069 怪しい話
担当:宮居
「……なんでそんなにイラついてるんだ……?」
「……なんでもないわ、これが少し重いだけ」
そしてグイッと箱を渡してくる。
「クレズからのお届けものよ」
「あぁ、助かる。ありがとう」
頼んでいた物が来たらしい。これで義眼も作れるだろ。
「それだけじゃないだろ?」
「何が?」
「イラついてる理由」
「……そうね、国の話とか聞いてきたから。貴方達にも話すわ」
アンジェからこの国の王の話や、ロートのことを聞いた。
「ふーん……まぁやってみりゃわかるだろ」
「まぁそうだけどね」
「ロートはなんて言ってんだ?」
「?特になにも……?」
「帰りたいとか、帰りたくないとかそういうの、一切?」
「えぇ……多分、言ってなかったと思うけど……」
「ふーん……今部屋にいるか?」
「いると思うわよ」
返事を聞いて隣の部屋に入る。
……エルと仲良しそうに話すロートの姿があった。これはどっちだ。フード被ってないから女の方か?やけに楽しそうに喋っているが……。
「あ、ルイ」
エルがオレの名を呼んだ途端、彼女はフードを被った。
……まぁ、いい。用があるのはそっちの方だしな。
「……ロートは前のことが少し怖いらしい」
彼は申し訳なさそうな顔をしながら言った。
「アンジェから話は聞いたんだよな」
「お前自身の意見を聞きに来た。義眼はもう少しかかりそうだが、どうなんだ。帰りたいのか、帰りたくないのか」
「……正直、どっちでもない」
暫くの間を開け、先程と同じような表情で彼は言う。
「前の国にも家族はいる、住みやすさで言ったら断然あっちだ。だけどこっちでも思い出が出来てしまった。だから、帰りたくもあるけど、帰りたくない気持ちもある」
「ふーん……そうか」
まぁどちらでも良い。どちらにしろ義眼は作らなければならないし、石を外したところで戻れる保証もない。
「まぁ、戻してみなきゃ分からないな。この国がどうなるかも、お前がどうなるかも」
「そのために早く義眼作っちゃいましょ」
後ろから声がした。
そこにはシナが、クレズからの箱を持って立っていた。
箱の蓋は開いていて、中には白い球体が置かれている。
外は完成したようだ。
「サイズが合うか確かめなきゃいけないのだけど」
ロートに話しかけた。
暫く彼は黙り、頷き、フードを外す。
「椅子に座って。まだ何も見えないからね」
そう言って椅子に座らせて、球体を手渡した。
そっと彼女はそれを受け取り眼の交換をする。
……呪石の嵌った義眼はしっかりと握られている。
取りやしないのに。
「痛くない?」
「大丈夫そう……見えるようにならないと、ハッキリとはわからないけど」
そう答え彼女は再び眼を交換した。
「そう、ありがとう。あとはルイが呪石を作ってくれたらそれを嵌め込んで終わりよ」
「あーじゃあちゃっちゃとやるか。石の方は所持者に合わせて大きさを変えられるようにしとくから安心しな。なんならその簡易術式を教えるからそれで自分で調節してくれ」
彼女は頷く。エルみたいに喋らないなぁ……。まぁ話が通じてるならいいのだが。
「じゃあオレは一旦引っ込む。出てくるまで話しかけないでくれ」
そう言ってルイとシナは部屋に戻ってしまった。
……ところでそれが出来るまで、あたしたちは何してればいいのかしら?
相変わらず、彼女らが優秀すぎてあたしのやることが無いわ……。
王様を探すって言っても、見てわかる見た目じゃないだろうし……。
図書館に行ったら何かわかるかしら?
その場合はロートに着いてきて貰わないといけなくなるけど……。
うーん……。とりあえずまだ夕飯には時間があるし、もう1回国の探索をしてみようかしら……。
と、考えを巡らせていたら、扉がノックされた。
「アンジェさん、戻りました。面白い話が聞けましたよ」
と、ヤオの声がする。
「今開けるわ」
ヤオを部屋に招くと、エルとロートは2人でどこかへ行ってしまった。
さっきも楽しそうに話していたし大丈夫よね……。
「さて、面白い話って?」
「この国の異常さです。1部だけハイテクな理由。現在の王と、前の王の居場所がわかりました」
「少しだけ、ロートから話は聞いたわ。前にいた国がこんな感じだったって。で……王の居場所って?」
「商店街の人たちとお話して情報を集めたのですが、そうでしたか。では王の話だけしましょう」
この国の住人達も異常さに気づいている人がいる……?
「現在の王は姿が見えず音声のみ。元々王室だった部屋に謎の機会が置かれ、基本的には側近にのみその部屋に入ることが許されています。そしてその姿の見えない王にも実態があり、その人としての姿は、元の王のみが知っている、更にはこの国のどこかでひっそりと暮らしている、というものです」
王室の様子を思いだす。確かに見たことない機会があったし、姿は見えず声のみでのやり取りだった。が、向こうからはあたし達の姿が見えてるようで。
……今までの国にしたら随分と楽だなと思っていたけど……これはこれで面倒くさそうね……。
「王がこの国にいるのは確定事項なの?」
「えぇ、側近の方が姿を見たことがあると仰ってました。何故か彼は記憶が消えてないと。いや、おかしいのは記憶が消えてしまった住民たちの方なのですが」
ロートがこちらに来て、世界が歪んだ時に、住民たちの記憶も1部消え、異常さに気づかなかった。
だけど1部の人は記憶が薄らと残っており、また完全に記憶の残っているものもいる、と……。
「どこでその話を?」
「心優しい住民さんに案内され、図書館へ行ったのです。そこにその側近さんがおりまして。話を聞かせてもらいました」
意外とヤオは情報収集が上手いのね。
……じゃあまだ王は生きていて、義眼が効力を失い、この国が元に戻ろうとしても大丈夫ということね。
「なんでロートの国の王が、この国の王と一緒にいるって分かってるの?」
「自信満々にそう仰ってましたが……少し怪しいですよね」
「その側近って、もしかして……」
「ロートさんの国の側近だったのかもしれませんね。それなら記憶が消えてない理由にもなります。ここの住民ではないのですから」
帰してあげる人が増えてしまったわ……。
「まぁ、それは確証を得てからにした方が良さそうね。それに時空の歪みが起こるかもわからないし、起こったとしてどう起こるのかわからないのだもの……」
「とりあえず、図書館に行ってみますか?その辺の記事なんかもあるかもしれません」
「そうね……まだ時間もあるし……ルイの作業が終わらないと進まないしね……じゃあまずロートとエルを探さなきゃ」
というわけで、彼女たちを探す為、商店街へ向かうことにした。
パスが下手くそな宮居さん( ´ ` )申し訳ねぇ……




