初クエスト3
俺はフィアを運んだ後キッチンに戻ってきた。
「はぁ、どうしましょ?」
中に入るとシュリナは深くため息をついている。
その前には先ほどフィアが作った料理がある。
「どうしたんだ?」
俺はシュリナに、近づきながら聞く。
シュリナそこで俺が来たこと気付いてこちらを向いた。
「いえ、もう夕食の時間なのですが料理が出来て無いんですよ。子供たちもお腹空かせてますし。」
そういえば、フィアの料理のせいでかなり時間を取ってしまったな。
しかし、あの料理はどう作ったんだか?
先ほどの事を考えていると、シュリナは食材を用意し始めた。
しかし、調理台に用意された食材はあの子供の数に対して心もとない。
「明日、帰りに食材を買おうと思っていたので残りが無いですね」
シュリナは何を素早く作ろうか迷っているようだ。
俺はもう一度食材を見る。
これなら、空間にしまっている手持ちの食材と会わせればなんとかなりそうだ。
しかし、あまり人には見せなくないな。
「シュリナ、俺が作るから向こうに行って子供たちと待っていてもらっていいか?」
俺はひとまずシュリナを移動させようと頼んでみた。
「そんな、カリュさんたちはお客様なんですから私が作ります!」
「いや、フィアが迷惑をかけたんだ。その償いをさせてくれ。
それに料理には自信があるからな」
それでもシュリナは「しかし」と言っていたがなんとか説得して向こうに行ってもらった。
シュリナが、出ていったのを確認すると俺は食材を取り出して他の食材と並べた。
「さて、何を作るか」
俺は、食材を見ながら何を作るか考える。
時間はあまりとりたくないしな、ご飯も炊けてるし簡単なあれを作るか。
俺は、サバイバル関連で料理とかもやっている。
この度にアリスに私の仕事ですと言われていたっけ。
そんな事を思い出しながら、食材の調理を始めた
「こんなもんかな」
俺は目の前には出来たばかりで湯気が上がっている炒飯が人数分のお皿に分けて盛り付けてある。
急いで作ったけど、自作の調味料を使ったから味は大丈夫だろ。
俺は炒飯を持ってシュリナ達がいるリビングへ向かった。
中に入るとシュリナと子供達が座って会話をしていた。
シュリナも子供たちもとても楽しそうだ。
するとシュリナが俺に気付き席を立って近づいてきた。
「カリュさん、お客様なのに作っていただき申し訳ありません。」
「気にすんな、それにさっきも言ったろフィアが原因なんだからシュリナは気にしなくていい。ほら、子供たちがお腹を空かしてるぞ。運ぶの手伝ってくれ」
俺が言うとシュリナは返事をして残りを運んで来てくれた。
俺は再びキッチンに戻ると炒飯と一緒に作ったスープをよそった。
俺をシュリナにお願いして運んでもらう。
全員分よそい終わると、俺はリビングに向かった。
そこには、食べたいのを必死に我慢している子供達がいた。
俺は素早く空いている席に座る。
シュリナも座ると全員を見渡した。
「それでは、食べましょうか。いただきます」
「「いただぎまーす!」」
子供達は言い終わるか終わらないかの時には、凄い勢いで食べ始めていた。
「うめー」
「お肉だ」
「おいしぃ」
とか色々な声が聞こえてきた。
俺が作った炒飯はお肉と野菜を使った簡単な物だ。
そんなもので、こんなに喜んでもらえるとはなんか嬉しいな。
そして、スープの方でも喜んでもらえた。
子供達は食べ終わると食器を持ってキッチンに向かった。
そして、皆で役割を分担して洗い始めた。
俺も洗うために向かおうとすると、子供達が近づいてきた。
「ご飯作ってくれてありがとうございます。これは僕たちが洗いますので休んでて下さい。」
と、俺の食器を持っていってしまった。
やることがなくなってしまった俺は とりあえずフィアの様子を見に行くことにした。
フィアが寝ている部屋に入る。
中は正面に机が一つとその横に布団があるだけの四角い小さな部屋だ。
この二つで部屋の3/4ほどを使っている。
その布団ではフィアが額に濡れタオルを乗せて気持ち良さそうに寝ていた。
「たく、気持ち良さそうに寝やがって」
俺は呟きながら、フィアに再びリフレッシュをかける。
念には念をいれといた方がいいだろう。
かけ終わると、俺は机を見た。
机の上には写真立が倒されて置かれていた。
俺は気になったので申し訳無いが手を伸ばす。
そして、表に返して写真を見ると俺の考えてた事が確信に変わった。
その時、背後から水が落ちる音が聞こえた。
俺は振り替えると、そこにはシュリナが立っていた。
その手には、フィアの額のタオルを交換するためであろう水が組まれた桶が
あった。
しかし、中の水の量が少ないし足下が濡れていたことから俺が写真を見ていた事に気付いて落としそうになったんだろう。
確かに、これは人に知られたくないな。
「あの、その見ましたか。」
シュリナが震えているような声で小さく聞いてきた。
「すまない、見てしまった。後で話がしたいけど大丈夫か?」
シュリナは小さく頷くと、部屋から出て行った。
俺は、もう一度写真を見る。
写真には、赤ちゃんを抱えた優しそうな女性といかつい顔で鎧を着た魔族の男性が写っている。