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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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夢見る少女

第七十八章 夢見る少女


 寝室に戻ると芽依が寝ぼけた顔で目を擦りながら立っていた。

「お兄ちゃん、どこへ行ってたの?」

「お前こそどうしたんだ?」

「変な夢を見ちゃって。一人で部屋にいるのが怖くなったからここに来たの」

「変な夢?」

「うん。ホワイティアさんがお兄ちゃんを鞭で殴り続けた後、八つ裂きにして最後は爆発させるの」

そこまでするんかい!

「確かに変な夢だな。仕方ないな。じゃあ、お兄ちゃんの部屋のソファーで寝るか?」

「芽依ベッドがいい」

な・ん・だ・と。仕方ない、俺がソファーで寝るか。

「お兄ちゃんもベッドで寝てくれるよね?」

「え? それはまずいような・・・・」

「だって芽依怖いもん」

まあ、兄妹だからいいか。

「わかった。だから早くお休み」

「寝ぼけて芽依に手を出さなかったら駄目だよ」

「それ日本語おかしいだろ!」

こんなことを言いながらも、芽依はすぐに寝てしまった。やはりまだまだ幼いんだな。

 明日は小百合に俺がここに残ることを告げることにしよう。何か言い辛いな。俺がマリーを選んだと思うかもしれない。ただ『このタイミングで帰ることはできないだけだ』とはっきり伝えることにしよう。

 考えてみれば小百合には本当に悪いことをしている。完全に俺に振り回されている感じだ。おそらく俺と出会っていなかったら、もっといい男と付き合っていたと思う。何しろ美人で頭がよくて優しくて性格もいいのだから。本当に俺にはもったいない女性だ。

「理恵ちゃん。また遊ぼうね」

「え?」

突然、芽依が話し出したので俺は驚いて芽依を見たが、やはり寝ている。どうやら寝言のようだ。

「どうしたの理恵ちゃん。芽依だよ。忘れたの?」

俺は思わず絶句した。どうやらここにも俺に振り回されている少女が存在しているようだ。芽依は帰りたがっている。それはそうだ。友達と仲良く遊びたい年頃なのである。俺の存在が妹の青春を歪ませているのだ。

「理恵ちゃん! 行かないで!」

芽依は大きな声を上げると俺に抱きついた。

「ちょ、ちょっと、芽依? 寝ぼけるな」

ガチャ。

「四郎さん。私怖い夢を見てしまい・・・・」

「ブランシェ?」

「キャーーーーーーー!!!」

「どうしたの!?」「何? こんな夜中に?」

ブランシェの叫び声で小百合とマリーがこの部屋に飛び込んできた。

「こ、こ、これは違うんだ! 芽依、起きろ!」

「ちょっと、これはどういうことか説明しなさいよ」

マリーが指を光らせながら近づいてくる。

「まさかここまで節操がないとは思わなかったわ」

小百合は顔に手を当て泣き出した。

「・・・・」

ブランシェは呆然として突っ立ったままだ。

「芽依、芽依、起きて説明してくれー!」

だが、芽依は起きない。

 ああー、もうどうにでもしろ!

 数時間後、大きな川を渡りかけた俺はブランシェの回復魔術で何とか蘇るのであった。

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