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招かれざる客

「やれ」

太っちょはそう言うと、杖を持った男は杖に魔力を溜め始めた。

俺は、それに気付くと同時に子供たちとの間に入る。

間に入ると同時に魔法が放たれた。


発動された魔法はファイアボール。

魔力で火を発生させ放つ技だ。

その火の玉が俺の上を通過する軌道を取っている。


「なるほどな」

俺は相手の意図に気付き、飛んで魔法の軌道の前に入る。

そして、前に片手をかざす。


かざした手に、魔法が当たると爆発がおき、その衝撃が発生したが俺にはたいしたダメージは入っていない。

俺は、着地して目の前の太っちょを睨む。


こいつは、屋敷を燃やそうとしした。

あれに込められた魔力では壊すのは無理だが火魔法なら燃やすことが出来る。

「お前ら何をするつもりだ」

俺は、怒りを込めて聞く。


「邪魔しないでもらえませんか、

私はただ私の所有地にあるゴミを片そうとしているだけです。」

男はニヤリと答える。

嘘だな、こいつは俺を何も知らない冒険者だと思っているな。


こいつの事は昨日の夜にシュリナから聞いている。

「最近、ここを寄越せと貴族がいるのです。

私は断っていますし援助しているのが祖父母なので直接は手を出して来ませんでした

しかし、明日は私がいないので何か手を出してくるかもしれません。」

まさか、シュリナの予想が当たるとはな。


さっきこいつは私の所有地と言ったがそれは違う。

ここは、シュリナの母親が購入した土地で今はシュリナの土地だ。

俺は、さらに殺気を込めて太っちょを睨む。


太っちょは体をビクッとさせたが、懐から紙を取り出してこちらに見せてきた。

「信じていないようですので、これをご覧ください。証明書です」

紙にはこの土地であろう名前とこいつの名前、誰かのサインが入っている。


「今なら、不問にしますので退いてもらえませんか」

太っちょはニヤニヤと言ってきた。


確かに、ここが奴の土地なら問題になる。

俺は事情を知っているから退く気にはならないが、ここがシュリナの土地という証明を見せることは出来ない。

どう追い返すか考えているとフィアは証明書の内容をマジマジと見ている。


「この証明書、きちんと本人立ち会いの元、発行された物か」

フィアは太っちょに聞く。

太っちょは一瞬ビクッとしたが、笑顔頷いた。


「もちろんですよ。正式に発行されたものですよ」

太っちょは答えた。

「そうか、それは失礼した。きちんとベルド殿が確認したものなら本物だな」

フィアはそう言ったが、俺は疑問に思った。ベルトとは誰だと。


「ええ、そうですともベルド様に確認していただきました物でございま・・ぐべっ」

太っちょは答える前に吹き飛んだ。

吹きとんだ原因はフィアが魔法で風を圧縮したものを当てたからだ。


「ゲホゲホっ何をする!お前らこんなことをしてどうなるか分かっているのか!」

太っちょは咳き込みながら叫ぶ。

おい、本性が出ているぞ。


フィアはその場で仁王立ちしながら太っちょを睨んだ。

「それは、こちらの台詞だが!?

