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一年サタン組のよい子たち、生贄聖女を育てます!  作者: 三羽高明@『廃城』10/7電子書籍化
三日目 一年サタン組のよい子たちは、生贄聖女とお話しがしたいです!
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お喋り

 それ以来、コーマックとレジーはニエちゃんと大の仲良しになった。


 特にコーマックは念のために病院に連れて行かれ、検査の結果何の問題もないと分かると、「ニエちゃんは人間だけどすごいんだ!」とクラス中に触れて回るまでになったのである。


 そして、ニエちゃんがいかに素晴らしいのかを証明しようとしたコーマックは、ついにとんでもないことをしてしまう。


「はじめ……まし……て。わたし……ニエちゃん。よろ……しく」


 ニエちゃんが来てから三日目の昼休みに、コーマックから「大ニュースがあるから来て!」と言われ、ニエちゃんの檻の前に集まったサタン組の子どもたちは目を丸くする。


 なんと、ニエちゃんが片言ながらも明瞭な悪魔語を話していたのだ。


「僕が教えたんだぞ!」


「後俺もー!」


 皆の驚いた顔を見て、コーマックは鼻高々だ。レジーもその横で胸を反り返らせている。


「一体どうやって……?」


 ルインはポカンとしながら尋ねる。コーマックは、「僕が最初に言葉を話して、ニエちゃんにそれを何度も繰り返させたんだ」と自信満々に返した。


「それだけじゃないぞ! ニエちゃんは、自分が何を言っているのか、ちゃんと分かってるんだ!」


 ただ教えた言葉をおうむ返しにしているのではないと証明しようと、レジーがニエちゃんに目で合図する。


 ニエちゃんは手元にあった紙にクレヨンで太陽の絵を描いて、「きょう、いい、てんき」と言ってみせた。


「す、すごい……」


「ねえニエちゃん、『マリリン』って言ってみて!」


「あっ、ずるーい! あたしが先よ!」


 サタン組の子どもたちは、ニエちゃんの言語能力の高さにすっかり感嘆していた。予想外の盛り上がりに、コーマックの心も踊る。


 喋れるようになりたてのニエちゃんは、まだ上手く会話できないようだったが、皆が楽しそうにしているのが嬉しいのか、「わたし……てんき、みる、したい」と続けた。


「天気が見たい?」


「外に出たいってことかな?」


「そう言えばニエちゃん、お外に出してあげたことなかったよね」


「よーし、皆でお散歩だー!」


 言うが早いか、エドが職員室まで一っ走りし、ニエちゃんの檻のカギを取ってくる。コーマックは、他の子たちに取られないように彼女の右手を素早く握った。それに気が付いたレジーも、ニエちゃんの反対側の手を取る。


 それを見たエドが、「そんなに慌てなくても、ニエちゃんが喋れるようになったのは二人のおかげなんだから、誰も割って入ったりしないよ」と苦笑いした。


 コーマックとレジーと手を繋ぐことになったニエちゃんは、「て、あったかい」と感想を述べている。何故だか分からないがコーマックは無性に嬉しくなって、弾む足取りで皆と一緒に教室を出た。

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