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体長15cm、異世界にて恋願う  作者: 愛♡KEMONO
シルバー・エンカウント編
1/60

01 キューちゃん

愛♡KEMONOです!

よろしくです!

「キュー!!キュー!!」


 ここは、商人と冒険者で賑わう街『テルト』。

 そのとある大通りの、とある店の前で、幼げで可愛らしい声を上げるモンスターがいる。

 

「キュー!!キュッキュー!!」


 金と銀の二色の尻尾を持つ狐型で、(こん)色の(つの)を頭に生やし、両手の上にポスンっと乗ってしまうような小さなモンスターだ。

 そのモンスターは現在、店の前に出されたモンスター販売コーナーの机の上で......皿を磨いている。


「キュッキュー!!キュキュキュッキュー!!」


「今日も『キューちゃん』の皿磨きは絶好調だなぁ!!ガッハッハッハ!!」


 このモンスターは『キューちゃん』と呼ばれて、ここら辺に住んでいる人たちに親しまれている。

 その鳴き声と皿洗いでキュッキュしてることから、この愛称を付けられた。

 だから、冒険者から頻繁に声をかけられている。

 

 だが、なぜきゅーちゃんは皿洗いをしているのだろうか?

 理由は簡単。

 きゅーちゃんは絶賛ご主人様募集中なのだ。

 

|ーーーーーーーーーーーーーーー|

| きゅーちゃんです。オスです。|

| 特技は皿洗いです。     |

| 値段は銀貨1枚です。     |

| 誰か買ってください。    |

|ーーーーーーーーーーーーーーー|


 きゅーちゃんのそばには、こう書かれた板が置いてある。

 ....こんなにも可愛らしいのに、誰も買ってくれない。

 銀貨1枚がそんなに高いのか?

 ....まあ、結構高価だ。

 普通の剣が1、2本買えるぐらいの値段だ。

 

 だが、きゅーちゃんの可愛さの対価としては安い、安すぎる!

 つまり、きゅーちゃんを誰も買ってくれない理由は他にある。

 その理由は........


 テイムコスト:39

 この数字に隠されている。

 



 非常に可愛らしいく、人の心を鷲掴みにするキュートなキューちゃん。

 だけど、キューちゃんも年頃(生後一週間強)のモンスター。

 秘密の一つや二つはある。

 その中でも、とびきりすごい秘密を挙げるとするならば......



 きゅーちゃんが転生者であることだろう。





*************************





「......はぁ.....死んじゃった.....」


 僕は真っ黒な空間でつぶやいた。

 死んだ....僕が覚えているのは自分が死んだことと、僕が人間の男だったということだけだ。

 自分の名前も、自分の家族の顔も覚えてない。

 ただ、アニメやゲームのタイトルとかは覚えている。

 .....なんででしょう?


「お〜い!....そろそろ話しかけてもいいかな?」


 僕の下の方から声が聞こえた。

 慌てて声の方向を向くと、白い女性がいた。

 髪の毛もしろ、服も白、肌も白、だけど目だけは緑色、という変わってるけど美人な女性だ。

 目だけ他の部位と色が明らかに違うが、不自然じゃない。

 

「あっ!すみません!どうぞどうぞ」


 僕は慌てて返事をした。


「どうも初めまして。私は、異世界に転生者を送ることを『趣味』にしている神様です☆」


 神様(仮)がピースしながら言った。


「....変わったご趣味をしてますね....」


「えぇ〜...リアクション薄くな〜い?

 もう少し言うことないの?

 ほらぁ、『エェッ!!趣味なのぉ!?』とか?」


 そう言われてもなぁ....いきなりボケられても反応に困るというか....。


「じゃあ、今度からボケる時は先に

『今からボケますよぉ!リアクションお願いしやっす!!』

 って言うから、しっかりと反応してね!」


「あ....はい....。

 ていうか心の中身読めるんですね?」


 明らかに僕の心の中の言葉を汲んだセリフを言ってきた。


「ふっふっふ....すごいでしょう!えっへん!!」


「はい、スゴイですね」


 僕は普通にそう思った。


「あ、ありがとうございます?

 .....なんかおかしい!!

 普通『えっへん』の返しには棒読みで『ワースゴイスゴーイ』とかじゃないの!?」


「いやいや、普通にスゴイ『読心術』だなぁと思っただけですよ」


「あぁ...なるほどぉ...。

 ...実はね、今使ってるのは心を読む『魔法』なんだよぉ」


 ほう?魔法ですか?

 てことはここはテンプレ通りに、剣と魔法の世界に行って異世界チートライフですか?


「早くチートください」


「ぬおっ!?いきなり積極的になったね!」


「当然です!異世界チートライフは男のロマンです!

