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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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ホワイティーの訪問

第九十六章 ホワイティーの訪問


 その夜、俺はなかなか寝付けなかった。マリーと芽依には『ブランシェは何もやってないよ』と言ったが根拠は何もない。冷静に考えると何かやっている可能性が高い。この城内で白魔術を使えるのはおそらくブランシェとホワイティーの二人だけ。ホワイティーに完璧なアリバイがある上に事件の後ブランシェは姿を消しているのだ。こんな怪しい展開はないではないか。でもブランシェに限って俺を裏切るわけがない。そう自分に言い聞かせてみたがなぜか自信がなくなってくる。

 コンコン。その時ドアをノックする音が聞こえた。時刻は午前一時。こんな時刻に誰だ?

「ホワイティーです。四郎様、入ってもよろしいでしょうか?」

ホワイティー? 何でこんな時間にホワイティーが来るんだ?

「ああ、どうぞ」

俺はベッドから起き上がると椅子の方へと進んだ。

「夜分遅くすみません。どうしてもお話ししたいことがありまして」

「とりあえず座ってくれ。立ち話も何だから」

「失礼します」

ホワイティーは丁寧にお礼を言うと椅子に腰掛けた。

「それで話したいってことは何だ?」

「はい、スパイの件です」

「スパイのことだって? 何か知ってるのか?」

「いえ、知っているのではなくて誤解を解きに来ました」

「誤解?」

「はい、私は微力ではありますが読心術が使えます」

「読心術?」

「そうです。今日、四郎様が私に話しかけてくださったとき、私を疑っておられると感じました」

「え?」

「信じてください。私はスパイではありません」

「それを言いに?」

「はい」

「でも、何でこんな時間なんだ?」

「この話は誰にも聞かれたくなかったからです」

「しかし、この時間だと寝ている可能性もあるし」

「四郎様はきっと寝付けないだろうと思いまして」

「なぜそんなことがわかる?」

「四郎さんはブランシェのことを心配していらっしゃいましたので、きっと眠れぬ夜をお過ごしではないかと」

「そんなことまでわかるのか?」

「はい、感じました。かなり必死だったと思います」

「その通りだ」

「ブランシェが犯人でないと信じたいのですね」

「そうだ。ブランシェはスパイなんかじゃない!」

「でも今はその自信もなくなりかけている。違いますか?」

「何が言いたいんだ!?」

「失礼しました。ブランシェがスパイかどうかはわかりませんが私はスパイではありません。信じてください」

「言いたいのはそれだけか?」

「あと一つ。ピピプル様は白魔術にこだわりすぎております」

「どういうことだ?」

「残念ながら私の申し上げられることはここまでです。では失礼します。夜遅くお時間を取らせましたことを深くお詫びいたします」

「おい、どういうことか話してくれ!」

ホワイティーはそれ以上のことは何も話すことなく部屋を出て行った。

 一体何を言いに来たんだ? 何か知っているのならなぜ話してくれない? 結局俺は朝まで悩み続けるのであった。

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