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一年サタン組のよい子たち、生贄聖女を育てます!  作者: 三羽高明
五日目 一年サタン組のよい子たちは、生贄聖女を助けたいです!

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学園長室にて

 チェーンとクルトの姿が元に戻ったのは、朝のホームルームが終わりかける時間のことだった。校舎を徘徊していた二人を変身術の先生が見つけ、魔法を解いたのだ。


 その頃になると、「学校に凶暴な肉食ナメクジが侵入してきた」という誇張された噂が学園中に流れており、あと少しのところで、その『凶暴な肉食ナメクジ』を駆除する決定が下されることになっていたらしい。


 変身術の先生が正体を見破っていなければ、大変なことになっていたところだった。


 魔法が解けたことでチェーンとクルトはようやくまともに話ができるようになり、問題児二人組とサタン組の間で起こったトラブルが発覚した。


 その結果、関係した生徒たちは皆学園長室に呼び出された。


 チェーンとクルトはナメクジにされたことですっかり懲りたのか、それこそ塩でもかけられたように小さくなって、先生に促されるままにサタン組に謝った。


 だが、サタン組の子どもたちは頑固だった。皆、頑なに自分たちは悪くないと主張して譲らなかったのである。


「だって、チェーンとクルトがニエちゃんを誘拐したんです!」

「ミミズなんか食べさせようとして!」

「二人は僕たちじゃなくて、ニエちゃんに謝るべきです!」


 生徒たちの主張を聞いて、子どもたちと一緒に呼び出されたサタン組の担任の先生と学園長は、困ったように顔を見合わせた。


「皆、まあ落ち着きなさい」


 学園長はサタン組の生徒たちをなだめる。


「魔王様からお預かりした大事な飼育生物がひどい目に遭わされたのは、確かに大変なことだった。だが、幸いなことに人間には、起こったことを正確に認識できる知能なんてないんだ。あの動物は、自分がひどいことをされたなんて、これっぽっちも分かっちゃいないんだよ」


「分かります!」

 

 ルインが真っ先に反論した。


「ニエちゃんは、先生が思っているよりもずっと賢いです! 言葉だって喋るし、字も書けるし……」

「君、想像力が豊かなのは結構なことだが、嘘はいかんよ」


 学園長は顔の前で手を振って、ルインの話を遮った。


「人間にそんな芸当ができるわけがなかろう。『できたらいいな』と『できる』を混同してはいかん。まったく、先生は子どもたちにどういう教育を施しておるのかね」

「す、すみません」


 サタン組の担任の先生は平謝りだ。皆はそれがどうも面白くない。


 エドが、「じゃあ、ここにニエちゃんを連れてきて、『できたらいいな』じゃないって見せてあげます!」と言ったが、学園長は「分かった、分かった」と言っただけで、本気で取り合おうとはしなかった。


「さあ、もう戻りたまえ。今回の騒動は、君たちの親御さんにしっかり伝えておくからね」


 学園長は、話は終わりだとでも言うかのようにサタン組の担任の先生に目配せした。先生は、「さあ、皆さん……」と子どもたちを急かす。


 全員がまだ不服そうな顔をしていたが、彼らは大人しく指示に従い、学園長室から出て行った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ニエちゃんの良いところをちゃんと伝えることができたルインくん。 さらに成長しましたね! にしても学園長クソですね(怒)!
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