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深まる愛

「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」

皆お腹が膨れながらも、全ての食材を平らげた。

それほどシリュウ特製BBQは美味しかったのだ。


食を済ませるとムムとフィルが眠気を感じてきたのかウトウトし始めていた。


海を出た後、レビルに洗ってもらったとはいえ、風呂に入らないのはなんだか気持ちが悪い。

その為、ゼノンが森にある木を刈り檜風呂なる物を作った。

創造魔法で作った為、作業は一瞬で終わる。




そして、ゼノンが風呂を作る前に、ムムがどうしてもみんなで入りたいと、駄々を捏ねるため仕方なく水着を着けたまま皆で一緒に入る事になった。


全員が入ってもまだ余裕のあるその風呂を、ムムもフィルも

泳げる程である。


そんな子供を温かい眼で見守るフィルの母であるファル。

そして、そんなファルの横へ座るのはメフィであった。


メフィ「あなた達が来てくれて本当によかったわ。フィルちゃんのおかげでムムは家でも同い年の子と遊べるからね」


ファル「もったいないお言葉です。私達こそ奥方様達に拾って頂かなければ、奴隷商館で一生を終えるところでした。

それに、ムムお嬢様のおかげでフィルも毎日が楽しそうです。もちろん私もです」


ファルは皆に多大な恩を感じていた。

奴隷の身分でありながら、分け隔てなく接してくれるオルレア家の皆。

なんなら、そこらの人達よりも裕福な暮らしが出来ている。


ファルは今まで言う機会が無かった感謝の気持ちをメフィに

伝えるのだった。


メフィ「これからもママ友として、色々お話しようねファル!」


メフィが笑顔でそう話しファルに手を差し出すと、ファルも

微笑みメフィと握手を交わす。


やはり、温泉には人と人との距離を近める不思議な効果があるようだ。


そして、今回の交流をキッカケに今後はメフィもファルに色々相談するのであった。




満天の星空。大自然の温泉。

何度経験しても最高の気分にさせてくれるのだ。




温泉を出ると、これまたゼノンの作ったコテージの様な家に入り皆が眠りに着く。




夜も更けて周囲は静まり、皆が夢の中。

そんな中、一人の男が起き上がり一人砂浜で夜の海を眺めていた。

風も眠り、動物達も眠る静かな空間。

聞こえるのはさざ波の音だけ。



そこに居たのは、トラリーだ。


夜になり、今日の失態を思い出し悔やんでいたのだ。

相手の攻撃で頭を打ち、記憶を失っていたがそれも徐々に思い出してきた。


あれは、フレイのせいだけでは無い。

自分がフレイの言葉を守らず、戦いを挑もうとしたから

あの失態を犯してしまったのだ。


トラリーはまだ三年生ながらも、しっかりと反省と復習を

怠らない。

あの時、どう行動するのが正解だったのかを必死に頭の中でシュミレーションを行う。

避けて反撃するのか。それとも相手の攻撃を捌いてそのままの力で反撃を加えるのか。


否、フレイの言う通り逃げるのが正解だ。


あの敵は、当然ながらトラリーの手には負えない。

それなら、ダサくてもいいから必死に逃げるのが正解だった。


咄嗟の最適な判断が出来ず後悔するトラリー。

自分の愚かな行動に腹が立つ。


だから、トラリーは海を見て気を紛らわそうとしていたのだ。


そうして、海を眺めていると後ろから砂をふむ音が徐々に聞こえてきた。


振り返り驚くトラリー。


そこに居たのはゼノンであった。

恐らくトラリーの小さな足音でも目を覚ましたのだろう。


そんな呆けた表情をしているトラリーの横にゼノンも座る。

何も言わずに横に座る父にトラリーは、てんやわんやである。


そして、少しの沈黙の後にゼノンが口を開いた。


ゼノン「どうしたトラリー。眠れないのか?」


優しくそう話してくれるゼノン。

トラリーは小さく頷く。


ゼノン「それはフレイとの件が関係しているのだな」


この状況で一人黄昏ていれば誰でもわかる答えだ。

その為、ゼノンはトラリーに問う。


トラリー「はい・・・・・・僕がフレイ姉さんの言われた通りの

行動をしていればあの事態は間逃れました。それなのに、僕は

無謀にも挑もうとしてしまいました。その結果があれです。

フレイ姉さんには申し訳ない事をしたしてしまいました。」


トラリーは顔を伏せながらそう話す。

あの後もずっと笑顔ではあったものの何処か寂しげな表情を

垣間見せていたトラリーにゼノンは気付いていた。




ゼノン「そうか。トラリーは自分の過ちに気付き、皆が無事だった。私はそれで十分だと思うがな。お前はまだ10歳だ。

周りが周りなだけに急く気持ちもわかる。だがな、視野を広くしろ。アルレア家では下の方かも知れぬが、世界で見ればお前は間違いなく強者の部類に入るだろう。

そして、相手を見極める力を手に入れろ。

強い相手と戦いたい気持ちもわかる。だかな、死んでは意味がない。兄を頼れ。姉を頼れ。家族を頼れ。お前が恥じる事は何もない。良いな?」



ゼノンの重く甘い言葉にトラリーはしっかりと頷く。

確かに、トラリーは視野が狭かったのかもしれない。

自分の身の回りには世界を滅ぼせるであろう者達が数多く集っている。結果、トラリーは劣等感に苛まれ自身の力を見誤ることとなっていた。

強い相手と戦いたい。そしてもっと強くなりたい。

シンに少しでも近づけるようにと。


それが間違いだった。

シンは別格だ。

そして、最初から強かった訳ではない。

シンも当然、長年努力して手に入れた力なのだ。


トラリーは焦る事をやめる。

自分の力を知り、相手を知る。

まずはこれからだとゼノンの言葉で理解した。




そんな意志の固まった表情のトラリーにゼノンも微笑む。


ゼノン「どうやらやるべき事はわかったようだな」


トラリー「はい!わざわざありがとうございます父上」


トラリーは笑顔でそう答えるとゼノンがトラリーの頭を優しく撫で


ゼノン「では寝るとしよう。明日は心の底から楽しむがいい」


トラリーは大きく返事をすると、ゼノンと共に家へと戻る。




そんな二人の様子をベランダからメフィとフレイが見ていた。

二人も気になっていたが、いの一番にゼノンが部屋を出た為

ベランダから様子を伺っていたのだ。

トラリーの顔を見るに、気は晴れたのだと二人も理解した。


メフィ「私達の心配も杞憂に終わったようね。良かったわ」


フレイ「そうですね。今日のトラリーは空元気だった気がしたので。元気になって良かったです」


そう話すとメフィがフレイに抱き着く。

いきなりの行動に驚くフレイ。


メフィ「ゼノンとも言っていたけれど、オルレア家の長女は

貴女以外にはやっぱり任せられないわね! でも甘えたい時はいつでも甘えるのよ? 貴女も私達からしたら子供の1人なんだからね」


そう優しく包み込んでくれるメフィにフレイは気付けば笑顔になっていた。

甘えるなんて言葉は一度も考えたことが無い。


でも、たまにはいいかもしれないと思うフレイであった。

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