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笑顔の続きをまた見せて!  作者: 小林汐希
17話 18年ぶりの同級生
35/40

【17-1】




  私が退院、リハビリももうすぐ一段落だという、その年の11月。私は電車に乗ってその会場に向かっていた。


 もちろん、もう一人じゃない。隣には私のことを支えてくれている大切な人が一緒だ。


「緊張するか?」


「うん……。だって、みんな私のことお化けだと思うかもしれないよ?」


「ちゃんと見せつけてやりたい。美穂は元気で生きてるんだって」


 ヒロくん……。私の旦那さまは私の手をグッと握ってくれた。



 2カ月前、郵便受けにその招待状が届いていたのを見つけたのは私。


 お仕事から帰ってきたヒロくんは、封を開けてその場で『参加』に丸をつけた。ただ、『今年は二人で参加します』と書き足した。


「昔と同じ。俺がついてるから」と笑ってくれた。



 どんな姿で行けばいいのだろう。


 ヒロくんとは冗談混じりで「当時の服を着てみれば?」と話したりした。


 確かに着られるけれど……、いや正確には普段着として着ていることもあるけれど。さすがにその姿はヒロくん以外には見せたくないと思った。


 私のことを当時の姿から覚えてくれている旦那さまに見せられればそれだけで十分なんだもの。



 それでも、私の身長ではまだガールズのサイズが多いことも確かで、丸襟のワンピースにコートをあわせて、パンプスもシングルストラップのついたもの。


 きっと28才には見えないだろうな。でも「似合うからそのくらいでみんなを驚かせてやろう」とヒロくんは笑って言ってくれた。




 『笹塚小学校 同窓会』というウェルカムボードが飾られた会場に到着して、受付に進む。


「小田か。今年は二人だって? まぁ、みんな結婚が始まっているからな」


「そうそう。今年はどうしても連れてきたい人がいてさ」


 私は手前の角のところで待たされていたけれど、ヒロくんが手招きをしてくれた。


「おひさしぶり……です」


「えっ……!? 小田、マジか?!」


「そう。サプライズにしたいんだ。そこをなんとか頼むよ」


「そんなことがあったなら、もっとちゃんと教えてくれよー。分かった。近況報告のところで登場にするか」



 そんなことがあって、私とヒロくんは控え室で待つことになった。


「早く来て正解だったろう?」


「もぉ、ヒロくんもいたずら好きだなぁ」


「俺は、頑張ってくれた嫁さんを見せたいだけだ。それに、あの頃は俺たち二人は『困ったさん』だったからな」


 きっとそれだけじゃない。あの当時のことを大切に覚えていてくれている。


 だからこそ1年前はみんな私がもうこの世にいないという発言に本気で怒ってくれていたんだ。


 それを見返してやりたいという、私以上にその気持ちが強いんだろう。




 表の音を聴いていると、同窓会が始まったみたい。


「一緒だから、緊張しなくていいんだから」


「うん」


「小田、もう始めるぞ?」


「分かった。適当なところで呼んでくれ」


「……今年も何組かの結婚報告がありましたが、今年は驚く報告があります。発表は小田からしてもらいます」


「え、今年も小田来てたんだ」



 ヒロくんが、先に一人だけ舞台袖のカーテンから出た。


「登場を遅らせてすみません。今年の春、自分も結婚しました。みなさんに紹介します。……妻の美穂です」


 ヒロくんが私の手を引いてカーテンの後ろから引き寄せてくれた。


「えーーっ?!」


「嘘ぉ!」


「どこで?」


「元気だったの?」


 会場のあちこちから、声が上がる。


「竹下美穂さんです。もう結婚して小田美穂になっています」


 私の周りに人垣があっという間に出来上がった。




「元気だったの!?」


「病気は治ったの?」


「タイムスリップしたみたいに見えちゃうな」


「身長変わってないでしょ?」


 口々に言われても、いまは平気。


 ちゃんと、隣には手を繋いでいてくれる人がいるから。


「はい。元気になれました。あの当時はご心配をおかけしました」


 マイクを握るように促され、私は反対側でヒロくんの手をギュッと握ったまま答えた。


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