心配性=魔方陣へ
拙い文章ですがどうかよろしくお願いいたします。読むよね?読んでくれるよね?いや、読んでくれないかもしれ…胃が……
俺は心配性だ。
世界は不安で満ちている。
道を歩けば車に轢かれるかもしれない、海に行けば溺れるかもしれない、高いところにのぼれば落ちて死ぬかもしれない、虫に刺されて毒が回ってか死ぬかもしれない、うっかり閉じ込められて餓死するかもしれない、刃物が当たって死ぬかもしれない。
きっと上げればキリがないぐらい不安で満ちている。大抵の人間は五百円玉を拾えば、少し得をしたと思いポケットに入れるか、良心的な人間は交番に届けたりする。
さて、心配性である俺はどうだろうか?
まず五百円玉を発見した心配性の俺は、何故そこに五百円玉があるのか理由を考え始める。誰かが落としたのか、ストレスの余り五百円玉を地面に投げつけて放置したのか、人間の行動を観察するTV番組の企画で落ちている五百円玉をどうするかカメラで撮られているのか、とかを考える。
しかし、心配性というのは大体自分の不利益になることを考える、そんな心配性の一人である俺も勿論自分に不利益になることを思いつくだろう。
連続殺人犯がマイクロチップを五百円玉に埋め込んでいて、拾ったら最後連続殺人犯が殺しに来るとか、小型の爆弾が仕掛けられていて触ったら最後爆発に巻き込まれて死ぬとか、ヤのつく恐いおじさん達の娘が一生懸命頑張って貯めたお小遣いで初めてのおつかいに出たが途中でお小遣いを落としてしまった、という理由を持った物で拾おうものなら過保護の余り後ろからグサリ……
等々、極度の心配性の思考回路は最終的に自分の死を弾き出す。まさに一事が万事である。
そんな恐怖を抱くなら逃げればいいと、諸君らは言うだろう。だが、ここまで思考が到達している時点で極度の心配性では退路が消えている可能性が高い。寧ろ、逃げられる程度では極度の心配性は名乗れない。
例えば、人間性を確認するTV番組ならこのまま逃げれば後ろ指を指され続けストレスで死ぬかもしれない、実はこれから通る道で泣いている子供の父親の形見で、無視してしまった罪悪感で取りに戻るが誰かに拾われた後で、酷い罪悪感を懐いた俺は自殺してしまうかもしれない。
結果、パニクる。
なんてことは極度の心配性(初心者)だ。こんなことで極度の心配性を17年やってきた俺が対策をしてない筈がない。
まず、周囲にカメラやそれに類する物があるか気配を探り、あった場合はサーチアンドデストロイ、無かった場合はなるべく離れた場所からマジックハンドで拾い上げて、空気より存在感を薄めた状態で誰にも気付かれず交番に置いてくる。
これは『日本心配性協会の心配事対処マニュアル』の日常の心配事の第三項にあるほど一般的な対処法である。
さて、諸君らに1つ質問してみよう。
「目の前に魔方陣があるんですがどうすればいいですか!?」
A:流れに身を任せなさい
天の声ェ……
まて、落ち着くんだ、まだ焦るような時間じゃない。避けて通れば…うん、それだけの事なんだ。
じっと魔方陣を睨み付けながら、こっそり通りすぎようとしたが、ふと、魔方陣に違和感を覚えた。
………ねぇ…、この魔方陣なんか近寄って来てない?来てるよね?これ絶対来てるって!無理無理無理無理!ジリジリ来てるよ!こうなったら…
「とりあえず逃げる!!」
チーターから逃れる為に鍛えぬいたチキンの脚力を舐めるなよ!
俺は来た道を全力で逆戻りして、あの速度なら引き離せただろうと思い、後ろを振り向く。
来てる!効果音つけるならギュン!って感じで来てる!しかも魔方陣からなんかブツブツ聞こえるんだけど!恐い!めっちゃ怖い!
『心配するな、冷蔵庫を八度連続で開け閉めすると出てくるプリンは私が食べとくから。』
なんで知ってるの!?俺の秘蔵のプリンが特殊な方法で出てくるの知ってんの!?ヤバイって!プリン連呼して追いかけてきたよ!さっきよりスピードアップしてるよ!
だけど甘い!俺の秘蔵のプリンは冷蔵庫を八度連続で開け閉めした後に電子レンジをあるリズムで叩かないと出てこないんだよ!バカめ!
振り替えって魔方陣に向かってドヤ顔をかます。
あっ…追い付かれた…。
『では、異世界旅行へ行ってらっしゃーい』
薄れ行く意識の中聞こえたのは『プリン~♪』という弾んだ声であった。
間違った方法で出されたプリンは激辛のダミーの筈なので舌を焼かれてしまえと魔方陣を呪いながら俺は完全に意識を失った。
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