表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

有名作品の小さな謎について

【国民的アニメの小さななぞについて】佐々衛さんの場合

作者: ふみた

この物語はフィクションです。


主人公は奇抜な髪型のオバサン

に見えて24歳の一児の母。

漢字を当てられない奇異な名前。

三歳児の母にして第二子に無関心。

草野球に興ずる運動神経抜群。

婿養子でもないのに妻実家に同居。


年の離れすぎる弟妹。。

幼い弟にかかる長男としての期待。

京大卒の厳格な父はなぜか

小さな会社の窓際課長どまり。。


そんな彼女を含めて登場人物は

実在のナニガシとは…


一切関係ございません!!

多分…(´・ω・`)


 九州のある下町。。

 ここに井園家という家庭があった。


 家長の浪兵衛は厳格な父で県庁職員。

 京大出身のエリートで、

 キャリアに準ずる扱いだった。


 妻の舩はやさしい良妻賢母。

 そんな二人の間に設けられた長男。


 名を…"佐々衛"といった。


 まだまだ軍国主義だった空気の色濃い

 昭和にあっては、

 主君を補佐し護衛することの意味は

 現代より重い…雄々しい名前だ。。



 佐々衛はすくすくと腕白に育つ。


 ちょっぴりおっちょこちょいで、

 粗暴なところはあったが…(-ω-)


 草野球に興じ運動神経抜群。

 お魚くわえたドラ猫を捕まえるなど

 正義感の強い少年だった。


 そんな佐々衛に浪兵衛と舩は

 跡取りとして大いに期待していた。

 

 こうして一家は平穏な日々を過ごした。

 …が…


 佐々衛が小学四年生になったある日、

 両親は信じ難い告白を受ける。。



『自分は…実は女の子かもしれない。

 男であることに強い違和感を感じるから。

 正式に病院で診断を受けたい。』…と。



 …浪兵衛は驚いて腰を抜かした。。


 なにせ時代はまだ昭和30年代。

 佐々衛の言う違和感の正体が何なのか

 想像もつかないのが当然だから。。


 けど…ことは重大。。

 息子の違和感を放置などできない。


 浪兵衛と舩は医者を探しては、

 どうすればいいのか尋ねて回った。


 とはいえ【性同一性障害】なんて

 言葉さえまだない時代。


 専門医などいようはずもない。。

 結論など出せようはずもない。。


 いたずらに時間ばかり過ぎたのだが…



 そんな状況に誰より不安だったのは

 当の佐々衛自身だ。


 違和感を告白をした当初は、

 少し髪を伸ばしたりする程度の

 行動の変化ではあったが…


 …不安は行動を奇異にさせる。


 小五の頃に女装や化粧を始めた。

 それでも当初は家の中だけの行動。


 だが小六になったある日ついに…



 あの世にも奇怪な髪型に。。( ゜д゜)



 もう世間に隠すことはできない。


 こんな髪型で長男に生活されたら

 井園家はご近所にどんな目で…


 いや…それ以上に佐々衛だ。


 どうしていいのかわからないままに

 これ以上は放置できない。。



 浪兵衛は三日三晩考えて…

 東京へ転居することにした。


 公務員の職も幹部候補生の立場も

 手放すことになるが仕方がない。


 誰もその事実を知らない土地で…

 できるだけ精神医療の進んだ環境で、

 佐々衛にとって少しでもいい生き方を

 模索しようと考えた結果だから。


 さらにはこれを機に…

 佐々衛を娘として扱うことにした。


 引っ越し先では女の子として紹介する。

 学校にも女生徒として通わせる。。


 幸いにして公務員当時のツテと頼って、

 東京の淡備あわび女学園と言う中高一貫校が

 佐々衛を女生徒として受け入れてくれる

 という好意を得られた。


 けど…<佐々衛>ではダメ。。


 さすがに男性名の生徒を女子として

 受け入れてはもらえない。

 バレたら学校だって立場がない。 



 だから佐々衛は読みはそのままに、

 戸籍名をカタカナに改名した。。


 …そう。これが…

 【井園イソノササエ】誕生の経緯いきさつである。




 こうして佐々衛…改めササエは、

 普通(?)の女子中学生として

 平穏な生活を手に入れたらしい。


 本人も頑張ったのだろう。。

 高校卒業まで誰にもその正体が

 知れることはなかったらしい。

 (^◇^)


