前口上
本編は次からになります。
この物語に興味を持ってくれた諸兄に感謝を。
これは「日本のフーヴァー」と呼ばれ、我が国初の諜報機関でサイバー部門を取り仕切ることになる『永野伊織』が若かりし頃に扱った案件を小説としてまとめたものだ。
これを読み進めることで読者諸兄は歴史的案件に対する深い理解と新たな発見を得ることだろう。
中には、特に直接的に案件に関わった人の中には「この小説は事実とは異なる」と主張する人もいるだろう。
それには理由がある。フェイクが織り交ぜてあるからだ。
例えば人名地名や固有名詞は関係者保護の観点からフェイクを入れている。
また、ラジオ会館に設置された核爆弾の解除コードは実際にはアトバシュ暗号よりはるかに高度なものが使われていた。
本来なら暗号解読に数ページを使い丁寧に説明するところだが(それは理系である私にとって自身の知識を披露する至福のときでもあるのだが)、「それ、あなたが気持ちいいだけのやつだよね」などというド文系どもの心無い言葉により断念させられたことをここに明記しておく。
この小説は読むにあたってルールが存在する。
それは『犯罪に使用しない』ということだ。
この小説はスパイというテーマを扱う関係上、幾つかの犯罪に応用できるテクニックを披露している。
例を挙げるなら
地元の急な曲道、高級車が来たらスピードを落とし切ったタイミングで前に飛び出せ!
拷問には醤油目薬がいいよ。あれ、めちゃくちゃ痛いから♪
といったものだが、この小説の目的が犯罪を推奨することではない以上、自己責任などではなくどうか真似はしないでもらいたい。
この物語は事実を元にしているが、小説でありフィクションだ。実在する人名地名組織その他とは一切関係ない。
また、小説という形を取るに当たってエンターテインメントの部分にも力を入れた。
具体的に言うのなら、誇張表現だ。
小説の中では永野伊織が劇太りしたり便秘による苦痛やお漏らしを描写しているが事実ではない。反論は一切受け付けない。
あくまで読者を楽しませるための誇張表現でありフェイクなのである。
それは、あくまで読者諸兄を楽しませるためについた大嘘なのである。
もう一度言う。
あくまでエンタメのためのフェイクだ。
私はあの時漏らしていない!
読者諸兄はそのことを念頭に置いた上でこの物語を楽しんで頂きたい。
そうして貰えることが作者にとって望外の喜びである。
ちなみに作者はド文系。