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笑顔

目が覚めるとそこは旧俺の自室。視線を巡らせると会長、 喜寿屋女史、長谷川、ソナスと全員が難しい顔で俺のことを見下ろしていた。


『………おはようございます』


気まずげに挨拶すると真っ先に俺の襟首を掴んで起こしたのはソナスだった。


「マキナはバカなんですか?バカなんですね。自分から死ににいくようなことするほどですからね」


あのときの不機嫌などとは比べ物のない明らかな怒りの表情。それで居て眉はハの字に歪み今にも泣きそうだ。


『心配かけてごめん』


「マキナがいなくなると予想したら、とてもとても寂しくて」


言ってる間にソナスの目から一筋の雫が零れた。


「私は貴方が居なくなることを悲しいと感じ涙まで流せるようになったんですよ」


とまた怒り出した。周りはそんなソナスの変化に別段驚いてない様子から俺が眠っている間に散々騒いでいたんだろう。


「あまり、無茶をしないでくれたまえ。君は我が社の備品ということを再認識して欲しい」


と喜寿屋女史。


「ソナスの感情を開花させてくれるのはありがたいが、この子はわしの孫みたいなものでな。あまり泣かせないでくれ」


とは日出男氏。


「マキナさん、皆心配してるんですから。ホント無茶は止めてくださいよ」


と最後に長谷川。


「無茶をした罰に君の購入品は没収した」


無常な喜寿屋女史の言葉に俺は項垂れるしかなかった。


「しかし、これは君の手から渡したまへ」


と女史が俺に手渡したのは可愛らしい手提げ袋だった。


『ソナス、渡すのがちょっと遅くなってごめんな。プレゼント似合うと思うんだ』


女史から受け取った袋をソナスに手渡す。袋を受け取ったソナスはゆっくりと袋の中身を取り出ししげしげと見つめた。


「これは髪留め?」


『ソナス、前髪長いだろ。付けてみてくれよ』


「こうですか?」


右の前髪をかきあげ、ぱちんと髪留めを止めると普段隠れがちなソナスの愛らしいくりっとした瞳があらわになる。


「似合いますか?」


恥ずかしげに目を伏せるソナスに俺は率直な感想の述べた。


『うん、似合ってる』


瞬間、ソナスの顔が真っ赤になったかと思うとそれは花が咲いたかのような華やいだ輝く笑顔を浮べていた。

その姿にまわりから「ソナスが笑ってる」どよめきが起きていた。




この日初めてソナスは嬉しくて笑った。笑ったソナスは想像してた通り凄く愛らしかった。


俺の第一の目標は達成した、次はどんな目標を立てようか。


『ソナス、これからもよろしくな』


ソナスの頭を撫でる俺に「はい」と答えるソナスの笑顔は輝いていた。


あれ?もしかしてソナスって少年じゃなくて少女だったのか?



ー終わりー

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