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笑顔の続きをまた見せて!  作者: 小林汐希
6話 新しく始まった日常
12/40

【6-2】




 外回りから帰って、業務日誌を整理しているうちに、外が暗くなっていることに気付いた。


「小田ちゃん、そろそろ上がっちゃえよ」


「おぉ、もうそんな時間か……」


 チームの同僚から声がかかる。


 時計を見ると、8時15分。確かに電車の時間を勘定すると、今日の仕事切り上げの時間だ。


「いいよなー、竹下美穂ちゃんだっけ? あんな可愛い女の子どこで見つけたんだよ?」


 聞いてくる連中に、昔の同級生だと説明すると驚かれる。


 仕方ないだろう。一見すると中学生、いや小学生もに見られてしまう美穂。


 職場の面々も一度だけうちの近くでの打ち合わせの時に、駅で俺を待ってくれていた彼女に出くわして面識はできている。


 そこで、俺の帰りを待っていてくれる美穂がいると知れてから、みんなも面白がって俺をなんとか時刻通りに帰そうとしてくれていた。


「ほら、あんな可愛い子待たせて。また補導されちゃうから早く帰ってやれ!」


「すみません!」


 みんなに笑って送り出してもらって、地元の駅に戻る。


「ただいまー」


「おかえり。お疲れさま」


「こんな時間なのに悪かったな。ごめんな」


「ううん、明日は病院もないし。朝のお散歩が終わったらゆっくりできるから」


「そうか。はい、これ、待っていてくれたお礼」


 改札を出たところにあるコンビニで買ったあんまんを美穂に渡した。


「ヒロくんのは?」


「俺のもあるから大丈夫。その辺はぬかりない」


「ありがとう、今夜も寒いねぇ……」


 朝と違って、夜は俺が彼女の家まで送っていく。


 夜の散歩は美穂がコース後半に俺との合流点を経由するというスタイルだから、自然と待ち合わせ場所は駅前になる。


 こうやって1日2回、顔を合わせていないと、お互いに落ち着かなくなったのは大きな変化だ。


「今日もちゃんと持ってきたのか?」


「うん、もうあんなこと聞かれるのは恥ずかしいしね」


 以前、同じように待っていたくれたとき、巡回中のお巡りさんに小学生と間違えられてちょっとした騒ぎになってしまった。


 もちろんすぐに誤解は解けたけれど、交番でも話題になって、今では雨の日などは時間まで交番の中で待たせてくれることもあるそうだ。また彼女自身も常に年齢が分かる保険証を持ち歩くようになったという。


「本当に、遅くなってごめんな」


「ううん、ヒロくんこれからご飯なんだよね?」


「まぁ、そうだけど?」


「さっきね、お母さんから、よかったら軽く食べていってって」


「こんな時間にか?」


 駅前からゆっくり歩いて10分ほどの距離だとしても、こんな夜分では失礼な話だと思う。


「今夜、お父さんが出張で帰らないの。だから、お母さんがどうぞって」


 無理に断るのも逆に失礼な話だ。俺は美穂の家にお邪魔することになった。


 

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