 浪兵衛も公務員時代のツテを辿って

 東京での再就職を決めた。


 一応は課長相当の役職を貰ったが、

 彼にとっては慣れない職種での

 中途採用。。(。-_-。)


 これ以上の出世は望むべくもない。



 だが…後悔はなかったそうだ。


 だってササエの方針が決まったから。


 東京のクリニックの勧めに則って

 ササエはホルモン療法を開始。。


 中学高校では女性として生活して

 卒業後に海外で手術をして…


 同時に戸籍上も女性に変更する

 道筋がつけられたから。



 こうして井園家は徐々にその

 平穏を取り戻した。


 だがいざ落ち着くと、井園家には

 まだ問題があることに気付く。


 それは…跡取りを失ったこと。。


 こう見えて井園家は結構な名家。

 だがササエはもう長男とは言えないし

 結婚も子作りもできない。

 養子をとることさえ難しいだろう。


 つまり…このままでは井園家は

 途絶えることが確実。。


 自分たちの代でそんなこと…



 浪兵衛と舩は顔を見合わせた。


 この時…

 浪兵衛42歳。舩は40歳。。


 …まだ間に合う。(・_・;)


 意を決した二人はこれまでとんと

 ご無沙汰のその…営みを再開。



 こうして舩は41歳の高齢にして、

 第二子…男児を出産することになる。


 …無謀とも思われた挑戦への勝利。

 …高揚した二人は息子に…



 勝男と名付けた。('ω')


 夫婦はこの勝男を跡取りとして…

 事実上の長男として扱うことにした。



 …だが不安は尽きない。(´・_・`)


 もしこの勝男がササエと同じなら…

 長男に相応しい生き方ができないなら…


 また跡取りを失くしてしまう。。


 それだけは避けねばならない。

 その可能性はどうしても否定できない。



 だから高齢夫婦はさらにもう一人、

 事実上の次男を作ろうとした。


 そして夫45歳・妻43歳の高齢にして

 第三子を設けることに成功したが…

 

 次は若芽…女の子だった。。



 だが…このことで、

 浪兵衛と舩が仲違いしてしまった。


 舩の年齢を考えればこれが限界。

 いざとなれば若芽に婿養子をとって

 井園家を継がせると言う浪兵衛。


 娘の生き方に制限を付けたくない。

 井園家の嫁の責任として、

 もう一人息子を産むと言う舩。


 子供をさらにもう一人作るかで

 夫婦の意見が対立してしまったから。



 幼い子供が二人もいるというのに

 ケンカばかりの浪兵衛と舩。


 井園家から暖かさが消え…


 次の子を設けるどころではないまま

 数年の時が過ぎてしまう。。



 けどこの状況に一番心を痛めたのは

 実は…ササエだった。(;_;)


 だって元はといえば自分の我儘。


 自分が素直に井園家の長男としての

 人生を全うしていれば、

 こんなことにはならなかったはず…


 けど、今さら長男には戻れない。


 だって娘となって彼此もう六年。。


 ホルモン療法で身体は既に男ではない。

 この土地を離れるわけにもいかない。

 学校の女友達に事実は語れない。


 さらに高校を出たらすぐ…


 海外での手術まで決まっている。

 それと同時に戸籍上も…



 では、そんな自分に何ができる??


 勝手した代償で両親を仲違いさせた

 自分にできることとは??


 18歳で井園家の長男から

 戸籍上の長女となる自分が

 家族にできることとは??



