第2部 驚愕のニュージーランド編 VOL7 「交差点ってナニ?」(1997年)
ー驚愕のニュージーランド編 VOL7ー
「交差点ってナニ?」
~オアマル 1997年1月
ニュージーランド旅行ではぜひ1日は
レンタカーを使うことをオススメしたい。
心安らぐ風景を眺めながらのドライブは
実に楽しいものだ。
しかあーし!
この日俺を待っていたのはスリルに包まれた
未体験の「ノンストップ追い越し地獄」
だったのだ!
南島を横断して東側の海へと向かう。
この国には高速道路は存在しない。
しかし、ほとんどの道での走行ペースは
日本の高速道路と同等と考えていいだろう。
町と町の間の数十kmは歩行者は「皆無」だ。
丘では羊、牛、馬がのんびりと
草をはんでいる。
さすが国の総人口約350万人。
かなりの人口密度の低さだ。
さっき道路の端に白い馬に乗る
ジーンズ姿の若い女を追い越してから
どれくらい人間を見ていないんやろ?
日本での最高速度は高速道路でも
ほとんどが80キロ制限なのに
こっちでは一般道路だというのに
たいてい100キロだっ!
たまにカーブで75キロくらいに変わる。
町が近づくと70キロになり、
10秒後くらいには50キロ、町に入る。
ほとんどの町はどれもすごく小さい。
ガソリンスタンド、雑貨店、バー、学校、
いくつかの建物を通り過ぎて
「2分もしないうちに」町を出て最高速度は
再び70キロ制限、そして100キロに戻る。
ええっ? もう町を通り過ぎちゃったの??
ひたすら丘の間を、畑の横を、湖のほとりを
信号もなく道は続く。
車のラジオからは最近よく耳にする
アメリカのポップスが流れてくる。
湖と山の織り成す景色は
目をみはるほど美しい。
ドライブゲームをやってるような
現実的でない不思議な感覚に包まれる。
広々とした湖の岸には車がたったの3台ほど。
家族らしき数人が水辺で遊んでいる。
日本では簡単には味わえないような
贅沢なゆったりした空間。
片側1、又は2車線の道を120-130、
時々150-160キロくらいで走り続ける。
こんなペースだというのにすいてる区間では
1時間の間に追い越す車、すれ違う車が
それぞれたった5台!ずつくらいだ。
まーーっすぐなのに前にも後ろにも
1台も車が見えない状態が何分も続く。
今、この広おーい空間に
俺だけたったひとりだ。
追い越しはちょっと緊張する。
大阪の一般道路では、40、50キロくらいの
前車を追い越す。
一般道を120キロで走る車を
「もう、遅いんやからあ。」
とボヤキながら追い越すなんて
初めての体験なのだ!
もし追い越しを始めてから対向車が来るのが
予想よりも早くて正面衝突したら、
250キロ!?の衝撃に見舞われることに!
1000ccのバイクでの追い越しなんて
簡単なものだ。
加速がスゴイし
(俺のTL1000Sでもゼロヨン10秒余り、
最高速がスピードメーター読みで
290キロ以上?)、
車体の幅も車よりはるかに狭いから、
もしもの時でもなんとか元の車線に
逃げ込める。
しかし、1600ccの非力な車で
この追い越しをやるのは
ちょっと気合いと判断力が必要になってくる。
ついでに当時の俺のメガネをかけての視力は
0.8くらいであろうか。
イマイチ信用できないぞっ!
(2001年にレーシック手術を受けて
今は裸眼で見える)
(「ノンストップ追い越し地獄」に続く)