いま、ベルドではなく代理のデイスがやっているはずだが」


「すみません、間違いました、デイス様です

いやー、日頃お世話になっているので間違えてしまいました。」

太っちょは慌てて訂正するがその額からは汗が滲み出ている。


「そうか、ではその判は誰が押したんだ?」

フィアは再び問いかける。

確かに紙には判が押してある。


「それは、もちろんデイス様ですよ。」

太っちょはそう笑顔で返す。

相変わらず汗はだくだく出ているが。


フィアはゆっくりと剣をいて太っちょに剣先を向けた。

「ほう、知っているか?最近、城の土地管理の責任者の判には、担当者の名前が分かりづらく掘られている物になったんだが。私には、その印には名前が見えないのだが」

フィアはゆっくりと構え始めた。


太っちょは、「えっ!」と顔をしている。

「まあ、それは関係者にしか公開されていない情報だから知らないのも無理ないな」

フィアは鋭く睨む。


「誰だか知りませんが、仕方ありません。公になる前に事をすませましょうか。やってください。」

太っちょは息を整えながら、本性が出たような悪者顔になって成り行きを見ていた二人に指示を出した。


それと同時に筋肉マッチョは走りだし、杖の男はまた魔力を溜め始める。

「カリュ、魔法使いは任せた。」

フィアもそう言うと返事を待たずに駆け出す。


「しょうがねぇな」

俺はそういいながら、魔法使いに魔力を飛ばす。

人体に影響が出ない魔力をだ。


放った魔力が男の溜めている魔力に当たると、溜めていた魔力が乱れ始め、破裂する。

杖の男は、目の前で起こったことが理解できず唖然ととしていた。


そんな隙を俺が見逃すはずもなく、男の前の空間を繋ぐ。

そして、男の目の前に移動すると、おれは男を軽めに殴り飛ばす。

男は、ぶっ飛び何回か飛び跳ねた後呻き 声を上げて気絶した。


「さてと」

軽く息を吐いてフィアの方を見ると、フィアは筋肉の拳の連打を交わしていた。少し離れているが筋肉の攻撃が空気を割く音がここまで聞こえてくる。


それは、辛そうでは無いとフィアの顔を見れば分かる。

あの、攻撃をフィアは難なくかわしていた。

逆に辛そうなのは、筋肉の方だ。

フィアには汗一つなく、筋肉は汗まみれだ。

あの、攻撃を連続して出すのさすがに辛いのだろう。

「しかし、フィアの顔が怖いな。孤児院が狙われたのが頭にきているだろうが」


そんな様子を見ているとこっそりと動く気配があった。

見なくても分かるがあの太っちょだ。

誰にも見られていないうちに逃げ出そうとしているようだが、俺がいるのが運のつきだな。


俺は太っちょに向けて細長く固めた魔力を飛ばした。

魔力は太っちょに当たるとその体に巻き付き太っちょは身動きがとれなくなった。

そして、バランスが保てず顔から地面に倒れた。


あれはさすがに痛そうだな

と思ったが、

自業自得だからいいかと、太っちょの事を頭から追い出した。


「そろそろいいか」

筋肉が息が始めた頃に、フィアは男に問う。

筋肉は顔を真っ赤にして右の拳を振り下ろした。


しかし、その攻撃は余りにも力任せで隙が目に見えて分かる。

フィアは余裕を持ってバックステップでかわすと、フィアが、いたところに拳が落ちた。

その拳が、地面に当たると小さなクレーターが出来る


確かに当たると脅威だが、あんな隙だらけなら当たらんな。

簡単に解析しているうちに、フィアが踏み込む。

そして、剣の腹で男を斬り飛ばす。


筋肉の方から鈍い音が聞こえ、筋肉が吹き飛んだ。

筋肉はそのまま、仰向けに地面滑り止まって、体をビクビクさせている。

剣が当たったであろう胸の所は服がその形に破れ、肌が赤黒く変色していた。


念のため、男をエリアサーチの応用で見てみると骨が折れていた。

俺は、ため息を着きながらキュアをかけてやった。

骨は完全にはくっつかないが、ひび割れ程度まで回復させたし、後は知らん。


「カリュ、さっきのとあれはなんだ?」

フィアが筋肉を回復している間に近づいていて、聞いてきた。

俺は別にいいかと、説明することにした。


「フィアひとまずお疲れさん。

さっきやったのは魔法破壊(マジックブレイク)と縄魔だ」

俺が答えると、フィアが上に?が浮かび上がっているような表情をした


「なんだそれは?」

フィアはやはり聞いてきたので俺は肩を軽くすかめてから説明する。

「まず、魔法を発動するとき魔力を溜めるだろ。それは属性とその人の魔力によって波があるんだ。

そこに異なる魔力の波を紛れ混ませて暴発させているのが魔法破壊

縄魔は魔力を固めて縄のようにしただけだ」


フィアに説明してやると、彼女は唖然としていた。

「ん、理解できないか」

「いや、驚き過ぎて言葉が出ないな」


フィアはそんな事を言っているが俺は簡単に使えるようになったと言ったら

「普通は出来るか」

と言われた。


「スゲー!」

フィアとそんな会話をしているとき、子供たちの誰かが声を高らかに叫んだ。

それを気に子供たちは歓声をあげながら俺達の周りに集まる。


身動きが出来ない程ではないが、動きづらい。

しかし、なにか体の奥に暖かいものを感じた。

「カリュ、お前そんな顔が出来るんだな」


フィアは、微笑みながら言ってきた。

言われて初めて、俺は自分が微笑んでいる事に気づいた。

「カリュ兄ちゃん笑ってる」

「ほんとだ!」

子供たちも俺ご微笑んでいる事に気付きいて言ってくる。


「なんか、こう言うのも悪くないな」

「んっ。何か言ったか?」

「何でもない」

フィアの問いに、微笑みながらこたえた。

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