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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第4章
75/80

074 貴方は、もう

担当:四葩

意識がふっと戻る。

目を開けば石造りの景色のなかで変わったものは紫色の魔方陣が消えていることと一人人数が足りないこと

居なくなったのはここじゃない国の王だった。

ならきっと国の歪みは直せたんだろう


「アンジェさん、目が覚めたようですね」

誰も起きていないと思っていたからヤオは狸寝入りしていたらしい

「どのくらい時間が経ってるのかしら」

「そうですねぇ…地響きがあってから私たちが目覚めるまではほんの数分と考えて良いでしょう、日が傾いていないので」

ヤオに問えば少し思案した後そう答えてくれた。

「あとはロートさんが元の国へ戻っていて、尚且つこの国が機械だらけだった文化から元通りなら成功と言えるんですけどね」

文化が元に戻っているかはルイたちが帰ってきてから確認するとして、問題はロートのこと

気を失ったままなのは女の子の姿だった。

もう中身は彼は居なくなっていて彼女だけなのかしら







「お父様、その呪石は私に授けてくださいませんか」


引っ込み思案な私が主張したそれは王女としてよりも国に使い潰されそうな父を思う娘としての私が出来ることだった。


私たち父娘の国からの逃避行だったんだ


お気に入りのドレスを失って

元々使い物にならなかった目に呪石を仕込んでもらいより良く見渡せる視界を手に入れた。そしてもう一つ、彼を、別の国のロートを私はこの身体の中に取り込んだ。

こうして果物屋の娘、ロートが出来上がった。記憶がないという誤算があるまま


他愛なく続く平穏な日々そこに現れたのはアンジェたちだった。

そこからは自分たちが仕出かした文化の歪を一つ一つ紐解いていくことになった。


記憶が戻った今どうしても疑問があった。

父さん、否お父様なぜ止めなかったのかしら

また王座に縛られる人生になってしまうのに

国民は貴方が王であることの有り難さにまだ気付いていないというのに…こんな国民なんて機械で十分よ

貴方は、もう縛られなくても良かったのに


(そこが王の王足る所以なんだろうな)

不意に言葉が響く

そうこれは男の子の声音

(ロート…ですか)

(あぁそうだ。最後だし声かけようと思ってな)

(ごめんなさい。貴方は本当に巻き込んだだけだった)

(いいよ。結局俺の国に戻れそうだしな…貴重な体験だったよ)

じゃあな、と軽い挨拶で彼の声がふつりと途切れた。



目を開けば何人かは起きている様子だった。

「ロート起きたのね」

アンジェの目は何かを探っていた。

意識を内側へ向けてみる。普段ならそこにもう一人のロートがいた、今は空っぽだった。

あぁ貴方は、もう私のなかにいない


「ちゃんと…ロートは戻りましたよ。自分の国へ」

「そう、良かったわ」

巻き込んでいて烏滸がましいけど寂しく感じた私はアンジェの少し寂しさが混ざった声音に安堵した

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