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笑顔の続きをまた見せて!  作者: 小林汐希
10話 薬指へ込めた祈り
21/40

【10-2】




 翌朝、ゆっくりの朝食を済ませた俺たちは、美穂をつれて新宿の街へ出た。


 本当は彼女の体調を考えれば郊外の空気のきれいなところに逃がしてあげたいけれど、やはり気にいったものを選ばせてあげるためには選択肢が多い方がいいだろうという判断と、美穂もそれに同意をしてくれたことが決断を後押ししてくれた。


 いくつかの店を回って、これまで目星をつけていた指輪を見せることにした。


「エンゲージリングなのに、そんなおとなしくていいのか?」


 給料3ヶ月分とはよく言ったものだけど、彼女は光る石の入った華美なものには目もくれず、おとなしめのピンクゴールドの1本を選んだ。


 よく見ると、ふたつのラインが重なりあってハートを描くような彫刻デザインが施してある。


「こういうのなら、手術室に持っていけるからね」


 なるほどと唸った。確かにこれなら普段つけていても許される。


「結婚指輪も同じようになっちゃうかもしれないけど?」


「うん、それでもいい。そのときにあわせて好きな方をつければいいんだもん」


 予算的にだいぶ抑えられたこともあって、次は彼女がいつも服を買いに行くという店に同行させてもらった。


 春物の新作が出そろってきたという時期。


 指輪の浮いた予算分で、セーラーカラーのワンピースと、ベージュとパステルピンクのスカート、白いベーシックなブラウスとプレゼントさせてもらった。


「本当によかったの? お値段安くなかったよ?」


「指輪代が桁ひとつ下がったから気にするようなレベルじゃなかったよ。昔からこういうお店で買ってたのか?」


「ううん、小学校の頃は普通にスーパーとかで買ってたんだよ? でも今は今日のお店とかアウトレットとかも多いかな、最近はかわいいお店もたくさんあるしね」


 婦人服でSサイズだと、逆に小学校高学年のお客さんもいるようで、早めになくなってしまうこともあるそうだ。




「あのね、入院の日が今度決まるって」


 帰りの電車の中は、自然とこの話題になっていた。


「そうか。長くなるのか?」


「手術前に1週間、検査とかいろいろして、当日があって、そこからリハビリとかして1週間くらいかな」


「2週間か。毎日見舞いに行くからな」


「えっ、そんな大変だから大丈夫だよ」


「だって、家族なんだから顔ぐらい出すだろう普通?」


「ヒロくん……」


「泣くなよ。そのために気持ちを整理したんだろ?」


「ううん、違うの。嬉しくて……。もう、他の言葉が見つからない……」


 駅からの帰り、部屋に置いておいた美穂の荷物を一度取りに戻り、彼女の家まで送り届ける。


「私、頑張るから。だから……」


「うん……」


 入院の日が決まったら、必ず一緒に行くから教えてくれるように約束をして、俺たちの婚約後初めての1日は終わった。


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