 もう御託はいいですから、早くチートください」


「だけど、残念ながらチートはありませ〜ん」


「....は!?」


「いるよねぇ、転生するとチートチートよこせよこせ!っていう人〜。

 でもね、チートなんてそうホイホイあげられるわけじゃないんっすよ!

 わかるかねぇ?チミィ〜?」


 なんだこいつ.....ウゼェ....。


「えぇ....と....つまり?」


「.....つまり、確かに君には剣と魔法の世界にいってもらう。

 けど、チートはあ〜りませ〜ん」


 いやいやいや、チート無しで異世界っすか!?

 なにそれウケるぅ〜。マジ冗談きついっすよせんぱ〜い!


「....なんかごめん....現実逃避させちゃって.....」


 嘘だと言ってよ!!

 

「え?じゃあ、いきなり親無し、家なし、一文無しの状態でモンスターのいるところに置いてかれるんですか?

 死ねと?もういっぺん死んでこいと?

 .....僕....生前に何か悪いことしました?」


 もう、そうとしか考えられない。

 おいおいやめてくれよぉ〜.....生前の僕何しとんねん!

 幼女でも誘拐した?監禁した?ヤっちゃった?

 僕ってロリコンだったのかぁ〜.....。


「ちょっと待った!!

 大丈夫だ!!君はロリコンじゃない!!

 君はどっちかっていうと、はだけたスク水の女性が好きなタイプだ!!」


「.....グフゥッ!!

 人に....それも異性に、自分の好みの女性のタイプ知られているのってどんな気持ちだかわかります?」

 

 しかも、アブノーマルすぎんだろ!!

 それと、スク水は女性のタイプじゃない!!服装の一種だ!!

 挙げ句の果てに、はだけてないとダメって、どんだけスク水にこだわりがあるんだよ!!

 あっひゃっひゃっひゃ!!あぁ〜オカシイィ!!


「.....いや、すまない。

 永遠に癒えない傷を作ってしまったな.....」


 なんで永遠に癒えないことが断定されてるんだぁ!?

 確かに致命傷だが、僕の生命力なら三日で治せる......たぶん。

 ....僕は変態じゃない...僕は変態じゃない...僕は変態じゃない.....。


「話をしよう!」


 神様(仮)がいきなり話をしたがってきた。


「僕は変態じゃない?」


 僕はとっさに質問をした。


「....あ、ああ......ギリギリ大丈夫だろう.....まだ崖から落ちた直後って所だろう」


「ヤッタァァアアッ!!」


 飛び上がって喜んだ。

 僕は紳士(変態)じゃないッ!!


「....おめでとう。本当にそれでいいのか?

 .....まあ話を続けさせてもらうよ。

 転生すると高確率で普通の人間よりは優れた能力を持っている。

 だから、チートはなくても『大抵』の場合は比較的楽に生活できる」


 さっきの話をあっさりスルーして、転生について説明を加えてきた。

 僕としてはもう少し言及したかったんだけどなぁ....。

 でも、転生したら割とすごい力が手に入るらしい。

 ......『大抵』の場合は.....ね。


「『大抵』に含まれなかった場合は?」


「それは......その........」


 ゴクリ.......

 僕は唾を嚥下(えんげ)した。


「あれだ、あれ!!......体がバラバラに....」


「はぁい、アウトォオッ!!即ゲームオーバーおめでとうございます!!」


 体がバラバラになったら、転生どころの話じゃねぇだろ!!

 何を考えてるんだ?この神様クレイジーは?


ダイジョウブ(D・J・B)!!きっとどうにかなる!!失敗する確率は、たったの2/3(3分の2)だ!!」


「やだぁ!!死にたくない!!もう死んでるけど!!」


 ふざけるな!!何がたったの3分の2だ!!

 半分以上失敗してんじゃねえか!!


「うるさいなぁ〜.....もうめんどくさいから、いますぐ転生させるね〜」


 なんだこいつ!?

 ドチクショウか!?


「や、やめてください!!

 お願いです!!なんでもしますからぁ!!」


 僕は神様(悪魔)の白い(ケガれた)足に喜んで(苦痛を感じながら)すがりついた。


「ほぅ.....私が心を読めることを失念しているなぁ!?」


 しまった!!

 

「貴様は失敗して灰になるがいい!!

 エクスプロージョン((転生の呪文))ッ!!」


 神様(悪魔)が明らかに転生とは関係ない魔法(?)を唱えると、僕の体から光が溢れ出した。

 そして、


「ふざけるなぁああッ!!」


 僕はその言葉を残して、意識を闇に落とした.....。

 

 .....無事に異世界に転生したら、僕は魔王(神様)を絶対に......



 スク水姿にする!!

 僕はこのときそう誓った。



読んでくださり、ありがとうございます!

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