8/9
アリー
真っ白な陶器のような肌、銀色の星のような不思議な輝きを放つ陽光に反射する髪。青く澄んだ湖のようなエメラルドグリーンの瞳。しかしそこにある光は淡く消えかけていた。そう、紛れもなく彼女は私が探そうとしていた彼女だ。
「アリシア・ジェーン・グランツライヒ?」
私がそう尋ねれば彼女は狼狽えた末に小さなガラスの破片を取り出して突進してきた。私はそれを慣れた様子で躱す。
「攻撃は肯定とみなす。貴方はアリシア・ジェーン・グランツライヒね。」
私がそういえば彼女は頷いた。その顔には人の顔色を伺うことに疎い私でもわかるほどの苦痛が伺えた。
「いい、アリシア・ジェーン・グランツライヒ。私はあなたのことをアリーと呼ぶわ。」
私がそこで一度言葉を区切りそれでいいかと問うと彼女はそれを察したと同時に私に敵意が感じられないと分かったように手に持ったガラスの破片を下に落としてこちらに蹴ってきた。私はそれを踵でさらに遠くに飛ばす。そして言葉を続けた。
「ではアリー、いい?私はあなたを捕らえて奴らに渡そうとは思ってないから安心して。その代わり、手を組まない?」