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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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ヤンデレって何?

第七十三章 ヤンデレって何?


 俺はどうすればいいのかわからないまま時間だけが過ぎて行った。あと三日で小百合は帰ってしまう。ここに残るべきか小百合と帰るべきか。もし残るとすると俺はこのままマリーと結婚してここで永久に暮らすことになるのだろうか。そうなると芽依はどうなる? はたまた日本に帰るとするとマリーはどうするのだろう。一緒についてくるとも思えないが。もっと問題なのはブランシェだろう。日本に連れて行ったとしてもブランシェの将来的にはいいかどうかは疑問だ。もし、小百合と結婚した場合ブランシェの人生はどう保証する? 考えれば考えるほど答えは出てこない。

 俺は近くで編み物をしている芽依に、日本に帰りたいかどうかを聞いてみることにした。ん? 芽依が編み物? こんな姿始めて見るぞ?

「芽依、何でお前が編み物をしているんだ?」

「それは私だって女の子だもん。編み物だってするよ」

「いつからそんなことできるようになったんだ?」

「昔からだよ」

「嘘つけ」

「冗談だよ。ブランシェさんに教えてもらったの。女子力アップ作戦だよ」

女子力で戦ったら小百合やブランシェにはかなわないだろうに。

「ところで芽依」

「何? お兄ちゃん」

「小百合が日本に帰るそうなんだ」

「知ってるよ」

「聞いたのか?」

「うん。一緒に帰るかどうか聞かれたよ。学校も休み続けるわけにはいかないって」

「確かにそうだよな。そんなことはお兄ちゃんである俺が真っ先に考えなきゃいけないのに」

「その通りだよ」

おい! 確かにその通りなのだが、はっきり言われると何か腹が立つ。

「それで? どうするんだ?」

「お兄ちゃんに合わせるよ。お兄ちゃんが帰るのなら芽依も帰るし、残るのなら芽依も残る」

「ここに残ったらお前の将来はどうなるんだ?」

「お兄ちゃんと離れるのは嫌。今までずっと一緒にいたんだよ」

「それはそうだが、お前もいつかは好きな人ができて」

「だからお兄ちゃんと結婚するんだよ」

「なるほどな」

芽依は芽依なりにいろいろと考えているのかな? 俺も芽依が誰かと結婚するとなると、きっと寂しいんだろうな。

「お兄ちゃんは誰にも渡さないよ」

いきなりヤンデレ化した! これはこれで怖い。

「ヤンデレって何?」

どうしてブランシェは俺の考えていることがわかるんだ? 俺はヤンデレなんて一言も言ってないぞ!

「お兄ちゃんが他の女の人を見つめたら殺されるんだよ」

めちゃくちゃ極端な説明になってる。

「どうして殺すの?」

「他の女の人にお兄ちゃんを奪われるぐらいなら、お兄ちゃんを私の手で殺して永遠に私だけのものにしようってことだよ」

純粋なブランシェに何教えてるんだ!

「ふーん。異世界には変わった考え方があるのね」

そうだ。これは異常な思想だぞ。毒されるなよ。

「でも、この考え方好き。私もヤンデレになる」

えー! まさかの共感? ヤンデレ二人に好かれたらどうなるんだ? 命の危険が二倍になるってことか? もしかして俺、二十歳まで生きられないかも。

 そんなことを考えていると小百合がさっぱりした顔でやって来た。髪がやや湿っているようだ。このヤンデレたちと違って色っぽい。

「小百合、何してたんだ?」

「お風呂に入っていたのよ」

「こんな時間にかよ」

「もの凄く大きな大浴場があるの。好きな時間にお風呂に入れるって贅沢よねぇ。四郎君も入ってきたら?」

「俺はいいよ。この部屋に設置された風呂も十分でかいし。第一広すぎる風呂に一人で入ってたら寂しいだろ。日本の大浴場はたくさんの人が入ってるのが普通だからな」

「あら? 寂しいんだったら私が一緒に入ってあげようか?」

「そうか。それなら寂しくないか‥‥」

芽依とブランシェが包丁を取り出した。

「冗談に決まってるだろうが! 本気でこんな恥ずかしいことが言えるか!」

かなり必死でツッコミを入れる俺であった。

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