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一年サタン組のよい子たち、生贄聖女を育てます!  作者: 三羽高明
四日目 一年サタン組のよい子たちは、生贄聖女の事をよく知っています!

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図鑑の『人間』

 ルインが教室に戻ると、意外なことにすでに皆下校した後のようで、誰もいなくなっていた。とは言え、ルインにとっては都合がいいことである。ルインは自分の席の引き出しの中に図鑑があるのを見つけると、胸を撫で下ろして教室を出ようとした。


 しかし、席を立ち去ろうとした途端にニエちゃんと目が合ってしまう。ニエちゃんは嬉しそうに手を振ってきた。その朗らかさに吸い寄せられるように、ルインはニエちゃんのところに足を進めてしまう。


「……何だよ、下等生物のくせに」


 ついつい彼女のもとに来てしまった自分が恨めしくて、ルインは憎まれ口を吐いた。ニエちゃんは無邪気に、「かとう……なに?」と聞いてくる。


「下等生物。僕たちより劣っている生き物ってことだよ」


 ルインは仕方なく説明してやる。


「本にそう書いてあるんだ。……ほら」


 どうせ書かれている内容を理解できるほど、彼女はまだ自由に読み書きはできないだろうけど、と思いながら、ルインは持っていた図鑑の『人間』のページをニエちゃんに見せた。


「……これ、わたし?」


 ニエちゃんは図鑑をしばし凝視した後、棒を振り回す粗野な顔つきの人間の挿絵を指さして首を傾げた。


 そして、檻の中に置いてある手鏡に映った自分の姿を見る。この鏡は、ニエちゃんも身だしなみくらい整えたいだろうから、ということで、マリリンがプレゼントしたものだ。


「にてない」

「……確かにこの絵は、ちょっと大げさに描いてあるかもね」

 

 そのことはルインも認めていた。


「このえ、ちがう。だから、ルイン、かいて、わたし」

「えっ、僕が!?」


 ニエちゃんは檻の隙間からクレヨンを差し出してくる。意外な申し出にルインは困惑した。


「わたし、これ、ちがう。ルイン、ほんとうの、わたしの、すがた、かく、です」

「でも、僕、絵はあんまり……」

「ルイン、かく、です!」


 ルインは断ろうとしたが、ニエちゃんの方が強引だった。案外わがままなんだなと思いながら、ルインは仕方なくクレヨンを受け取って、近くにあった紙にニエちゃんの絵を描いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 棒を振り回して争い合う人間……もしかしてかつての戦争の風景? 悪魔の戦争って、人間と戦うより人間同士を争わせて、悪魔と契約した人間を勝たせることで人間を間接的に支配するような、そんな意味で…
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