073 元に戻す為の
担当:宮居
「じゃあルイたちはこの国を守る為の対策とやらをするのね?エルはそっちに着いてく?」
「そうだな、エルの力も借りたい」
「了解した」
「あたしたちとヤオたちは王の説得ね。説得って何すれば良いの?」
「現状を説明してやって、王に戻るように言えば良いんじゃないか?」
「記憶は消えてるわけじゃないのよね?全部説明するのはさすがに面倒よ」
「あー……アンジェ、これやる」
ルイから渡されたのは1つの石。紅く輝いている。
「それを渡してやれば良い。意識を失うこともあるかもしれないが大丈夫だ。直ぐに目を覚まさなかったらオレを呼べ」
「りょーかい」
ルイったら準備が良いのね。ヤオにも石を渡していた。そっちのは青色だったけど。
「じゃあ作戦開始だ。60分後にここで会おう」
そう言って2組を見送った。
オレらの方は60分も要らないのだが、まぁ余裕はあったろうが良いだろう。
「それで?策があるんだよな?」
ライに問うと彼は箱を取り出した。
魔道具か。
「陣を展開させる魔道具だ。術者も2人いるし、結構しっかりしたのが出来るはずなんだ」
「……まぁ、いけなくはないだろうな。国全体をってなると話は別だが」
「さすがにこのクラスの魔道具を4つも用意するのは無理だから……」
「シナ」
「任せて」
それから10分で、同じ魔道具が4つ出来た。
「これをそれぞれが持って、配置につくって訳だな」
「当たり。ルイにはこの王宮ら辺をお願いするよ。1番大事なとこだし」
「それぞれの魔力量に合わせて配置を考えるか。そこそこ広いしな、この国」
昔のことを、ここで暮らしていた時のことを、思いだすー……。
この国で過ごしていたのは、シナに出会う前の話だ。師匠が橘の話をするまで、オレはこの国で暮していた。
ライたちには子供たちが集められる院で出会った。
貴族たちは裕福な暮しをしているが、そうでない人たちは貧しい生活を送っていて、そういう産まれの子供たちはよく教会前に棄てられていた。
オレは故郷からの攫われ子だった。餓鬼の頃から呪術は使えたみたいだから、多分それを狙った犯行。
当時は使い方がわからなかったから、奴らの思い通りにはならなくて、結局棄てられた。
院長がオレたちを育ててくれて、師匠のことも紹介してくれた。まぁニコルのことなんだが。それからニコルの居たところで仕事して、橘の話を聞いて、そこでシナに出会った。
そうしてまぁ、ウルにも出会い、国で一悶着あってシナが拉致られ、アンジェに出会うことになる。
まぁ思えばここまで長かったものだ。
あともう少しで、この旅も終わりか。
最後くらい、派手にやってやるか。
この国が今後どうなるかはわからないけどな……。
「じゃあ時間まで待機かな」
「あぁ、了解。じゃあオレはちょっと出てくる」
手を振ってその場を離れた。
シナがなんとかしてくれるだろう。
あいつらが話を付けるまでに、相棒を呼ばないとな。
あたしたちは王宮の後ろの方を歩いていた。こんな所に道があったなんてね。びっくりするほど狭い道で、厳重に隠してあった。
ルイから貰ったこの石が、目的の人物まで導いてくれてるらしくて、穴を上手く見つけて進めてる。
「……あたし達が突然言って、話聞いてくれるのかしらね」
「まぁなんとかなるんじゃないか?……わからんけども」
ロート(男)は適当なことを言う。けどまぁ、やるって言っちゃったし、やるしかないんだけどね。
石が点滅し始めた。目の前には木の扉。無言で頷き合い、扉をノックする。
「……来る気がしたよ、なんとなくだけど」
そう声が聞こえ、扉が開いた。
王の貫禄を残しつつも、疲れ切った顔をした者が立っていた。
「そろそろ、戻らなきゃいけないのだね……」
彼は石を見つめながら言う。
石は今、キラキラと輝いている。綺麗な赤い光だ。
「これがなにか分かるの?」
「君たちは知らないのかい?……それは呪石だよ。俺まで案内するように、術式が組まれた呪石。呪いのことは知ってるかい?」
頷く。
「そいつは俺にだけに今呼びかけてるのさ。『戻りたまえ』って、ずっと。『その時が来た』って。君たちがここに向かい始めてから」
「……それなら話が早くて良いわ」
「まぁ仕方ないね……長い休暇は終わりだ」
王は一旦奥へ引っ込んで、数分後に帰ってきた時には姿が変わっていた。
「本当に、王様なのね」
「はは、引退した身なのだがねぇ……それを許しては貰えないようだ。さて、行こうか。案内してくれるのかな?」
「えぇ、勿論」
説得なんてする必要もなく、こちらの方はどうにかなってしまった。一応ルイに連絡を居れておく。
意外と早かったな……なんて言われたけどあたしも驚いてるわ。
ヤオの方は大丈夫かしら?
