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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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ブランシェの裁判

第百四章 ブランシェの裁判


 ついにブランシェの裁判の日を迎えている。

城内にはきちんとした裁判用の部屋があった。裁判官は三人。真ん中の人物が裁判長らしい。裁判官に向かって左側に被告人であるブランシェが座り、反対側にソフィーナ、ホワイティア、アンジェリカが座っている。俺と芽依とマリーは裁判官の前方に座るように言われた。

「ただいまからブランシェのスパイ容疑についての裁判を開始する」

どうやらお姉さんが進行役をするようだ。

「最初に起訴内容を裁判長に述べてもらう」

裁判長が立ち上がり置かれていた紙を持ち上げて読み始める。

「白の国より来たブランシェのスパイ容疑について審議する。その者は怪しげな行動をとったばかりかスパイ容疑がかけられてから後に逃亡している。最もスパイとして疑わしい人物である。その真偽を裁判し罪の有無を決定する」

裁判長が着席するとお姉さんが、

「ブランシェ。その真偽についてお主の意見を述べよ」

「はい」

ブランシェは席を立つと裁判官の前に進んだ。

 よく考えてみるとこの裁判て検察官も弁護人もいない。日本の裁判とは違うようだ。

「私は四郎さんを心から愛しています。出会ったときからこの気持ちは変わりません。この私が四郎さんを裏切ることはあり得ないのです」

「するとスパイではないというのだな」

「はい、スパイでは決してありません」

「では、誰がスパイだと思うかね」

「それはわかりません」

「自分がスパイではないという証拠は何かあるか?」

「もし私がスパイなら四郎さんに出会ったときから今日の状況がある想定になります。しかし、白の国の女王ホワイティアは四郎さんと結婚式まで挙げようとしていました。とてもこのような状況を想定して私を四郎さんに近づけようとしたとは考えづらいのではないでしょうか」

「なるほど、しかし黒の国を内部から殲滅しようとする壮大な計画だったとも考えられる」

「ならば送られたメッセージは矛盾します。私がスパイだとしたらわざわざ疑われるような行動を起こさせるでしょうか。黒の国の内部事情を送らせるのが目的であったとしたら、そんなことは絶対にしないはずです。このことからもホワイティアは四郎さんのことを真剣に愛していたと考えられます」

ブランシェって凄い。こんなしっかりとした主張ができるんだ。

「そんなはずないわよ。スパイは白の国の住人に決まってるわ」

突然マリーが大きな声を上げた。

「勝手な発言は慎むように。ではピピプル・クレタ・ビチャ・ウン○。発言を許可する。前に出て話すように」

マリーは勢いよく立ち上がると裁判長の前に進んだ。

「白の国から来た人物が怪しいのは必然です。この城の誰がホワイティアと通じることができるでしょう。敵国の大将を知る人物などいるはずがありません。白の国とは全く交流のない状態ですから実際にはホワイティアを見たことがない人物ばかりです。ホワイティアの元で直接働いていたブランシェ以外考えられないではありませんか。つまりブランシェがスパイと断定して間違いないと思います」

「ブランシェ。この意見に対して反論はあるか」

「はい」

ブランシェが再び裁判長の前に立つ。

「確かに私はホワイティアを知っています。しかしそれは私以外の人物がホワイティアを知らないと言うことにはなりません。誰もが知らぬ間にホワイティアと接しスパイとして派遣される方が自然ではないでしょうか」

よく考えるとブランシェが普通の話し方をしているではないか。単語っぽい話し方のイメージが強かったがきちんとした話し方もできたんだ。意外なところから新たな発見をする俺であった。

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