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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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犯人は一番得をする人

第百三章 犯人は一番得をする人


 俺にできる事はまずあのメイド三人の様子を探るくらいだ。しかし、三人とも怪しい行動は一切ない。もう一つはホワイティーに『白魔術にこだわりすぎ』という言葉の意味を聞くことだが、ホワイティーは、

「別に深い意味はありません。私の潔白を伝えたかっただけです」

としか言わない。

「もしかしたらメッセージを置くのに黒魔術が使われたって言いたかったのかも」

ブランシェは突然問題の答えが思いついたように明るい笑顔で言った。

「そうか。黒魔術は人をマインドコントロールできるんだ」

「だから自分では置かず誰かに置かせたのかも」

「ボタンを置いた日の当番は確かソフィーナだったよな。だったらソフィーナが黒魔術でマインドコントロールされたってことか。でも誰が?」

「事件解決の基本は得するのは誰かを考えること」

「得をする?」

「ホワイティアのメッセージを置くことで利益を得る人物を疑うのがセオリー」

「なるほど。得をする人物と言われても一体誰が得をするんだ?」

俺は天井を見上げて考えた。

「一人いる」

「え?」

「思いっきり得をする人が一人いる」

「いったい誰なんだ?」

「マリー」

「え? どうして?」

「私を国外追放にできれば小百合がいなくなった今ではライバルは妹の芽衣だけ」

「それはそうだが、いくら何でもそれはあり得んだろう」

ブランシェは真剣な目で俺を見つめている。嘘はついていないようだ。

「マリーとホワイティアの接点はないだろう。何しろ敵国の主流同士だからな」

「絶対にマリーが怪しい」

ブランシェは俺の手を強く握りしめて力強く言った。

「ちょっと黙って聞いていたら何を言い出すのよ」

開いた入り口のドアからマリーが顔を出す。

「マリー、いつからいたんだ?」

「黒魔術は人をマインドコントロールできるんだって辺りよ」

「随分前じゃないか。どうして声をかけないんだ?」

「ブランシェと怪しいことしないか見張ってたのよ」

何て危ない奴なんだ。ホワイティーのジョークの件もあるし俺に対して疑心暗鬼になっているのだろうか。

「何もするわけないだろう」

「ふん、男なんて何するかわかったもんじゃないわ」

随分男に対して偏見を持ってしまったようだ。もしかして俺のせいか?

「どうして何もするわけないの?」

「ブランシェ! 頼むから話をややこしくしないでくれ!」

この後マリーが怒り狂ったのは言うまでもないが、今回はブランシェがマリーの繰り出す黒魔術を全て無効化してくれたので事なきを得た。しかし、もしブランシェが国外追放になったら俺はどうなるんだ? 俺の心配をよそに明日はいよいよ裁判の日がやってくる。俺は無力な自分を嘆くことしかできないのであった。

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