表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑顔の続きをまた見せて!  作者: 小林汐希
11話 止まった時計を動かすために
22/40

【11-1】




 桜の開花宣言というニュースが出た朝、美穂と彼女の両親、そこに俺を加えた四人で病院に向かった。


「お花見したかったなぁ」


「戻ってきたらどこでも行けるだろう」


「だけどぉ、みんなお花見してるのに、私だけ病室からだなんて……」


 少し拗ねている美穂にみんな笑っている。


「だから、元気になって早く出てこいって」


「だけどぉ……」


 開花宣言は出たけれど、しばらくは寒い日が続いて開花は進まなさそうという予報も出ている。


 経過がよければ、満開になる前には病室を出られるだろう。



 主治医の先生への挨拶と診察のあと、入院の手続きをして事務の職員さんに連れられて病室へと向かう。


 六人部屋だけど、彼女の場所は南向きの窓に面したベッド。同室の患者は美穂を入れて三人だという。


 小児科ではないので、同室の方の年齢はずっと上というところ。逆に美穂にとって同年代とはいろいろとトラウマもあったりするから、この方が都合がいいのかもしれない。


「娘がお世話になります。美穂、あとは小田くんとやってくれる? お母さんたち先に帰るから」


 病室の場所まで分かっていれば、付き添いがたくさんいても病院的には邪魔になってしまう。


 先に帰る二人を玄関まで送って、細かい生活消耗品を売店で買って病室に戻ったとき、美穂のベッドのところに人影が見えた。


「あ、お戻りになりましたね。竹下美穂さんですか?」


「はい」


「はじめまして。この入院期間、竹下さんの看護担当をさせていただきます三河(みかわ)瑠璃るりです。よろしくお願いします」


「あ、こちらこそ、お願いします」


 まだ若い女性の看護師さん、きっと俺たちとそれほど変わらないだろう。


 胸元のネームプレートに、ICU・NICU・外科・小児科と書かれている。心臓外科であればICUは必ずお世話になるから、そちらの担当から回ってきてくれているようだ。


 背をしゃんと伸ばして、ぱっちりした目元がとても明るい印象を与えてくれる。


「竹下美穂さん……、え? 私より年上なんですか? 失礼なんですけど……めちゃくちゃかわいいです……」


「えー、三河さんだって、本当に看護師さんなんですかぁ? もっと怖いイメージだったから」


「瑠璃ちゃんは普段は優しいけど、怒ると怖いよー」


「でも、本当にいい看護婦さんだから大丈夫。」


「もお、大西さんも田口さんも、竹下さんに変なこと教えないでくださいよね?!」


 同じ病室の二人に声をかける三河さん。


 それだけ信頼されている看護師さんだとはこのやり取りだけでも分かる。でもその本質に気づけたのは、もう少し時間が経ってからのことだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