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ブラックテイルな奴ら  作者: 小松広和
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犯人がわからない

第百章 犯人がわからない


 ブランシェはお姉さんの部屋に連れて行かれると、そのままその部屋に隔離されることになった。裁判にかけられ無罪が確定したら自由になり、有罪が確定したら牢屋に入れられるそうだ。部屋からは出られないようにお姉さんの強力な魔術がかけられている。俺は裁判が行われる三日後まで自由にブランシェに会うことが許された。俺が連れてきた人物であることと俺の願いを尊重してくれた計らいからである。

「ブランシェ。裁判では俺も証言する権利を与えられている。地下室で言いかけた続きを聞かせてくれないか」

「三人のメイドでホワイティーが一番怪しいと思っていたけど、ホワイティーが白魔術を使った痕跡は見つからなかった。というかこの城に来てから一度も白魔術を使っていないらしい。よほど恩義を感じている証拠とも言える。ソフィーナは魔力が低い低魔力者だった。ホワイティアは用心深い性格なので、もしものことを考えて魔力の高い人物をスパイにする傾向にある。だからソフィーナをスパイに選ぶことは考えにくい」

「するとアンジェリカが怪しいのか?」

「その通りだけどアンジェリカに関してはさっぱりデータがとれない」

「どういうことだ?」

「いい加減な性格っぽいのに隙が全くない。魔術を使った痕跡も心を読むことも全くできなかった。周りの人物も彼女のことはわからないとしか言わない」

「ふーむ。さっぱりわからん」

俺は考え込んだが何をどう紐解いていけばいいのか見当がつかない。今の話ではアンジェリカを調べる必要がありそうだが、お姉さんをはじめ裁判官達を納得させるだけのデータをどうとるかは見当がつかない。

「メイド達の当番表を見ることができたけどボタンが見つかった日は、アンジェリカは四郎さんの部屋には行っていなかった」

「何だって! じゃあ、アンジェリカにはアリバイがあるってことか」

「そうなる。あの日の当番はソフィーナだった」

「じゃあ、ソフィーナが怪しいんじゃないのか?」

「でも、ソフィーナは外部の者と全く接触していない。業者からの搬入はアンジェリカが仕切っている。やはりアンジェリカが一番怪しい」

「でも、ホワイティアからの伝言を受け取らないと俺の部屋には置けないよな。メッセージの内容から考えて俺が白の国から脱出して以降に受け取ったことになる。そんな昔のことではないから何らかの方法で受け取った人物がいるはずだ」

「考えられるのはアンジェリカが当番でもないのに部屋に置きに来た可能性があること」

「なるほど」

「でも、あの日アンジェリカは食料搬入のため他の従者と出かけていた。おそらく帰ったのは四郎さんがボタンを発見した後」

「じゃあ、ボタンを置くことは不可能ということか。だったら以前においてたまたま誰も見つけることができなかったとか」

「たぶんメイドが見つける。メイドは普通自分の担当の部屋にいらないものやゴミがないかを注意深く見ているもの。ましてや四郎さんは大切なお客さん。粗相があっては大変なことになる。大切なお客さんを怒らせると白の国では間違いなく死刑」

ブランシェ、凄い仕事をしていたんだなぁ。俺は思わず頷いていた。

「だからメッセージはその日に置かれた可能性が高い」

「じゃあ、ソフィーナが置いたのか?」

「ソフィーナが犯人ならソフィーナにメッセージを渡した人物がいることになる。つまり共犯者がいると言うことに」

「そうか! その線だ」

「その方面で調べたけどホワイティアに繋がりそうな人物は誰もいない」

「どうすればいいんだ」

俺たちは完全に行き詰まった。どう考えてもスパイを断定できない。ブランシェの裁判までになんとかしなくては行けないというのに。

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