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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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試してみる価値はありそうね

第四十一章 試してみる価値はありそうね


『すると心に念じた所に案内してくれるってこと?』

『そうらしい』

『じゃあ、宝物庫って念じれば宝の眠る倉庫に案内してくれるわけ?』

『そうなるんじゃないかな?』

『いくら何でもセキュリティはかかっているとは思うけど、試してみる価値はありそうね』

俺とマリーがテレパシーで話している間、ブランシェは俺の横で何やら作っている。表の世界で言う手芸的なものなのか?

『ところでどうして△が3なんだ?』

『こちらの世界では1が「I」、2が「V」、3が「△」、4が「◇」、5が「X」なのよ』

『6は?』

『え? 6は‥‥』

『どうしたんだ?』

『6は‥‥』

『もしかして知らないのか?』

『知らないわけないでしょ! 日本語ワープロ的に変換できない形なのよ!』

『ストーリー的には納得できないが、裏事情的には納得できたぞ』

「ねえ、どうしてさっきから上ばかり向いているの?」

どうも俺は念じようと脳みそに集中すると上を向いてしまうらしい。

「別に何でもないさ。上を向いてた? 気付かなかったな」

「向いてた。目も閉じてた」

「ははは。変だね」

危ない危ない。それにしてもブランシェは鋭い感覚の持ち主のようだ。細かな行動の違いによく気付く。奥さんになったら確実に浮気を見抜くタイプだろう。

『四郎が行くとブランシェももれなく付いてくるから私たちで行ってみるわ』

『ああ、そうしてくれ』

『私たちがいないからってブランシェに手を出さないようにね』

「そんなことしねえから!」

「何をしないの?」

思わず声に出してしまったようだ。

「何でもない何でもない」

「ねえ、何をしないの? ねえ」

どうやらしつこいタイプでもあるようだ。

「そうだ。俺の知ってる遊びを教えてやるからやってみないか?」

「うん。やるから教えて」

「まずじゃんけんをして勝った方が相手の顔の前に指を出す。そして『あっち向いてほい』という言葉と共に指を上下左右に動かすんだ。相手は指が指す方と違う方向を向けばセーフ、指と同じ方向を向いてしまったら負けというものだ」

「わかった。やってみる」

「じゃあ、じゃんけんほい」

「どうして指を二本出しているの?」

なるほど、じゃんけんの説明からしなくてはいけないようだ。

 俺がブランシェの相手をしているとマリーからのテレパシーが届いた。

『信じられないけど、本当に宝物庫に行けたわ』

『本当に宝物庫なのか?』

『だって扉に宝物庫って書いてあるわ』

『それってかえって怪しくないか?』

『それがこの国には珍しく見張りがいるのよ』

『それは信憑性がありそうだな』

『取り敢えず今日は何も行動を起こさず戻ることにするわ。作戦を立て直して出直しね』

『了解』

「また上向いてた」

「ははは。癖なのかな?」

ブランシェは疑った目つきで俺をじっと見ている。

「ところでさっきから何を作ってるんだ?」

「手袋よ。もうすぐ冬になるから。四郎さんに使ってもらおうと思って」

「へえ、手袋なんだ。でも毛糸じゃなく金属的な材料もあるようだが」

「防具としてだけではなく攻撃にも使えるの」

確かに尖った円錐型の金属が多くみられる。

「珍しいね。この国にはこんな物必要ないだろうに」

「今までは全く必要なかったわ。でももうすぐ必要になるって聞いたから」

「どういうこと?」

「黒魔術の国と戦わなくてはいけないらしいから。四郎さんの身を守るためにつくっているの」

俺は思わずのけぞってしまった。マリーの言ってたやつだ。

「どうしたの?」

「な、何でもない」

「何か私の言葉に驚いてたみたいだけど」

「この平和な国が戦うなんてびっくりしたからだよ」

「そう。私たちもまさかこんな時が来るとは思ってなかったわ。でも悪いのは黒の方。突然攻めてきて私たちの大切な土地を奪っていったの」

「そ、そうなんだ」

「何か焦ってない?」

「まさか」

「もし私たちが戦わないとこの国は黒の魔族に支配されてしまうわ」

「戦いって危険なものだろう」

「きっとたくさんの人が死んでしまうわ」

「そんな」

「でも安心して前線で戦うのは女の役目。四郎さんは私が守るから安心して」

そういやマリーも同じことを言ってたっけ。

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