061 前日の夜
担当:宮居
「じゃあアンジェ達は商店街の聞き込み、オレらはギルド周りなんかを見てくるよ。城の方にも行けたら行ってくる」
ルイの言葉に頷く。今日はもう遅いから、行動を開始するのは明日からだ。
「そんじゃま、今日はゆっくり休め」
その言葉に頷いて部屋を出る。
ヤオも一緒に出てきて、
「ではまた」と1人部屋に帰って行った。
……休めるかしら。
呪石のことが頭の中を回って止まらない。
考えても仕方ないことはわかっているんだけど……。
「エル、ちょっとお話しない?」
暫く寝れそうにもないし、彼女もそこまで眠そうにしてなかったから。
彼女は頷いてくれる。
「何を話す?」
「そうねぇ……差し支えなければ、貴方の故郷の話とか」
エルフの国ってのがあるのは知ってるけど
詳しくはないのよね。
「全てを話すことは出来ないけど……」
「隠したいことは隠してもらって構わないわ。話せるとこだけ話してくれない?」
そう言うとエルは頷き、口を開く。
「故郷は大きな陸と陸に挟まれてる海に浮かぶ大きな島で…………」
エルの話は続く。御伽噺のようで、面白くもあった。
エルの過去は、奴隷に取られてから酷いものだったけど、それまでの話は、フェアリーとか出てきて、仲の良い友人たちや、家族との話で。
こんな楽しそうに話すエルを初めて見る。
というか、エルがこんなに長く話してくれるの、初めてじゃないかしら。
「アンジェは、どうだったの?家族とか」
エルの話が一段落すると、彼女は問う。
まぁ……そりゃ聞くわよね。
「あたしは孤児院に居たの。シスターに拾われて。というかね、孤児院にいる前の記憶が無いのよ」
シスターたちに会う前のことが、生みの親のことが、全くもって思い出せない。
捨てられたことに対するショックからなのか、また別の理由があるかはわからないけど。
「そうなんだ……」
「だから、あたしの家族は孤児院にいたみんな。生みの親ではないしみんなそれぞれ理由があってあの孤児院に来たわけだけど、家族みたいに毎日を楽しく過ごしていたわ。ルイスみたいなうざいのも居たけど」
久々に思いだし、口にした名前。
あたしのことを姉だと慕い(ウザかったし嬉しくもなかったけど)呪われて死んでった弟だと言い張る人物。
あたしの記憶が無いから、もしかしたら本当に弟だったのかもしれないけど、ルイスに会ったのは孤児院に入ってからだから、その可能性はないと言いたい。
エルは黙ってしまった。
「ルイスに関しては、なにも気にしてないのよ。いなくなれってずっと思ってたから。あれだけは、家族と認められなかったの」
自分でも、どうしてあれほど嫌いっていたのか、最早わからなくなってきているけど。
「それで、エルに会う前にね、孤児院の家族が殺されるって事件があって……あたしの大好きな兄様を蘇らせる為に、呪石を集めてるのよ。この話したっけ?」
エルは首を横に振った。
「そっか……。あたしもみんなも、あんまり自分のこと話さないものね」
ほんと不思議な巡り合わせだ。
初めての国をアルケアにしたのは当たりだったわけね。おかげで、不思議だけど心強い仲間が出来た……仲間って言っていいんだよね?
エルに聞くと頷いてくれる。
エルは仲間だと思ってくれてるらしい。
「ふぁ……そろそろ寝ようかしらね」
おしゃべりしてたら疲れてきたみたい。
眠気が襲ってきた。大分と気持ちも楽になったし、寝れそう。
「そうしたほうがいい、おやすみ、アンジェ」
「おやすみ、エル。ありがとうね」
電気を消して布団に潜る。
存外簡単に、あたしは意識を手放した。
翌日。
あたしはエルとヤオと一緒に商店街へ来ていた。
ルイとシナはギルドの方へ行っている。
知り合いがいるから協力してもらうって。ルイって色んなところに知り合い居るって言うけど、昔旅でもしてたのかしらね?
いつかそこら辺の話、してくれるかしら……?
過去の話は少し聞いたけど、まだ謎が多いのよねぇ……
そんな人と旅してるあたしもどうかしてるのかもしれないけど。
「見えてきましたよ」
ヤオが言う。昨日の果物屋だ。
「さて……彼女はいるかしらね?」
今週も短くて申し訳ない~m(*_ _)m