 そう考えたササエは帰国して…

 すぐに行動を開始した。。


 …そして一年後…



「む…娘さんをボクにください。。」

「…はぁっ!??( ;´゜Д゜)」


「いや…ですからその…(;´・ω・)

 息子さんをボクにください。。」

「…???( ;´゜n゜)???」



 浪兵衛は…また腰を抜かした。


 だって福田万寿雄と名乗る青年が、

 ササエとの結婚の許しを求めて

 ご挨拶に来たんだから。(/・ω・)/



 しかも口ぶりから察するに、

 万寿雄はササエの事情を知っている。


 早稲田大学在学中のエリートが

 何をどう考えたらこういう結論に

 いたるのだろう??( ゜Д゜)



「…いや。ウチはいいのだが…

 万寿雄くんは本当にいいのかね??」

「もちろんです。(*´v`*)

 ボクはササエが好きですから。。

 家族を慮り、自分のできることを

 考えて行動したところが特に…」


「しかし…ササエはその…」

「もちろん知ってます。でも…

 ボクは彼女を女性として愛してます。

 秘密を他人に話したりもしません。」


「…というかキミは長男だろう??

 ササエとでは子供はできないのに、

 跡取りはどうするのかね??」

「大丈夫。ウチは名家ではありませんし

 必要とあらば養子をとって

 福田の家は何とか守りますから。」



 うーん。(´・ω・`)


 どうやらこの福田万寿雄くん。

 まだ若い学生の身で、

 ちゃんと考えての結論のようだ。


 そこまで言うなら…(・.・;)


 いや…そもそも井園家の側に

 断る理由はないんだ。


 だってササエは嫁をとることも

 嫁になることもない身だから。


 結婚などあり得ないはずの息子…

 いや、娘を貰ってもらえるのなら

 井園家としては万々歳だから。



 だが厳密に言うとこの挨拶には…

 少々間違いが含まれていた。。



「じゃぁキミ…万寿雄くんは

 井園家に婿入りしたいのかね??」

「はい。ササエの望みをかなえるべく…

 井園家を継いでいくべく…」


「…ならば"ください"でなく…

 ウチがキミを婿に貰うんだろう??」

「はは。そうなりますよね…(^^;」


「……いやいや。。(/・ω・)/

 それはさすがにイカンだろ??

 キミは長男として福田家のことを

 もっと考えるべきだぞ!!」

「…でもボクは…

 井園の一員になりたいんです。

 もうすぐ卒業で学生寮を出ますから

 できればこの結婚を機に、

 同居させて頂ければ有難いかと…」


「…うーん。(´・ω・)

 そこに反対はしないのだが…」

「…ではどうすれば…(´・_・)」



 というわけで…結婚は認められた。


 けどさすがに婿入りは…(^^;;

 二人は福田姓を名乗ることになる。


 息子を嫁に出す浪兵衛と舩の心理は

 なんとも推し量れないのだが…


 意外にサバサバしていたようだ。。



 そしてこれと同時に万寿雄は…

 福田夫妻は井園家と同居することに。


 井園の跡取りの件は成立しなかったが、

 井園家の一員となりたいという希望は

 叶えられることになったんだ。


 だって、浪兵衛にとっても夢だから。


 息子と酒を酌み交わす。。

 そんな当たり前の思いがやっと

 現実になったのだから。


 そして舩にとっても。。


 結婚して新婦となったササエは、

 家事に精を出したから。


 実はササエは性的少数者ゆえに

 就職できず今まではニートも同然。


 自宅警備員だった娘(?)に

 主婦という役回りができたから。


 母娘が並んで台所に立つ。

 これまで考えてもなかった思いが 

 意外な形で実現したから。



 浪兵衛と舩は本当に感謝したそうだ。


 この幸せをもたらしてくれた

 娘(?)夫婦に恩返ししてやりたい。


 そんな風にさえ考えるようになる。



 こうして再び平穏が訪れた井園家。


 本件の遠因となったあの問題についても

 すっかり忘れかけていたのだが…


 問題解決と恩返し…

 それは意外な形で実現することになる。 



「…だから万寿雄くん。(・ω・)