「ふむ、よくわかったなあ」
果物屋の店主に声をかけ、部屋でお話させて欲しいと言いながら、チラッと石を見せると彼はそう言った。
「話を聞くとするか。まぁ内容はわかってるつもりだ……君たちが、この国の歪みを直そうとしているのも、なんとなくだが察していた。戻りたくはなかったんだがなぁ。不完全だったわけだ」
「不完全?」
「この国をこうしたのはわたしだからね」
「……なぜ?」
「疲れたんだ。ここの人達は、自分で解決させる努力をしようとしないからな。なんでもわたしのところに持ってくる。それならば、と機会の王を作り上げて歪めたんだ。その時に他国の技術を借りた」
「……あなたの力ではありませんよね。協力者が居るはずですが……」
「君たちも知ってる人だよ。……まぁ、バレてしまえばこの国もただ壊れていくだけだ。一旦戻るとしようか。戻す術はわかってるのか?」
「えぇ、それは」
「なら話は早い。わたしを案内してくれるかな?」
店を閉めて着いてきてくれるらしい。
思っていたのよりはスムーズに進んだが、疑問が生まれてしまった。
これは、報告案件ですねぇ……。
「みんな意外と早かったなぁ」
「あぁ、なんだ、君の仲間だったのか」
ルイと王が再開した時、王はそう言った。
なに、もしかして事前に話つけてたの?
「はは、直接は話せなかったから、アンジェたちに言ってもらったんだ。怒るなよ」
どうやったら遠隔に、確実に、その人に話をつけられるのよ……。この人時々ぶっ飛んだことするから怖いわ。なんの説明もないし。
「じゃあ揃ったし始めるか?」
ロート(女)が義眼を外し、新しいのを嵌める。
「……よく見える」
「良かった」
石を返してくれた。これで全部揃ったわけね。
ルイが他にも呪石を持ってたり、他の地域にもありそうだけど、とりあえず文献で見た特徴の石はこれで全部のはず。
……これで、兄様を……。
「んじゃ、オレたち以外はこの陣の中に入ってくれ」
ルイが指を鳴らしながら言うと、紫色の魔法陣が床に展開された。
それぞれ、外側の円にあるマークの場所にた立つ。あたしたちも入ったけどなにか意味があるのかしらね。単なる記憶関係かもしれないけど。
「じゃ、オレたちも配置に着くか。ラルカが適当な位置を探ってくれてるから、案内してもらって。オレは最後にラルカに乗って全体を見る」
ラルカってのはルイの竜ね。あの子も来てたのね。ルイの交友関係的なの、よく分からないわ。
ルイたちは外に出ていった。始まったらわかるって言ってたし、あたしたちはとりあえず待つしか出来ないわね。
……そんなに人に協力することのないルイが、なんでここまであたしに力を貸してくれるのかさっぱりわからないけど、探りを入れるのは良くないわよね。有難く受け取っとかなきゃ。旅が終わったらなにか恩返ししたいと思ってるけど。
みんな、なにも言わない。それぞれなにか考えているのだろう。
あたしもこの国の件が片付いたら、その後どう動くのか考えることにした。
文献にあった教会ってやつを探さなきゃいけないわけだけど。今も同じところに残ってるのかしらね。
ポケットに入れた石を撫でる。
4つの綺麗な石。
これで、兄様に、会える。
数分後、地響きがした。
始まったようだ。
無事に終われば良いのだけれど……。
眩しさを感じて目を閉じた。
その後、意識が途絶えーーー……
3kが限界でした……。
そしてパスが下手_(:3」∠)_毎度毎度ごめんなぁ……。




