表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/228

3話 第一ミッション

 残り六つのワンダーオーブを手に入れると決心してから更に二年。私は五歳まで成長した。さすがにこのくらいの年になると、両親はともかくメイド達や周囲の大人たちが気を使って同年代の子供たちを連れて私の元に訪れるようになった。


 ジェラールの級友だというから期待してあってみたけど、明らかにモブね。名前も顔も分からなければ顔もパッとしない。


 ワンダーオーブのうち一つ。【橙】のワンダーオーブの入手条件は強き友を連れて山の魔狼(まろう)を討伐すること。


 【橙】のワンダーオーブは、強き者に引き寄せられる魔獣を討伐した勇敢な心の持主とともに、魔法学園にある英雄の石碑の前に行くことで手に入る。


 ちなみになぜかワンダーオーブは一緒に行った女性が無条件で貰えるがそれはゲーム内の設定の可能性もあり、私がやれば取り合いになるかもしれない。


 だからワンダーオーブを譲ってくれてなおかつ山の魔狼に勝てる強い人間を求めているというのに、中々巡り合えない。


 あれ? そういえば乙女ゲームの中で、【橙】のワンダーオーブを手に入れる場合は、騎士ルート。


 つまり、現騎士団長ガエル・エル・ラピーズ確定ルートに入ったタイミングってことよね?


 いくら姫でも、現騎士団長を連れまわすなんてことはさすがに不可能でしょうね。まあ、魔狼に勝てる程度の人間なら誰でも良いわよね。


 ワンダーオーブに登場する魔狼は確か、百年生きた化け物で、めちゃくちゃ強いんだけど、めちゃくちゃ強いガエルですら苦戦の末、討伐するのよね。乙女ゲームだから戦闘描写はサクッと終わっていたけど。


 ん? ガエルってまだ二十代前半で騎士団長になっている元乙女ゲームヒーロー補正持ちのキャラクターよね。


 百年生きた魔狼なら、今も生きていてもおかしくないわよね。つまり同じ魔狼を狩りに行く必要があってそれはつまりガエルと同等かそれ以上の人間を連れていく必要があるのよね。


 最強ヒロイン以外にそんな化け物っているのかしら?


 ガエル。ガエルゥ。今思うとカエルみたいな名前してるのね貴方。カエルの子はカエル。…………ガエルの子は、ガエル!


※ド阿呆


 そうよ、ガエルの息子よ! 確か、噂で息子さんがいらっしゃるって聞いたわ。なんでガエルは私に息子を会わせないのかしら。いつ会わせてくれるのかしら。


 いいえ、待ち遠しいわ。私から会いに行きましょう!


「セシィ! クリス、お外ぉ! お外出るぅ!」


「はぁい、クリスティーン様。すぐ準備しますねぇ!」


 セシルがてきぱきと準備を進め、私は座って待ちます。うわぁ、相変わらずこの世界のお出かけの準備は慣れないなぁ。人に髪をいじられる分には前世でなれているのだけど、着替えよね。


 赤子の頃は楽ちんって考えていたのだけど、不思議なことに、あの頃は羞恥心がなかったのよね。


 やっぱり赤子の頃と幼児の頃では、ある程度違いがあるみたいね。それでも、前世の記憶は共有しているし、未だに忘れるなんてことはない。


 とにかく騎士団長の息子。まずは彼に会いに行きましょう!


 準備を終えた私たちは、いつも通り、私の行く方にメイド二名と執事一名。騎士二名の大所帯で出かけるのであった。


 早速騎士団の人達が休憩しているところに遊びに行くと、騎士たちが次々と私に挨拶してくる。


 中には女の子が来るところじゃないと言わんばかりの目でこちらを見てくる人もいるが、関係ない。


 今の私の興味はガエルの息子ただ一人。とにかくガエルと親しくなって子供の話題をして会ってみたい。それが私の第一ミッションよ。

今回もありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
表紙絵
― 新着の感想 ―
[良い点] ガエルの息子さんと共に、橙のワンダーオーブを入手するのかな(*´Д`)ドキドキ それとも、ガエル本人も同行してくれるのかしら、と色々とわたしの脳内にて妄想がはかどってます(*ノω・*)テヘ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