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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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第百六章 スパイは・・・・

第百六章 スパイは・・・・


 この城で青魔術が使えるのは確かにブランシェだけだ。

「私は青魔術が使えるけどスパイじゃない」

「言ってることがおかしくない? そんなの誰だって『私じゃない』って言えるわよ。犯人でもね」

またまた法廷内が騒がしくなる。ブランシェを擁護できる何かはないのか? 俺は必死で考えるが何も浮かんでこない。

「なるほど。アンジェリカの言うとおりこの城に青魔術を使えるものはいないと言ってもいいだろう。ブランシェは自分の身を隠すために青魔術で水のバリアを使ったことは明白だ。今回メッセージを隠した魔術と同じ魔術になる」

俺は握り拳を作ると自分の太ももを叩いた。裁判官達が何かを話し合っている。いよいよ万事休すか。アンジェリカが不敵な笑みを浮かべる。

「何か私がスパイだという雰囲気になってますが、何か根拠があるんですか? どう考えてもおかしくないですか?」

「確かにその通りだな。では、これならどうだ?」

お姉さんはそう言うとアンジェリカめがけて腕を大きく振った。すると指の先から巨大な炎がアンジェリカの元へともの凄い勢いで飛んでいった。

「キャー!」

アンジェリカは悲鳴を上げると思わず魔術で対抗した。そう、水のバリアで。アンジェリカは青魔術を使ったのである。

「どういうこと?」

法廷内の人々は思わず口にした。

「ホワイティーの言葉を元にいろいろと調べさせてもらった。ホワイティーは水のバリアの存在を知っていたのだ。おそらく青魔術を使ったのだと教えてくれた」

「・・・・」

「さすがにホワイティアも直接敵国にスパイを送り込むのは難しかったようだ。そこで警戒度の少ない青の国を経由してスパイを送り込んだというわけだ。もちろんそれだけでは誰が青の国と関係あるかはわかるまい。しかし、お前は大きなミスをした。自分の経歴を隠してしまったのだ。別に青の国の住民がこの城に来てもおかしくない。おそらく拒まれることはないだろう。だが偽ってこの城に入るのは明らかに怪しい。この城内の人物を調べさせてもらったらアンジェリカと青の国の繋がりが出てきたというわけだ。おまえは『青の国は私のふるさとだから』と言って仕入れ先を青の国にするように頼んだそうだな」

アンジェリカは目を閉じ下を向いたままだ。

「今の青魔術と言い間違いないだろう」

「ついにばれましたか。そうですよ。私がスパイですよ。大量のお金を貰えると言われたもんでね」

アンジェリカは居直った。


 そして無事裁判は終了した。

「四郎さん、ありがとう」

「俺は何もやっていない」

「ううん。四郎さんは一生懸命私を守ろうとしてくれた」

ブランシェの目からは涙が溢れている。

「良かった。本当に良かった」

俺はブランシェの頭を優しく撫でた。

「何よ。納得いかないわ」

この光景に法廷内が和んだがマリーだけは不服なようだ。

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