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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第4章
60/80

059 知人

担当:宮居

「シナっ大変!」

慌ててシナのいる部屋へ入る。

「どうしたの?」

「呪石が盗られた」

声を顰めて言う。一応ね、周りに聞こえないように。

「……おーけー……多分あの時の子かな?」

そう言うと、耳の上をとんとんっとやった。ルイに連絡しているのだろう。




「……ふむ、了解した」

唐突にシナから連絡が入った。

アンジェが持っていた呪石が全て奪われたと。可能性があるのは、お昼時にぶつかった少女。

特徴はあまり覚えてないが、あのフードの付いた服装を探せばわかる気がする。

何処を探していいのかは検討もつかないが、とりあえずこいつに確認してみるか。

「ライ、こんなやつをこの辺で見たことはないか?」

オレは目の前にいる、この国のギルドで働いている友人に話しかける。

「うーん……この辺じゃ見ないかな……商店街の方に言って聞き込みした方が有益だぜ」

「そうか、じゃあそうする」

「今のはアルケミアか?」

「あぁ、そうだよライモンド。別にオレらだけで会話してんだから、シナでいいだろ」

「お前ほんとその……嫌いだよなぁ。悪かったよ。俺と同じ顔して睨むなよ」

笑いながらライは言う。全くこいつは。


同じ顔してってこいつは言ったが、見た目はまぁ、双子と間違えられるほどそっくりだ。

身長は男のライの方が高いが。

黒髪短髪、目は赤くて、ほかのパーツもほぼそっくり。そして何故か声までもが似ている。ライの方が少し低め。

生まれた地域は同じだか親は違う。どうしてここまで似るのか全くもってわからない。親の見た目も似てないし他の子供たちとは全く似てないのに、何故、オレとこいつだけは。

残念ながらこの世界には、遺伝子を調べる術がない。あったらなにかわかっただろうか。

チートじみた呪術なんかでも、そのへんを調べる式はない。両親が違うのは証明されているが。親が違うのに似る理由がさっぱりだ。知り合いの研究者に実験される所だったのはなんとか回避した。


ちなみに本名はライモンド・アルフサフィアという。だからライと呼んでる。彼からの提案だ。一応、立派な貴族。


「それで、本題は?」

「呪石を探してるんだ。あと、ちょっと手配書に細工を頼みたい」

「ほう……?この国にあるって、確かな情報か?全く感じないんだが……」

手配書の細工はぱぱっとやってくれた。こいつももうそんなことが出来てしまう地位にいるらしい。助かった。

これでこの国では安心出来るだろう……多分、おそらくきっと。

にしてもそれなりに距離のあるこの国にも既に手配書が回ってて驚いた。


んで、呪石の話に戻る。

ライは呪術は扱えないが、感じことは出来る。魔法は使えるので、それに対抗することもまぁ出来なくはない。魔法でできる範囲に限るが。

特訓に付き合わされたことは絶対に忘れない。何日間も付き合わせておいて礼もなかったしな。

「確かな情報だ。信用していい」

「ほう……珍しいこともあるもんだ。じゃあ俺の方でも探ってみるわ」

「ちょっと特殊なやつだから、なんか引っかかったらすぐ教えてくれ」

「了解した。で、ルイ、このあとの予定は?」

「特にはないが」

宿に帰って今後どうするかの話はするだろうが、ヤオも外出中だし、シナとアンジェで方針を決めてしまってくれるならそれでもありがたい。

「久々に1杯どうよ?」



というわけで、ライ行きつけの店に来た。

「乾杯~」

グラスを鳴らす。いい音が響いた。

黄金色の飲み物をグイグイと飲むライを横目で見つつ、オレもそれを流し込む。

「は~~美味いな~~」

こいつほんと酒好きだな。

「んじゃ~なんか話そうぜ。今まで事、旅してきてんならその話聞きたいし」

「あー……話せるような旅してねぇからなぁ……」

他人に聞かれたらまずいようなことばかりして来てる旅だ。話せるわけがない。

「お前の方はあれからどうだったんだよ」

「俺の方は環境が変わりまくって大変だわ。階級も変わったしな。妹も出来たし、婚約の話も出てる」

「ほぅ……?」

「ラフィーっていたろ?あれと」

「あれとって言うなよ。意外だな、ラフィーが結婚か」

「しかも俺とってのがな。向こうから話が来たから驚いたぜ」

「罠じゃないといいな」

「怖いこと言うなよ」

ラフィルド・ハークナヤリウス。ライの幼なじみで、オレもよく会っていた。

正直な話、こいつらの仲は良くなかった。

2人とも魔法が得意だから、よく争ってたなぁ。目の敵というか。ライバルというか。

仲介するこっちの身にもなってくれ。


それから適当に呑みながらあいつの愚痴を聞いて、呑みすぎて今にも眠りそうなライを、なんとか道を聞きながら家まで送り届けた。

驚いたことにそこにはラフィーがいた。

「……久しぶり」

「お、おう……びっくりした。久しぶり」

「ライを連れてきてくれてありがとう。しばらくこの国にいるの?」

「そのつもり」

「じゃあもし時間があったらお茶しよ?」

「あ、あぁ、それは構わない」

「んふふ、ありがとう。宿まで帰れる?」

「大丈夫だ」

「そっか、じゃあまたね?」

「あぁ、またな」

扉が閉じられる。

昔の雰囲気とはだいぶ変わっていたが、まぁ、いい方に変わってるから、いいのかな……ちょっと調子狂うが。

とりあえず、ライの家の場所と、そこにはラフィーもいるってことは覚えておこう……



その後、シナに宿の場所を確認しながら帰った。

アンジェは予想以上に取り乱していた。

まぁ盗られたものは仕方ない。なにが理由で持って行ったのかはわからないが、呪石が目的なわけじゃないかもしれないし。

その少女が呪石を持っている可能性もある。件の赤色の呪石だ。そしたらどちらにしろその少女を探さなければいけないのだから、やることは変わらない。

しかし、取り乱し過ぎだろう……。






「落ち着けよ」

ルイに声をかけられた。落ち着けって、落ち着いていられると思うの?

それを口に出せば、ルイは呆れ顔で

「どちらにしろやることは変わらないんだ。焦ったって仕方ない」

と言う。

まぁ、そうかもしれないけど。

こんなこと初めてだし、落ち着いてられない。

ルイがカップを手渡してきた。

……ミルクティ?いつの間に作ったのかしら……?

「ご所望のアッサム茶葉のミルクティだ。少しはマシになるだろ」

無言で受け取り、1口飲んだ。

「……美味しい」

「それは良かった。んじゃま、これからどうするか考えますか」

ヤオはまだ帰ってきてないけど、そのうち来るわよね。話はあとですればいいし……。

ルイの言葉に頷いて、小さなテーブルを囲むようにそれぞれが座った。


ちょっとした会議みたい。

さて……ルイのおかげで少し落ち着いたし、これからどうするか、頭を働かせないと。

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