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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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犯人は誰だ

第八十六章 犯人は誰だ


「酷いよ四郎君。私が今日帰るの知ってるでしょ。そんな大切な日にどこに行ってるのよ。もし帰らないつもりなら少しでも長い時間一緒にいたいとか思わないわけ?」

小百合はからかうような口調で言ったがかなり本気も混じっているように感じられた。

「ごめん。かなりやばい状況が起きたんだ」

「何よそれ?」

聞いてきたのは小百合ではなくマリーだ。

「お前たちは信用できるから言うが今から話すことは誰にも言わないでほしい」

「勿体ぶってないで早く言いなさいよ」

「実は俺の寝室にホワイティアからのメッセージが置かれていたんだ」

「どうやって置くのよ」

「そこが問題なんだが、この城に白の国のスパイがいると考えるのが妥当だろう」

「そんな重大なこと何でもっと早く言わないのよ!」

「お姉さんには相談した」

「どうして私じゃないわけ!」

マリーが怒鳴る。

「それは当然のような」

「芽依もそうするよ」

「何よ! あなた達まで!」

マリーはまだお姉さんとの実力差を理解できていないようだ。

「メッセージを置ける状況にあったのはこの部屋を担当するメイド三人だ」

「今あなたの寝室にいる三人ね」

「俺とお姉さんで聞き取りをした。ソフィーナはしっかりものでこの三人をまとめる立場にある。責任感も強い。ただ病弱の母を抱えて貧しい生活を送った経歴がある。ホワイティーは十年前に白の国から亡命してきた人物だ。しかし、この国の王家に恩義を感じている。アンジェリカはいい加減な性格で何をするかわからない性格だが、白の国との接点が考えにくい」

「何か怪しいところはなかったの?」

こういう推理が大好きな小百合が飛びつく。

「怪しいところは何もなかったな」

「細かなことでもいいから何かなかったの? 例えば慌てる仕草があったとか」

「それが全くなかったんだ」

「それはそうよ。白の国のスパイはシビアだから失敗したら即死刑だもの。聞き取りくらいでシッポを出すわけないじゃない」

「そこで俺がホワイティアに会いたがっているという情報を流してスパイが動くのを待っているというわけだ」

「芽依はアンジェリカさんが怪しいと思うな。いい加減な振る舞いはきっと本来の自分を隠すための芝居だよ」

「私はホワイティーが怪しいと思うわ。やはりスパイとなると白の国との接点がどれだけあるかがポイントになってくるわ。その点この三人の中ではホワイティーが一番接点があるんじゃないかしら」

「その点ではお姉さんはブランシェも怪しいと考えているらしい」

「そんなのブランシェが一番怪しいに決まってるじゃない」

マリーここぞとばかりに言う。よほどブランシェに恨みがあるのだろう。

「私は怪しくない」

部屋に入ってきたブランシェが言った。

「いつも四郎にくっついてるじゃない。四郎には私というフィアンセがいるのよ。それを承知で四郎に纏わりつくなんてこれ以上怪しいことはないわ」

やはり恨んでいたか。

「フィアンセだと思っているのなら、もっとしっかり管理できるはず。四郎さんはあなたより好きな人がいるとしか思えない。たぶんホワイティアより愛されていないと思う」

「な、な、何ですってー!!」

マリーはブランシェを殴ろうとするが簡単にかわされる。どうやら魔術では叶わないとみて物理攻撃に出たようだ。

「ちょっと何よこれ! 変な壁で動けないでしょ! ここから出しなさいよ!」

ブランシェはバリアでマリーを囲うと俺に話し始めた。

「今、あの三人の様子を陰から見ていたけど」

「どうだった?」

「アンジェリカのベッドメイキングはまるでなってない!」

そこを見てたんかい!

 このやりとりを見て『私のこと忘れられてる』とふと思う小百合であった。

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