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体長15cm、異世界にて恋願う  作者: 愛♡KEMONO
スモール・ギフト編
12/60

01 緑の豆

二章です!

よろしくです!

「キュ!!キュキュー!!」

(ベル!!起きて!!)


 甲高い声が草原に響いた。

 金銀の尻尾を持つモンスター……キューの声だ。

 

「キュ!キュゥ!キュキュ!!」

(ベル!ベルゥ!ご主人様!!)


 僕は現在、ご主人様ことベルのお腹の上でぴょんぴょん飛び跳ねているところだ。

 決してイジメとかではない.......ベルの意識を現世に呼び戻そうとしているだけだ。

 お腹の上ピョンピョンで少しでも起こそうとしているのだが......僕の体重は500グラムもない.....ただご主人様のかけてる布切れ(布団っぽいもの)が、少し動くだけだ......。


「グガァアアッ!!.......グガァァアッ!!......」

 

 このゴブリンの鳴き声よりもはるかに凶悪な声が、ご主人様のいびきだ.....。

 ただ、普段はこんな寝息は立ててなく、僕が起こそうとするとこんな感じになるのだ。

 つまり、本能的に起きるのを拒絶している......もうお昼なのに!!


「キュ!キュ!キュゥ!!」

(ベル!ベル!ベルゥ!!)


 ポス、ポス、ポス......

 僕はひたすらベルのお腹の上で飛び跳ね続けた......が、ベルが起きるより先に僕のスタミナが尽きた。


「キュキュィッキュ!!」

(こうなったらぁ!!)

 

 僕は尻尾の毛繕いを念入りにした後、先端をベルの鼻の中に入れた。

 そして、

 

 こしょこしょ.....こしょこしょ......

 鼻の中をくすぐった。

 すると、


「へッ.....ヘッ.....ヘッグシッ!!」


 ベルがくしゃみをしながら起きた。

 秘技『お鼻こしょこしょ』!!

 今までこれで起きなかったベルはいない!!

 ......これ以外で起きた試しもないが......。


「おい.....キュー....その起こし方は止めろって言ってるだろぉ......」


「キュキュ!キュキュー!キュキュッキュ!!」

(もう起きてよ!お昼だよ!お腹減ったよ!!)


「どうせお昼だから、起きろぉとかって言ってんだろ?」


 あ、伝わった.....嬉しい。


「残念だが......オレは毒に侵されちまったようだ.....もう少し寝る.....おやすみ」


「ギュギュー!!キュキューキュキュキュゥ!!」

(酒の毒だろ!!いい加減に食費を酒に使うなぁ!!)


 僕は日頃からベルの酒癖の悪さを憂い、酒を飲みすぎないように注意しているのだが、こやつは隠れて飲みやがる!!

 しかも、

『ごめん.....今回の報酬は.....ないってさ☆』

 とか言ってクエスト報酬を酒代につぎ込んでるぅ!!

 昨日なんて朝昼晩三食緑の豆(酒のつまみ)しか食べてない!!


「んん〜.....朝食は準備してあるぞ......ほら、そこに.....」


 ベルが半分寝ながら近くの机を指差した。

 そこには......緑のま〜めぇ〜........。

 

「キュ.....キュキュ!!キュッキュッキュッキュッキュ!!」

(ハ.....アハハ!!アッヒャッヒャッヒャッヒャ!!)


 緑みどりミドリ.....豆まめマメェェエエ!!

 

 ペチペチペチペチ.......

 僕はベルのほっぺをビンタし始めた。

 チクショウ!!なんで豆なんだ!?酒のつまみには豆以外もあるだろ!?

 イカとか.....野菜の炒め物とか.....お肉とかぁ!!

 ペチペチペチペチ......


「うぅ.....おい.....止めろぉ......」


 寝苦しそうだ.....かわいそうだからやめてあげる....。

 すると、


「......おやすみ」


 寝た.....。

 そりゃそうだよね......でも、寝顔可愛い.....。

 そんなこと考えていると、ベルの手が伸びてきた。

 そして僕を抱き枕にしてきた.....少々小さいが.....。


 ベルのほおは、すべすべしていて気持ちぃ.....。

 スリスリィ......。

 僕はベルの顔にほっぺスリスリした.....いや、するしかなかった。

 すると、


「んん.....わぁったよ.....起きればいいんだろぉ?」


 やっと起きてくれた。


「キュキュゥキュ!!」

(ご飯ちょうだい!!)


「….ったく…..しょうがねぇなぁ……。

 朝食…..昼飯か?は、豆で我慢してくれ……金がねぇんだ…..」


「キュゥ......」

(えぇ......)


「でも、夕飯は肉食わせてやる…..楽しみにしておけ」


「キュー!!」

(ィヤッフィ!!)