 受け入れてもらえるかね??」

「つまりお義母さんのお腹の中の子を

 ボクたちの子供としてですか??」


「ああ。どうせ養子をとって跡取りに

 するくらいならば私たちの…」

「そ…そりゃ有難いです。。

 この子はササエの実弟なのですから

 他所から養子をもらうよりは…

 けど井園家はそれで大丈夫ですか??」


「…大丈夫。(⌒-⌒; )

 勝男には椛沢さんという彼女まで

 できた立派な男だ。。

 ササエと同じ道は歩まんだろう。

 あとは…アイツ次第さ、、」

「…はは。(^^;;

 勝男くんも大変だ、、」



 …そういうことだ。。(・_・;


 井園家が平穏を取り戻したことで

 いつの間にか夫婦仲も戻った。


 子作りは意図してはなかったのに

 舩は49歳の超高齢にしてなんと…


 第四子を妊娠したんだ。(;゜0゜)



 そうなると、思いがよぎる。


 だって浪兵衛も舩もササエもみんな、

 井園家のために考えてきたから。


 ならば…福田家は??


 いずれ養子をとるくらいならば

 最初から実子として育てた方がいい。


 そして今そうすれば、

 もう一つの密かな問題も。。



「たしかに…ボクも聞いてました。

 そういう噂があることはとっくに…」

「そう。その意味もある。(´・_・`)

 幸いにして舩の妊娠についてはまだ

 ご近所に気付かれてはいない。

 だからキミたち夫婦の子とすれば…」


「…年齢的に見ても…

 疑う人はいないでしょうね。。」

「そう。そして…

 もう一つの疑念も消えるんだ。。」



 そうなんだ。


 ここまで語られてこなかったけど、

 実はまだ一つ問題があったんだ。


 それは…ササエへの疑惑。。


 見知らぬ土地に移り女子校に通い、

 その気配さえ見せなくても…


 人の口に戸は立てられない。(;_;)


 《もしかしたらあの家のお嬢さんは

 実は》…という噂は、

 結婚した今なお消えてなかったんだ。


 これが…井園家と福田家に残された

 最後の課題。。

 この地で平穏に生きていくためには

 何とかして消し去りたかった疑惑。。


 けど子供ができれば…

 夫婦の間に子供がいればきっと…


 さすがにその噂は消える。。

 もう誰にも平穏は脅かさらない。。

 ( ´ ▽ ` )ノ



 こうして井園家は…(¬_¬)


 次男の勝男は井園家の跡取り。

 長女の若芽はその控え。

 三男の多良男は福田家の跡取り。

 元長男の佐々衛は…嫁入り。(-_-;


 という極めて奇異な

 兄弟構成となってしまった。。


 ただ、奇異な形で跡取りとなった

 次男と三男にはなぜか、

 大きな扱いの差があるわけで…


 跡取りを重んじる井園家と、

 そこまでは考えてない福田家では

 息子の育て方が違うわけで…



「バカもん!o(`ω´ )o

 勝男、お前は…

 井園家の長男なんだぞ!!」

「…でも父さん…(´・ω・`)

 戸籍を見たら次男と書いて…」


「それでもお前は…(・_・;

 井園家の長男なんだ!

 だからちゃんとせんか!!」

「…(;´・ω・)???」



『そうよ勝男。(; ・`c・´)

 跡取りとしてしっかりなさい!』

「…何言ってんだよ。(-ω-)

 姉さん…いや兄さんがしっかり

 してればこんなことに…」


『…なんですってぇ!( `c´)ノ

 勝男ぉ、待ちなさぁい!!』


「また勝男兄ちゃんがママ兄ちゃんに

 追いかけられてるです。。(;´v`)」



 それでも…幸せなのだろう。。


 形はどうあれ兄弟はそれぞれに

 自分の役回りを果たし、

 家族として笑っているのだから。



 きっと彼らは…


 収まるべき所に収まったんだから。。


いかがでしたでしょうか?


前作がそれなりに好評だったので、

同じ内容を別の視点から書いてみました。


感想…および書いてほしい’謎’について

あればお待ちしています。


第三弾は…あるのかな??

(;´・ω・)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