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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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メッセージを置いたのは

第百五章 メッセージを置いたのは


「お互いの主張はわかった。では、メイド三人の話も聞いておこう。まずはソフィーナ。当日の様子を話してくれ」

ソフィーナはゆっくりと歩き出す。

「私はメッセージが置かれた日にベッドメイキングを担当しておりました。しかし寝室には何も見慣れない物はありませんでした。テーブルの上にもベッドにも何もなかったと思います」

「では、部屋に入る前、誰かに会ったりはしていないか?」

「誰にも会っていません。当日はアンジェリカが城外に出ていていなかったため、人手が足りない状態でしたので」

「すると誰かにマインドコントロールされた可能性はないと言うことだな」

「ないと思います。強いマインドコントロールを受けた場合、その時の記憶があやふやになります。しかし私は当時のことを鮮明に覚えています」

「ホワイティアとの面識もないのだな」

「私の家は貧乏でした。ですから旅行にも行ったことがありません。つまりこの地から離れたことはないのです。当然ホワイティアとの面識などあるはずがありません」

「承知した。では次にホワイティア。証言席へ」

ホワイティアは落ち着いた雰囲気でゆっくりと歩く。

「私は八歳まで白の国にいました。母は白の国の兵士でホワイティアも知っています」

法廷内がややざわつく。暫くすると裁判長が思い出したように木槌を打った。

「静粛に」

法廷内に静けさが蘇る。

「ですが、ホワイティアに追われてこの国に亡命してきたのです。ホワイティアには恨みこそあれ忠誠などは全くありません。母は殺されかかったのです。ホワイティアのために働くなど絶対あり得ないことです」

「わかった。最後にアンジェリカ。証言先へ」

「あたしは全く関係ないと思いますよ」

「いいから移動するように」

「へい」

「あたしは当日この城にいませんでした」

「どこに行ってたんだ?」

「食料の仕入れに青の国に行ってました」

「するとその日は一日いなかったと言うのだな?」

「その通りです」

「なぜわざわざ青の国まで仕入れに行く必要があるのだ?」

「はい、青の国は漁業で有名な国です。新鮮で美味しい魚介類が安く手に入るんで」

お姉さんはそれを聞くと一枚の紙を取り出した。

「これは当日前後の献立表だ。お前が帰った後三日は魚料理が出されていない。これはどういうことだ?」

「え?」

アンジェリカはやや慌てた素振りを見せたが、すぐに冷静を装って落ち着いた口調で言った。

「あたしは仕入れるだけが仕事ですから、献立のことはわかりません。調理場の方に聞いてください」

その時、突然ブランシェが声を上げる。

「わかった。メッセージのボタンを水のバリアで隠してたんだ。それなら何日か前にメッセージを置いても誰かに見つかることはない。もちろん魔術の力加減で効力が消える日時を調整することもできる」

「ああ、ブランシェが隠れるのに使った青魔術か」

俺は思わず付け加えた。

「ははは。なら青魔術が使えるブランシェが犯人じゃないですか?」

法廷がまた騒がしくなる。

「私は常に四郎さんのそばにいられる身。その必要は全くない」

「でも、この城で青魔術を使えるのはあんただけですよね」

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