40話 エリザベートは自分の好意が誰にもバレていない自信がある
聖歌隊のみんなと仲良くなる方法が思いつかない。
本音はみんなと仲良くする必要なんてないのですが、ジョアサンと距離を詰めるのにあまり強引にいけそうにありません。
しかし、セシルに何度問い詰めてもやはり、私は臭っていない。ではジョアサンは何を感じて、それを嫌な靄と言ったのか。
まさか悪霊や魔の付くものでも憑いていたのかしら? さすが聖職者の息子。消えたのは聖歌を歌い始めたおかげかしら?
とにかく今後は避けられるってことはなさそうよね。あとは聖歌隊を抜けてもここに呼べるくらいには親密になっておかないと。
…………なんで私は聖歌隊を抜けようとしているのでしたっけ?
ああ、そうでした。優秀な協力者兼魔法使いのブランクが嫌がったからでしたね。全く、意味が分からないわ。
私の宗教観も日本人離れできていませんので、この国の国教には触り程度しか関わりたくないので、適当な所でやめさせてもらいましょうか。
とにかくジョアサンと会う回数は増やせるようにして、他の皆様とも疎遠にならないようにして、それから両親とももっと親交を深める。
【紫】のワンダーオーブの件を除いて、すべてが軌道に乗り始めているところですし、次に私がやるべきことは、両親とおでかけするために、護身用の魔法を使用としてもすぐに体力切れにならない身体作り。
それだったらやっぱり友人や家族と運動する方が楽しいわよね。
最悪、ワンダーオーブも一つくらいなくても大丈夫よね?
万が一、ブランクの求めるワンダーオーブが【紫】だったなら、申し訳ないけどね。
そもそも、ブランクは未だに直接的に協力してくれる気がしない。出会って三回。
彼がすごい魔術師であることはよく理解しているのですけど、信用できるかも怪しい。
信用できないのに、彼の勝手な行動を許しているのは、私が対抗できる相手じゃないと理解しているから。
私は朝食を頂くために、一度ジェラールとエリザベートのいる宮殿に向かい始めています。
本来、朝食は簡単なものを寝室で頂くものですが、一緒に食事をするようになってからわざわざ移動してまで食事をすることになりました。いえ、私はそれが嬉しいのですけどね。
ジェラールとエリザベートは突然、一般常識を覆した娘をどう思っているのかしら。
とにかく、何かあれば指摘が飛んでくるはずよね。特にエリザベートは王族らしからぬ行動を嗜める。
彼女が何も言わずに一緒に行動してくれるのであれば、問題ないはず。
セシルが私の後ろに付いて来ています。
彼女にはいつも日常生活の確かを求めている為、切り離せない存在ですが、彼女は乳母ではありません。
私の乳母はセシルの母親であり、セシルには妹がいて、その子が私と同じくらいに産まれた為、セシルの母親が乳母になりました。
乳兄弟って女同士だとなんていうのかしら? 一般的に成長したら主従関係になるものですから、そのうち彼女とも再会するのよね。
私は赤子の頃から記憶ががっつりあるから覚えているわ。名前は確かスザンヌだったわよね。
そして両親の待つ宮殿に入り、早速両親に顔合わせをする。私に気付いたエリザベートが、いつものように私を抱き上げようとします。
「おはようございます、お母様」
私がお母様の腕をしっかりつかむと、身体が思いっきり引き寄せられます。
「ええ、おはようクリスティーン。少し大きくなったかしら?」
私はエリザベートに抱きかかえられていました。
「太りましたか!?」
「貴女がそういうところを気にする必要はないわ。それに背も伸びているのだから、多少は重くなるものよ」
ああ、そうか。感覚がアラサーのままだったから、体重が重くなることと、背が伸びることが直結しなくなっていたわ。
普通に背が伸びれば、体重も増えるのよね。
「お母様、今日はお時間はありますか?」
「そうねぇ、もう少し余裕を持ちたいけど貴女が遊びたいのでしたら仕方なく予定を空けてあげます」
「本当ですか! ありがとうございます!!」
私がそういってお母様にぎゅっと抱き着くと、彼女は急に動き出した私を落とさない様に、ぎゅっと抱きしめ返します。
本日はお母様と過ごせそうです。あとはジェラールの予定も確認しなくてはいけませんね。
しかし、その後ジェラールは今日は外せない用事があると言われ、あっさり断られてしまいました。
私も残念だと思いましたが、エリザベートも寂しそうにジェラールを見つめているところに気付いてしまい、ちょっとだけ可愛いと感じてしまいました。
最悪の魔女は一人で国を亡ぼせるように修行中。クリスティーンはその魔女と対抗するために残り六つのワンダーオーブを手中に収めようとしています。
今回もありがとうございました。