 僕は、ご主人様が久しぶりにやる気を出してくれたことを喜んだ。



**********************************



 オレが働く場所と言えば冒険者ギルド。

 お金が必要ならここに来るしかない。


「あ!ゴブリンブラッドの姉御ぉ!久しぶりですね!」


 Aランク冒険者のウルクが話しかけてきた。

 ウルクは(お金のトラブル)あって仲良く(?)している。

 まあ、歳も近いし、親しみやすいやつだ。


「ゴブリンブラッドって呼ぶなよ.....恥ずかしい.....」


 ゴブリンブラッドとは、キューの事件で1日に400匹以上のゴブリンを倒したことから付けられた。

 あの事件の後、クエストの複数受注が速攻でバレた。

 そのことで非難されると思ったが、ギルマスがうまくやってくれたみたいで、特に嫌がらせを受けたりとかはしなかった。

 唯一嫌なことがあるとすれば、このゴブリンブラッドとか言うかっこ悪いあだ名がついたくらいだ。

 

「いいじゃないですか.....あ!キューちゃんもおはよう!」


「キュー!」


 僕は愛嬌たっぷりに返事をした。


「まったく.....姉御もキューちゃんぐらいの愛嬌はあったほうがいいですよ....」


「ほっとけ!.....キュー、行くぞ....じゃあな、ウルク」


「あ、はいっす!」


 ウルクと適当に別れて受付のカウンターに向かった。

 そして、


「よう、リーシャ.....また男に絡んだらしいな.....」


|ーーーーーーーーーーーーー|

|私は男に媚びを売りました。|

|ーーーーーーーーーーーーー|


 リーシャの首に下げられた看板を見てから、笑顔であいさつした。


「ベルさぁん!!ギルマスがいじめまぁす!!」


「自業自得だ......ボケッ!」

(左手デコピン)


「イテッ!.......もう本調子ですね」


 こいつはいつもデコピンされてるから、デコピンの威力でオレの体調がどうなってるのかわかるらしい。

 ありがたくなさそうな特技だ。


「ああ、そういうことだ。

 今日は久しぶりにゴブリン退治をやる........クエストよこせ」


「あ.....そのことなんですけどね....」


「ん?」


「おめでとうございます!

 今日からベルさんは、Cランクになります!」


 リーシャが拍手をしながら大声を出した。

 このセリフ.......Dランクの時以来だな......そりゃそうだけど.....。


「そうか.....長かったな.....」


 4年ぶりのランクアップだ。


「はい、長すぎです。

 まったくベルさんは酒しか頭にないんですからぁ」


「まぁ.....そうだな.....」


「....はぁ....酒にだけは素直ですね......」


「ああ、オレはそういうやつだ。

 で?用は済んだだろ?ゴブリン退治のクエストを受けさせてくれ」


「その件なんですが.....しばらくゴブリン退治は受けられないんです.....」


「ん?なんでだ?」


「ベルさんが討伐しすぎたからですよ!」


「ああ、そういうことか.....」


「それに、ゴブリンキング.....おそらくベルさんが遭遇した個体が、大量のゴブリンを従えて、別の地域に移動したんですよ」


 マジかよ.....あのゴブリンキング......本当に厄介な事しかしねぇな.....。

 後でゼッテェ殺す......オレはこのときそう誓った。


「そこで、ベルさんにはこれです」


 .......オーク討伐クエストの依頼書だ。


「.....オークか....」


「はい、報酬は2体で銅貨一枚ですよ!」


 討伐数に応じて報酬がもらえるクエストだ。

 このパターンのクエストは時々しか受けさせてくれない。

 そして、狩れば狩るほど報酬がもらえるから、報酬が多くなる事が多い。

 .....けど、


「ヤダ.....死んだらどうする?」


 オレは結構慎重派なんだ。


「はぁ.....そういうと思ってました。

 言っときますが、オーク2体討伐はゴブリン100匹討伐よりはるかに簡単ですよ」


「.....んん....そうか?.....でも.....」


「やむをえないですねぇ......。

 ギルマスからの伝言です。

『オーク4体討伐を成功させて今日中に俺のところに来て、金を返せ。

 さもなくば、利子がつくことになる.......にっこり』だそうです」


「チッ!いけすかねぇやつだ!.....わぁったよ!受ければいいんだろ?受けてやるよ」


 オレはまだギルマスに金を返しきれていない。

 一応配達クエストとかをやって少しずつは返しているんだが.......結構額が大きかった。

 そんなこんなで引きずってるから、とうとう強行手段をとった.....ってところだな.....間違いなく。


「はい、クエスト受注ですね!よいしょっと!」


 リーシャが書類に判子を押した。


「.....じゃあ、ちょっくら行ってくる.....」


「はい!キューちゃんも頑張ってくださいね!」


「キュー!!」


 ギルマスのおかげでスムーズ(?)にクエストが決まって良かった。

 ご主人様が途中でやる気をなくしたら、どうしようと思っていたのだ。

 さすがにこれ以上緑の豆生活は耐えられない。

 僕は特にやることないだろうけど.......ひとまず頑張ろう!


 そして僕たちはギルドを出た。



 この時、僕たちは気づいていなかった.......自分たちがオークを侮りすぎていることに......。

 

 やっと投稿できました!

 遅くなり申し訳ありません!


 二章が終わるまでは、毎日最低一話は投稿します。


 あと、この作品のキーワードに『Qベル』っていうのがありますが、これは検索するときに便利にするために設定しました。

 タイトルを変えることがあっても必ずこのキーワードは残しておくので、利用してみてください!

 

 この先の話も面白くする(予定)なので、ぜひ読んでみてください!

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