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4話 騎士団長ガエル・エル・ラピーズ

 まずは騎士団長ガエルを探そう。


 【橙】のワンダーオーブを手に入れる為、私はガエルの息子と仲良くなり、いずれは国を代表する騎士を目指して貰わないと。


 そのついでに【橙】のワンダーオーブを手に入れるのを手伝ってもらうって寸法よ。


 乙女ゲームの攻略キャラクターなだけあり、ガエルの髪は異色の緑色。やはりカエル。この世界でも当然のように浮いた髪色をしていた。もちろん。ほとんどが金髪や茶髪。あとはいわゆる赤毛だけど、ここでいう赤毛というのは、字面とは違い赤みのある茶髪のことね。


 中学生の頃に初めて聞いた時は、紅色の髪を想像したわ。それはそれとして、目立つ目立つ緑髪の男。


 私が周囲を見渡すと、そこには緑色の短い髪の体格の良い男がいた。


 ガエル・エル・ラピーズ。乙女ゲームではラピーズ伯爵家の長男で跡取り息子。爽やかな笑顔にやや熱血の暑苦しさもあるが、少し子供っぽいところもあるキャラクター。正直、魔法学園ワンダーオーブ内では不人気キャラだったのよね。私もそんなに好きじゃない。


 それがどうだろうか。いつの間にか屈強な騎士団長になっていた。もう昔の面影はどこにもないが、やはり女性受けはしなさそうだ。むしろこのアフターを見て初めて顔はいいのに少し子供っぽくてやんちゃ少年のようなガエルを恋しく思ったほど。


 まあ、今はそんなことはどうでもいいのよね。早速ガエルと話しましょう。話って何を?


「…………」


 私がガエルの正面でなんて話かけようか迷っていると、ガエルがこちらに気付く。


「姫様じゃないですか。一体なんの御用で御座いますでしょうか?」


「えー? うーん? 遊びに来ました!」


 他に何も思いつかなったし、まあ騎士達からみた私なんてこんなものよね。ガエルも笑っているし、ファーストコンタクトはこんなものね。


 笑い方は乙女ゲーム本編の時みたいね。やっぱりこのガエルは乙女ゲームの攻略キャラのガエルに間違いないのね。


「姫様はもう五歳ですか。うちの息子はも同い年なんですよ。早いものですね」


 ガエルが敬語喋るのってすっごく違和感ね。でも私って一応姫だし仕方ないか。


「ガエル子供いるの?」


「ええ、いますとも。今度連れてきましょう」


 すんなりいった! やったわ!


「ほんとぉ! ありがとガエル! 約束だよ!」


 とりあえず後は適当に流しましょう。第一ミッションクリア。次はガエルの息子と仲良くなることね。


 さすがに目的が達成してすぐにこの場を離れるのは変だと思い、一通り騎士たちの訓練も見学していくことにしたけど、剣を持ってガエルに突進していく若い騎士たちが次々と返り討ちにあう地獄絵図でしたのでそっとフェードアウトすることにしました。


 さてと、各ワンダーオーブの入手に対応するヒーローの子供や血縁を利用する。なんでこんな簡単なことを思いつかなかったのかしら。


 王宮にいる元ヒーローは大賢者一人。王都内でいえば大司教様もカウントされるか。賢者様と大司教様にはそれぞれ私と同じ年の息子さんがいるとお聞きしているわ。噂話だけどね。


 魔法学園での生活は三年間。つまり年齢差は二歳差までは許容範囲。ですが、同い年であることは都合が良い。


 やっぱり敷地内でイベントを起こすなら、同年代に限るわね。無論、学園関係者でなくてもお呼びすることは可能なので、本当に候補がいない時もなんとかなります。


 とにかく次は大賢者レイモン・デ・ベルニエね。彼のルートは【緑】のワンダーオーブ。貪欲なほどの知識欲を示すことが重要なのよね。


 息子さんも知的なことに育ってもらわないといけませんね。


 しかし、この日レイモンがいるはずだと思われる場所すべてを当たっても、私はレイモンに会うことはできなかった。


 さすがにセシルにレイモンに会いたいなんて言えませんし、無邪気に探検するフリは疲れたわ。五歳児の体って不便ね。

今回もありがとうございました。

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