第1話 通り魔逃走注意報
突然ですが、皆さんは異世界とかないと思いますよね?そんなの小説とか漫画だけだろバーカとか思いますよね。
はい、俺もそうでした。まさか本当にあるとか夢にも思ってませんでした。
この物語は、そんな俺の頑張るお話。
「ちょっ、そこっ!まじかぁ〜!そこでやられんの?はーー、萎えるわぁ…なんで隠し魔王あとHP60で必殺魔法唱えんのよ……」
部屋で一人懐かしのゲームをプレイするこの男は、冴えない社会人7年生。今日は日曜。彼女も予定もない無精髭の生えた28歳は部屋の片付け途中で出てきた懐かしのゲームをプレイしていた。
男のそばでは一人暮らしの寂しさを紛らすためのラジオが鳴っている。
不意に時計を見る男。
「あっ、やべーもうこんな時間かー…適当に飯食ってゲーセンでも寄って帰るかー」
そう言った男はゲームオーバーと表示されたテレビの電源を切った。
ジャケットを羽織って鏡で髪を整えた男はスマホと財布、それから残り僅かの煙草をポケットに入れて家を出る。
安い家賃のボロアパートの階段を下りながら雨が降り出しそうだなーなどと考える。
近場のコンビニで焼きそばパンとカレーパン、ブラックコーヒーを手にレジへ進む。時計を見ると時刻は午後5時半。明日も早いしゲーセン行くのやめとくかなー、と心の中で呟きながらレジ袋を片手に帰路に着く。
11月の少し肌寒くなった風を受けながらトボトボと歩道を歩く。
車通りの少ない道まで歩くと煙草を咥えて近くの公園に寄る。ベンチに座り、最近の楽しみの転生物の小説をスマホで読み始める。
「ガサッ」
少し読み進めた所で後ろの茂みから音がした。
猫でも居るんだろうか、後で構ってやるかと思いながら続きを読む。
煙草も吸い終わりそうかという所で雨がポツリと降り始めた。
「げぇ…雨かよ…へいへーい、さっさとお家に帰りますよ〜、あ、そういえば猫」
そう呟きながら腰を浮かせながら後ろを振り向こうとすると、背中に熱を感じた。うまく体が動かない。どうしてか呼吸も荒い気がする。
不意に先ほどゲームをしながら聞いていたラジオの速報を思い出す。
『○○区××通りにて通り魔逃走中!近隣の方は戸締まりにお気をつけ下さい。』
『まじか、近くじゃねーか、物騒だなー』
何が『物騒だなー』だよ…!呑気過ぎるだろ俺!!
とにかくどうにかしないと…!
男は患部の感覚が熱から酷い痛みへと変わったにも関わらず決死の思いで後ろの人物を殴り飛ばす。案外犯人と思われるその男は慣れていなかったようで凶器を5本ほど散乱させて簡単に飛ばされた。
男は痛む背中を意識しないように問いかける。
「お前…は、なんで…人を殺そうとするんだ……」
犯人は何も言わずに濃い隈の出来た目で男を睨む。目は虚ろで吐く息もか細そうだ。どうやら見た所浮浪者のようだ。
何も言わない犯人を取り押さえようと恐怖で震える足を無理やり動かし近づこうとする。
すると突然犯人は散らばった凶器を一本拾うと、公園の前を通る女子高生の方へと駆け出した。
男はそれだけはさせまいと、散らばった凶器の一本を拾う、正直この時点で出血と恐怖により意識を保つのがやっとだったが、なんとか犯人を捕まえてその切っ先を腹に突き立てる事が出来た。
しかし犯人も負けじと、鼻息を荒くして持っていた凶器を男の頭に何度も何度も突き立てた。
男は二回三回と刺されて行くうちに意識を失った。
初めまして。ぽんすけと言います。
小説を読むのはとても好きですが、小説を書くのは人生初めての試みです。
拙い文章や設定が時々見られるかも知れませんが、生暖かい目で見守って頂けると幸いです。
それから、この話は一人称になったり三人称になったりすることが多々あります。一応それも設定なので良しなに。