第2部 驚愕のニュージーランド編 VOL1「羊が、、、3000匹!!」 (1997年)
ー驚愕のニュージーランド編 VOL1ー
「羊が、、、3000匹!!」
ワナカ 1997年1月
第1部転生のアメリカ編は
お楽しみいただけたでしょうか?
さあ〜て第2部ニュージーランド編
行ってみよう!
南半球では日本とは季節が逆になる。
ニュージーランドの1、2月は花が咲き乱れ
最も自然が素晴らしい時期らしい。
夏でも朝夕はひんやり肌寒く、
昼はカラッと晴れ渡る日が多い。
信州みたいなすがすがしさで気持ちいい。
南極にけっこう近く、夏は夜9時頃になって
やっと夕暮れに近づいてゆく。
国土は北島南島合わせて日本の約3分の2。
人口は約350万人。
大阪だけでも900万人くらいということに
比べると、すごくゆったりしているなあ。
街も風景ものどかで、緊張の連続だった
アメリカの大都市とは別世界だ。
治安はたぶんやけど日本よりもいいと思う。
英語圏であるが、ニュージーランド、
オーストラリアの特に田舎の方のひとの
発音は聴き取れなくてもうタイヘン。
トゥデイ、メイトなど
「エイ」を「アイ」と発音するのは有名だ。
「ピン」と「ペン」の差もほとんど
わからない。
ニュージーランドではできるだけB&B
(ベッド&ブレックファスト、
朝食付きの家庭的な宿泊施設)や
ゲストハウスに泊まるようにしている。
安いし、つくりがとても温かく可愛らしい。
普通のホテルと違って一般家庭の何部屋かを
開放していて、ホストファミリーや
他の宿泊者とも親しく話したりできる
家庭的な雰囲気が素晴らしい。
さらに!
なかでもファーム(牧場)ステイは
一般のB&Bの3倍くらい、
とちょっと高い(当時100NZ$くらい)
けどオモロイっ。
ニュージーランドのケタ違いののどかさ、
雄大さにマイってしまった俺。
この時はニュージーランドへの訪問も
ファームステイも2度目だったが、
それでもオドロキの連続だった。
この旅行最初の街クライストチャーチで
調べて予約していた本日の宿泊場所
ワナカの農場へと向かう。
夏空の下、レンタカーの屋根は全開だ。
(当時自分の車もコンバーティブルカー
=赤いユーノスロードスター90年初期型で
小雨でも夜中でも、真冬でも暖房をつけて
屋根を開けて走っていた)
広々としたのどかな風景を堪能する。
キレイな可愛らしい2階建ての家に着くなり
30代のホスト夫婦が
「今から羊の種類分け作業をするけど
見たいか?」
と誘ってくれる。
「見たい!見たい!」
車から荷物を降ろして案内された
2階の部屋のベッドに置くと、
階段を走り降りて彼らについてゆく。
ウキウキしてくる。
前の経験から農場では何を見せてもらっても
オモロイというのを俺は知っているのだ。
「ここが羊の毛を刈る所だよ。」
とご主人。
家から30mほど離れたわりと広い
小屋の中を見せてくれる。
見たことのないアヤシゲな機械と
白っぽい毛が散乱している。
ここで毛刈りをするのか。
「そしてこっちが、、、、」
木の扉を開けて外へ出る。
「、、、、羊たちだ。」
俺は目を疑った!
なんと3000匹!の羊がいっせいに
こっちを見る。
30匹じゃない、
3000匹に見つめられている!
羊の習性なのか右を向いているものも
左を向いているものも
首だけをこっちに回してジいーーーッと
黙って見ている。
こ、これは、、、、
「羊たちの沈黙」だっ。
(ザ、ザブトン2枚っ!)
羊を観に来たというよりも
俺が観られてるやないか。
羊の大群はまるで巨大なふかふかの
白いじゅうたんのように茶色の地面を
覆い隠していた。
そのまわりを3匹の白黒や茶色の
シープドッグがウレシそうに吼えながら
追いたてると羊たちはおびえたように慌てて
一斉に走り出し、あたり一面に大きな
「白い波」のうねりが巻き起こる。
うおおおおーーーっ!
な、なんだこりゃあーっ!
シープドッグと羊たちの
ワイルドなダンスが始まった!
羊たちが移動していった地面に2匹、
ビー玉のような目を開いて死んでいた。
ご主人が驚くこともなくつぶやく。
「心臓マヒだ。時々こうして死ぬ。」
そら3000匹やもんなあ。
(「羊たちとの熱いタタカイ」に続く)