94話 埃まみれの旧校舎
私とリビオは並んで歩く。途中の道は整備などされていない雑草まみれの獣道。こないだ自分が通った道ですら、もうわかりづらくなっています。
こんなこともあろうかと木に目印をつけていましたので、なんとか迷うことなく森を抜けることができました。
旧校舎は石レンガでできており、白い壁に緑の苔がこびりついている。ツタや窓から飛び出る木の枝。一目で廃墟とわかる外観だ。
私は一度来ているため、特別驚きはありませんが、リビオはそのあまりにも古びた建物を見てまじまじと観察しています。
思ったより興奮している様子はないわね。まあ、目的は廃墟の探検じゃなくてここの地下にいくことだから別にいいのですけど。
二人で入り口の扉を押すと、ぶわっと目に見えてわかる量の埃が舞い上がります。十数年前に来たかったわ。ゲームストーリー中でさえ埃まみれって描写もありましたし、覚悟はしていましたが、こんなにあるものなのですね。
ケホケホと乾いた咳をしてしばらくしてから中に入ります。床も石造り。白い石レンガが敷き詰められています。しかし、よく見るとところどころに劣化により角がかけていたりしているようです。
「薄暗いな」
「そうね」
私がスザンヌの方に視線を向ける前に、私の視界は急に明るくなります。
「ありがとうスザンヌ」
「いえ」
今、彼女が使用した魔法は付与魔法、暗視。これを付与された対象は文字通り暗闇でも不自由なく視界を確保できる魔法です。どうやらリビオにも付与してもらったらしく私たちは二人で奥に進んで行くことにしました。
スザンヌとリビオの付き人はお留守番してもらいます。今回はどうやってリビオと二人きりになろうかと考えていましたが、自然な流れでできましたね。
「リビオ、とりあえず地下を探しましょう」
「地下?」
「ええ、どうやら旧校舎には地下図書館があってその中には今は失われた文献がたくさんあるって噂を聞いたの」
「なるほど」
とりあえず地下捜しということで二人で一階を端から歩き回りました。色んな棚や薬品のようなもの。ベッドのようなものが置かれている部屋。保健室とかかしら。そういう概念もあったのね。
次は広い部屋。いくつか大きめの机が置かれていますが、同じ向きに揃えられてはいません。どちらかと言えばオフィスのような配置。教員室ね。
次は広く大きな部屋に大きな机。学長室とかかしら。
「それらしき階段はないな」
「まだまだ半分も探していないわ。どこかにあると思うのだけど」
私とリビオは次の部屋に向かおうとするも、その部屋は鍵がかけられていて、ドアノブを何度回しても開くことはありませんでした。あらあら。
「壊しちゃってもいいかしら」
「…………後回しにしようか」
むぅ。私の波動魔法でしたらこの扉くらい木っ端みじんですのに。まあ、他に入り口が見つからなければぶっ壊してしまいましょうか。ワンダーオーブを手に入れることが最優先。
しばらく二人で歩き回り、ようやく地下に続く階段を見つける。ふと階段の下に視線を向けると、そこには旧校舎の入り口より、一回りだけ大きな扉がありました。
「行くわよ」
「わかった」
私とリビオは一歩ずつ階段を下りて地下の扉の前に行き、二人がかりで扉を押しましたが、扉は少しずつしか動きませんでした。
「…………」
「クリスティーン姫?」
「波動魔法、波動」
私は波動をぶつけ無理やり扉を押し開けました。隣にいたリビオは、これ頑張れば開いたんじゃないという目でこちらを見ていますが関係ありません。
私とリビオが室内に視線を向けると、そこには無数の本棚と埃の被っていない本たちが綺麗に並べられていました。…………あれ? 思ったより綺麗ね。
この世界の魔法の唱え方。
■詠唱(使用者では魔力量が圧倒的に足りない場合)
・主に強力な魔法を使用する際に必要
例)
「杖の英雄が体現せし、万物を癒す光。女神ヨランドの名の元に憤怒で汚れた魂を、浄化の光で撃ち滅ぼす。浄化魔法。慈悲」
■詠唱省略(使用者が身体の魔力を高めて使う)
・一般的な魔法の使用方法
例)
「波動魔法、波動」
「波動」
■詠唱破棄、無詠唱(手足を動かすように魔法が発動する)
・上級者にのみ許された魔法の使用方法
・作中でこれを行った名前ありキャラはジェラール、スザンヌ、オリバー、アンヌ先生のみ。できるキャラは他にも二人いる。
今回もありがとうございました。





