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そして、彼らは。  作者: SINEI
序章
1/2

『小さな村』

初めまして、SINEIと申します。初投稿故、至らないところや文法のおかしい所など多々あると思いますが、暖かい目で見守ってください。

 そこには、ある少年がいた。名をシノと言った。シノを含めた村の住民は、とても穏やかに暮らしていた。

 シノが住んでいる村は『アルト』と呼ばれており、昔からこの名で親しまれてきた村だ。シノ達はそこで、静かに暮らしていた。だが、その平和も、長くは続かなかった。

 シノはその日、天気が良かったので、釣竿を持って川まで釣りに出掛けた。シノが持っている釣竿は、持ち手の少し上にとても美しい装飾が施されていた。それは、シノのお爺さんが使っていた、手作りの釣竿だった。少し前、そのお爺さんが亡くなってしまった。最後のお爺さんの言葉は、『この釣竿を大事にしてやってほしい』と、もう一つ。

『唐突な現象には気を付けなさい。』だった。シノはその時、意味を理解出来ていなかった。そしてそれが、その後大事を引き起こすことは、誰も予想できなかっただろう。

シノは、ある『異変』を感じていた。気付けば辺り一帯は暗くなり、あんなにも晴れ渡っていた気持ちの良い空が、突然真っ暗な雲に覆われてしまっていた。シノは、暗くなった足元に気を付けながら、家路を辿っていた。先ほどの雲は、雨雲…とは言い難いが、唐突な雨が降り、シノの全身がびしょびしょになってしまった。

「っくしゅん!」

あまりの雨と寒さから、シノはくしゃみをしてしまった。

 シノは無事家に辿り着いたが、ふとある事を思い出す。

 『唐突な現象には気を付けなさい。』

 お爺さんの、最期の言葉だ。当時はまだ幼く、意味を理解出来なかったが…。

 「やっぱり変だ。」

 シノは気付く。この雲が、普通ではないことに。ただの雨雲ではないことに。そして、この雲の役割が、雨を降らせることでは無かったことに。


シノは空を見上げた。そこにはいつも皆に元気を与えている太陽の姿はなかった。代わりに、黒々とした禍々しい雲が、村に覆いかぶさってきている。いや、実際には村だけが雲に囲まれている訳では無いが、少なくともシノはそう感じた。

 「…あれ、何だろう?」

 シノは、また新たなことに気付いた。村の中心辺りの雲に、少し隙間が出来ていた。

 「あんなのさっきまでなかったのに…」

 シノは、驚愕と同時に、恐怖を感じていた。シノにとって、このような体験は生まれて初めてだ。これまでシノの知る限りでは、こんなことが起こったことは無い。

 「………おかしい。」

 そしてシノは、最後の疑問にたどり着く。


 

 「静かすぎる。」

 

 

 そう、明らかに村が静かすぎるのである。村は基本的に静かだ。だが、このような異変が起きているのにも関わらず、シノの家以外の村の家から、明かりの類いは全て見えないのだ。皆揃って出掛けた?シノを置いて?有り得ない。『シノはまだ子どもだ。』などと普段から言っている村のおじさん達が、シノを置いて、ましてや何も伝えずに消えるはずがないのだ。そして、シノは、ある『結論』にたどり着く。

 「よし、村の中心まで行ってみよう。」

 そうすることによって、何かが分かるような気がしたのだ。これは村の人たちが心配だとかではなく、(それも少しはあったかな)目の前の…命名しがたい現象の詳細を調べるためだ。

 「…行こう。」

 玄関を出たシノは、まず、村全体の明かりを確認した。案の定、全て明かりは消えており、そしてそこに村の住民の姿もなかった。

 『唐突な現象には気を付けなさい。』

 また、あの時の言葉が頭をよぎる。シノはもう、止まらない。シノの足は、村の中心を向いていた。揺るがない信念で必死に歩いた。寒い、寒い、寒い、寒い、寒い。いつの間にか雨脚が強くなり、強烈な雨風に吹かれながら、シノは村の中心へと足を急いだ。

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