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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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いい情報を得たんだ

第四十章 いい情報を得たんだ


 部屋へ戻るとマリーたちが集まっていた。マリーとの戦い以来ブランシェはマリーがこの部屋にいても部屋を出て行くことはなくなったが、いつも俺の後ろへ隠れるようにしている。マリーより魔力は高いように思うのだが。このブランシェの行為をマリーは気に入らないらしい。

「何よ。わざわざ四郎の後ろに隠れて。『私怖~い』って可愛さをアピールしたいわけ?」

「あなたが怖いのは事実よ」

「それで四郎に守ってくれって言いたいの?」

「そう」

「何でもいいから四郎の背中に触れるの禁止よ。離れなさい」

「嫌よ。四郎さんは私のもの。誰にも渡さないから」

「何ですってー!」

また、戦いが始まりそうなので、俺はマリーにテレパシーで話しかけた。

『いい情報を聞き出したんだ。ここは抑えて』

『もう仕方ないわね』

俺がソファーに座るとブランシェは俺の横にちょこんと座る。もちろんソファーにではなく床にである。なぜかこれは徹底している。謙虚な姿勢の表れなのだろうか。マリーや小百合と接してきている俺からすればもの凄く違和感を感じるのだが。

「そんなところに座ると足が痛くないか? ソファーに座れよ」

「私はここでいいの」

「どうして?」

「四郎さんの横にいられるのならここで十分。こんな優しい言葉をかけてくれるなんて私幸せ」

マリーと小百合は思わず体を乗り出した。

「ん? マリーさんはわかるけど何で小百合さんまで体を乗り出すの?」

ハッと我に返った小百合は慌てて言い訳をする。

「これは違うのよ。マリーがあなたに危害を加えないように止めようとしたのよ」

「ふーん、そうなの。でもその割にはマリーさんより早く動いた気もいたけど」

「やだ、気のせいよ」

「芽依さんは妹だと聞いていたけど、どうして杖を手にしてるの?」

「あら? 本当。何でこんなもの持ってるんだろ私」

芽依は慌てて杖を後ろに隠した。

「あなたたち本当に四郎さんに恋愛感情を持ってないのよね」

「持ってるって言ってるでしょう!」

マリーは渾身の力で机を叩いて言った。

「あなたは一方的に持ってるでしょうけど。四郎さんに相手をされていないことも知らないで」

「ちょっとどういう意味よ!」

「四郎さんに聞いてみたら?」

「四郎! この子は何言ってるの?」

「まあまあ落ち着いて」

『大事な情報を得たんだ。ブランシェは俺の傍から離れそうにもないからテレパシーで説明する。お前の部屋へ行って三人で話し合ってくれ』

『大事な情報って何よ』

『今はブランシェに疑われるからお前たちが部屋を出たら話すよ』

『わかったわ』

ブランシェは俺の顔をじっと見つめて何か考えている。おそらく俺の表情を観察しているのだろう。自信たっぷりに言ってみたものの不安なのかもしれない。うーん、健気な乙女心を感じる。

『今からとんでもないことを言うけど絶対怒るなよ』

『大丈夫。ブランシェを安心させるための嘘をつくんでしょう。小百合と芽依にもテレパシーで伝えておくわ』

『ああ、頼む』

「四郎さん。この人たちとは単なる知り合いで恋愛感情なんてないのよね?」

「もちろんさ。こんな暴力的な奴らよりおしとやかな君の方がいいに決まっている」

「本当?」

「本当さ。悪いがお前たち、俺とブランシェだけにしてくれないか。二人で話したいことが山ほどあるんだ」

これを聞くと三人はソファーから立ち上がった。

「ブランシェ。僕たちの将来について語り合おうじゃないか」

「ええ、とても嬉しいわ」

「俺は君を幸せにして見せるぜ」

バコーン!!!

 俺は三人に思いっきり大木槌で殴られて倒れた。

何でだ? さっきわかったって言ってたよね?

「ちょっと、何てことするのよ。信じられないわ!」

「ふん、ギャグマンガではよくある光景よ」

芽依が捨て台詞を残すと三人は大木槌を担いで部屋から出て行った。

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