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「好きだよ。
――――なんて、嘘だよ。多分。」
いつもの放課後。
夕日が差し込み、
校庭から部活生の声が聞こえてくる教室で
俺は寝たフリをしながら委員長を待つ。
「好きです。
――――なんてね。嘘だよ。多分。」
な に こ れ !
持ち上げて落とされて、
そして、浮き上がらせる。
高度なテク使いやがるぜ......!!
「ダメです。」
「えっ。 これもダメ……?」
「多分なんて言ったら、可能性あるかもって思うだろ? 好きじゃない相手にそんな期待させたらダメです。」
「なるほど。 奥が深いね。」
頼むから真面目な顔で俺を見ないでくれ。
笑いが込み上げてくる。
「ふっ。」
あ、抑えられなかった……。
「……ん?」
「ふふふふっ。ははっ!
いや、俺らさ、真面目な顔で何の話してんだろうね。」
「……寝てる人の起こし方について?」
真面目に答えなくていいのに。
お堅いなぁ。ははは。
「そっかそっか。」
「……次こそは完璧にする。」
「おう。また明日な。」