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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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マリーのお姉さん

第六十七章 マリーのお姉さん


 さすがこの世界を代表する軍人だけはある。部屋には多くの武器が飾られている。本来物理世界ではないわけであるから武器はあまり必要がないように思うが、これは単なるコレクションなのだろうか。

「凄い数の武器ですね」

「そうだろ? 自慢の品ばかりだ」

「こちらの世界でも武器は使うんですか?」

「いや、ほとんど使わない。やはり魔術の方が強いからな」

「では、この武器は?」

「表の世界に行った友が持ち帰ってきてくれた私への土産だ。私はこういうものが好きなものでね」

「そうなんですか」

「もちろん、ベチャ・ウンチの土産もある」

「できればマリーの呼び名でお願いします。今は〇もありませんでしたし」

「そうか。マリーというのが気に入っているのか」

「はい、というか品質的な面で‥‥あまりウン〇、ウ〇チと羅列するのは‥‥どうかと‥‥」

「よくわからんがよくわかった。これからはマリーと呼ぶことにしよう」

「よろしくお願いします」

遠くの方で、

「だから四郎は私と結婚するって言ってるのよ!」

というマリーの声が小さく聞こえてくる。もう暫くここにいさせてもらうことにしよう。

「ところで私を始め国民の多くはベチャ、あっマリーだったな。マリーが君と結婚すると思い込んでいるのだが、実際のところ君はその気はあるのか?」

うっ、何か答え辛い。散々適当に扱ってきたからな。本当に俺って優柔不断だ。

「すみません。俺にもよくわからないんです」

「よくわからない?」

「本当にすみません。もちろんマリーのことは好きです。でも、まだ中学生ですし結婚と言われてもぴんとこないんです」

「そうか。こちらの世界では許嫁として結婚を決めるのはよくあることだからな」

「優柔不断な俺がいけないんです。元々俺は小百合と付き合っていました。その小百合に『受験があるから暫く会わないでおこう』と言われて落ち込んでいた時にマリーに出会ったのです。二人に好きと言われましたが、そのままあやふやにしてしまい今の状態になってしまいました」

「なるほどな」

「でも、このままにしておくのはよくないと思っています。マリーにも『この国の存亡は俺にかかっている』と言われました」

「国の存亡?」

「はい、心の底から愛する人と結婚すると魔力が上がると聞きました」

「そうか。マリーはそんなことを言っていたのか」

「はい」

お姉さんは笑いをかみ殺すような声で続けた。

「魔力が上がるというのは嘘だな」

「え!? 嘘なんですか?」

「よほど君を取られたくなかったのだろう」

何と言うことだ。結構信じていたのに。

「それにしても君はもてるな。何しろあのホワイティアまで夢中にさせてしまうくらいだからな」

お姉さんは大声で笑った。

「あれはからかわれただけです」

「それはどうかな? 結構本気だったように見えたが」

「そんなことはないと思います」

「それで? 君が担いできた人物も相当君を好いているようだが?」

「はい」

「確かにここまで手広く好かれてしまうとこじれそうだな」

お姉さんはまたまた大きな声で笑うと二杯目の紅茶を差し出した。ちなみにこの紅茶は今まで飲んだどの紅茶よりもおいしい。こんな高品質な物をさっと出せるなんて魔術の世界ってかなりお得かも。

「自分がはっきりしないことが全ての原因です」

「まあ、女の争いは怖いからな。早く結論を出してやることだ。それが己の身を守ることにもなる。下手に恨まれたら命も落としかねないぞ」

お姉さんは笑っていたが、これはかなり鋭い意見のように思う。恨まれないように結論を出さなくては。

 俺がこの部屋を出たときにはマリーの声はしていなかった。どんな結論が出たのだろうか。不安な気持ちを抱えたまま自分の部屋に戻るとそこにはマリー一人だけがいた。

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