何故か頭が上がらない。

考えたこともなかったが、不思議である。

ゼノンはそんなことを考えながらメフィの顔を見るとメフィと目が合った。


メフィ「ん? ゼノンはゼノンのままで居ればいいんだよ♪」


ゼノンはその言葉に頷く。

他の家は知らないが、これで上手くやっていけているのだ。

ならば、このままでいいではないか。


ゼノン「うむ。お前達も同じならこれで良いのだろう。

私も現国王とは良い関係でありたいと思っている」




よく分からないが、妻の話で一気に距離を詰めることになった

魔王と国王。

互いにワインを乾杯して飲み合う。


そんなふたりの光景を見て、願わくば全ての生き物が2人の関係になれるようにと願うロベルトであった。

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