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「君が好き。」
とある日の放課後。
というか、いつもの放課後。
俺はいつものように寝ていた。
帰るのが面倒で、少しだけ名残惜しくて、
俺はいつも午後の授業が終わると眠りにつく。
今日1日を振り返るのさ。
......いや、ただ単に眠いっていうのもあるんだけどね。
午後5時。
帰るにはまだ早い時間帯に目が覚めた。
1時間くらい寝てただろうか。
誰かが教室に入ってくる音がして目が覚めたのだが、
如何せん、頭がはっきり起きていないため
目を閉じて、次いでに息も殺して、寝たフリをしていた。
だがしかし、
耳元から聞こえてきたその言葉に
俺の頭は覚醒した!
「君が好き。」
告白か!? 告白なのか!?
俺は今告白されてるのか?!
……いや、冷静になれ、俺。
俺は今寝ている。そんな俺に告白するヤツはいるか?
ノーだ。
いくら何でも寝てる人に告白するような人は
いないだろう?
イエスだ。
大方、口が滑ってしまっただけだろう。
今聞いてはいけない言葉なはずだ。
ならば、俺が取るべき行動はひとつ。
寝たフリをやめて起きることだな。
「……んぅ?…………おはよう?」
よっし。完璧だ。
『今起きましたよー』的な雰囲気が出せただろう。
「あっ。 や、やっぱり起きた。」
んんん?! やっぱりってなに!?
「はぁ?」
「いいえ。あの、ある人に、寝てる人に〝君が好き〟って言ったら簡単に起きるよって言われたから、試してみたの。
本当だったのね。うん。うん。」
……ぇ、俺は試されたの?
「あー。委員長。誰にでもそう言ってんの?」
「…………。
いいえ。貴方が初めて。」
そ の 間 は な に !
「そ、そうか。あんまいろんな人に
期待させるような事言うんじゃねーぞ?」
「……善処する。」